S原:さあ、マニアだけが喜ぶシリーズ、今回はこちら!
Y木:2889って……2889年という設定か?
(あらすじ)
2889年、核戦争により人類は絶滅する。ジョン・ラムジー博士は10年以上前からこの日を予見して、ネバダにハウス型の核シェルターを建設し、娘のジョアンナと最後の人類として生き抜く覚悟をする。そこに地質学者のスティーブを始め、生き残った人類のうち7人か集まるが、食料は3人分しかなく、博士は困惑する。その頃、ミュータントに変化し、不死身となったゾンビ・モンスターがシェルターに近づいていた!
S原:そうです。2889年という設定です。これは、R・コーマン監督の「原子怪獣と裸女」(1962)のリメイクみたい。
S原:映画が始まると、核戦争で人類はほぼ滅亡して、田舎の一軒家で暮らしている父娘が映ります。
Y木:田舎の一軒家?
S原:核シェルターという設定らしい。あと、まわりに崖があって放射能を防いでくれるって。
Y木:それ、アウトな設定やろ。
S原:その父娘の棲む一軒家に、生き残った人々(7人)がやってきます。
Y木:おお、それは修羅場になるやろうな。生き残りをかけて戦う、みたいな感じ?
S原:いやー、なんかダラダラと話してるだけやったで。
Y木:でも、あれやろ。核戦争後やから、家の周りは荒廃してるんとちゃうの?
S原:いや、庭とかプールとかあったよ。
Y木:プールか。
S原:あとは、娘と男がイチャイチャしたり、罠にかかったウサギさんを獲ったり、川べりを散歩したり、屋敷内のやたらとでかい階段の上り下りしたり、そんな場面が続きます。
Y木:ウサギさんか……
S原:あとはなにがあったかな。あーそうそう、水着の女性2人がプールにはいってたわ。そのプールが枯葉とか浮いてて汚い(笑) ほかには、夜のシーン(という設定)で、明るいまま撮影している(フィルターの付け忘れ?)とか、チャーミングな場面が続きます。
Y木:枯葉か………
S原:一応、途中で「すこしの放射能で生体に影響を及ぼすんだ!」とか警告めいたセリフが出るで。
Y木:おお、そうなんや。
S原:でも、そのあとはトランプをしてまったりと過ごしてたけどな。
Y木:あートランプ……って、わざとやろ⁉
S原:いやーマジちゃうかな? とにかく「核戦争後」という設定だけで、普通の場所で撮影してるだけやった。どうも、この監督(ラリー・ブキャナン)は、こんな映画ばっかり撮ってるみたい。エド・ウッドみたいに、観客がどう思うか?という想像力や、ちゃんと映画を作るという意識が全くないんやろうな。
Y木:どうしようもない奴やなー。原始怪獣は?
S原:ちょっとでてきます。変なゴムみたいな突起物をつけた男性がいます。内田裕也みたいな髪型です。牙がはえています。放射能汚染で異常進化した人間です。これが、モンスター(原子怪人)です。
Y木:ふーん、最後は?
S原:女子が森の中を歩きます。不穏なムードです、突然、悲鳴がひびきます。モンスターが、女子をお姫様抱っこで、かかえていきます。悲鳴を聞いて1人の男が森へ向かいます。モンスターをみつけます。銃で撃ちます。モンスターは死にます。そこからの数分間がすごいです。
Y木:すごいって?
S原:モンスターから逃げ出した男女が家に戻ろうとしています。モンスターは真水が怖いという、よくわからない理由を説明します。一軒家のなかでは、別の男が、銃を構えています(女性を奪うため)。その男を、一軒家の家主がズドンとうちます。なぜか、男女の手が映って、クレジットで「The Beginnnig」と、被さっておしまい。ここは、もうすごく奇妙で、おもわず2回観てしまったわ。
Y木:……頭が痛くなってきた。
S原:さあ、みなさん。これはテレビムービーのようですが。当時テレビで観た人はどう思っていたんでしょうか?(感想ください) 音質は最悪、画質はザラザラでなんとも背中が痒くなるような映画ですが、それを批判・非難したからといって、我々の人生に潤いが生まれるわけではありませんから、そういう野暮はやめておきましょう。ただ観ていると、何故かこういう映画を大切にしないといけないような気がするから、人間の深層心理は不可思議です。とにかく珍品です。さあ、みんなで2889年にむかってレッツラゴー!