あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

1960年代の邦画を観てみる!「御金蔵破り」(1964)の巻

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S原:今回は、乾いたタッチの時代劇サスペンス!

Y木:へえ、昔の邦画では珍しいな。

(あらすじ)

取られる首は一つだが、盗る小判は三萬両!天命知らずの悪党が、江戸城狙って大ばくち! 貧しいがゆえに、権力に媚びねばならぬ侍稼業を棄てた、旗本くずれの緋牡丹の半次。長年、江戸城内の御金蔵破りを夢見ていた、老盗の煙りの富蔵。“権力を笠にきる人々の度胆を抜いてやろう”という共通の思いを持つ二人がコンビを組み、将軍お手つきの中臈の手引きで、江戸城御金蔵を襲撃する。奇想天外な方法で成功するにはしたが、さてその後が・・・!?

 

S原:「地下室のメロディー」(1963)ってあったやろ?

Y木:あージャン・ギャバンアラン・ドロンの映画。

S原:あれを日本の江戸時代に翻案しています。結論から言うと、この映画はなかなか面白い。

Y木:そうなんや。

S原:今回は、ネタバレで話しますので、観るつもりがある人はここで読むのを止めてください。主演は、片岡千恵蔵大川橋蔵。そのままジャン・ギャバンアラン・ドロンの立ち位置です。この2人が組んで、江戸城から御金蔵(ごきんぞう)を盗むという大胆な計画をたてます。東映映画やねんけど、いわゆる東映ヤクザものの雰囲気とは違うのよ。

Y木:大金を盗むんか。どうやって盗むか?という部分と、果たして成功するのか?という部分が面白さになるわけやろ。ルパンみたいに。

S原:そうです。でもルパンみたいなスマートさはないねん。フランスの現代映画を江戸時代劇に翻案するから、多少の違和感はあります。その辺を気にしたら観れないかもな。それでも、かなり工夫していて今観ても十分に楽しめると思うんやけどな。

Y木:結局は泥棒するんやろ。どうやって盗むの?

S原:江戸城(千代田城)の奥深くの金庫にあるので、堀もあるし厳重な警戒で普通では近づけない。盗ったとしても、どうやった運び出すのか?片岡千恵蔵大川橋蔵はいろいろと頭を捻る。そして大川橋蔵は、花火屋の娘(朝丘雪路)に目を付けます。朝丘雪路は、御中﨟(おちゅうろう)に出世したところやねん。

Y木:おちゅうろう、って何?

S原:映画では「ごちゅうろう」と呼んでいた気がするけど、詳しくはわからん。簡単にいうと大奥の偉い人らしい。将軍に気に入られてるから、かなり江戸城になかに精通している。大川橋蔵は、熱烈に迫ったり逆にすかしたりして、だんだんと朝丘雪路の心をつかんでいく。ある日、「城の中にいるおまえに会いに行きたい」「なので、見張りがどれくらいいるのか教えてくれ」と話を振る。朝丘雪路は、城内のことを話す。それを、ふすま一枚隔てた隣の部屋で、片岡千恵蔵が平面図とともに書き込んでいく。この場面はクールで、すごく良いよ。

Y木:そのへんは、確かにフランス映画っぽいな。要するに、女を利用して計画を練ると。

S原:そうそう。ほかにも、同時並行で、盗んだ千両箱を船で運び出すための準備をする。で、いよいよ決行の日がやってくる。

Y木:ほう。

S原:上手いのは、ある程度、事前に半分くらい計画を観客に説明してるねん。でも半分は、映画が進んでいくなかで、観客が気付くような仕組みになっているのよ。「へえ、そういうことか!」と思うわけ。例えば、決行日は8月1日。この日は江戸の花火大会(江戸開府の祝のため)があるねん。片岡千恵蔵が、花火の打ち上げ音とともに、金庫のカギを火薬で吹っ飛ばすのよ。ここはカッコよかった。

Y木:花火大会の日か。考えたなあ。

S原:無事に大量の千両箱を隠す場所が意外なところやねん。江戸時代で便所(厠)の汚物を回収してた時代やろ。千両箱をその汚物回収の樽にそっと隠す。そうしたら、本人たちが持ち運びしなくても、係の人間が運んでくれるやん?

Y木:なるほど。

S原:まあ、他にもいろいろとあるけど、こんな感じでは話はすすみます。

Y木:最後はどうなるの?「地下室のメロディー」と同じか?

S原:「地下室のメロディー」では、せっかく盗んだお金を自分たちのものには出来ないやん。ラストでは、プールに沈めたカバンから大量の紙幣がぶわ~と出てきてしまうやろ。

Y木:騒いだら自分たちが犯人だとバレるから、なすすべもなく、それを(気付かない顔で)見るしかないという感じがよかったよな。あんなラスト?

S原:似てるけどちょっと変えてます。大量の千両箱を船で運ぶ。海岸でそれを心待ちにしている片岡千恵蔵大川橋蔵。もう見えるところまで船がきています。あと少しで大金が自分たちのものになる。ところが、船底に穴が開いていて徐々に船は沈んでしまう。それをみているしかない2人。船がちょうど海に沈んだあとに、幕府の役人が近づいてくる。「昨晩の御金蔵窃盗犯はおまえらだろう」と凄む役人に、「ただ海を眺めていただけだ」とクールに答える。おそらく、だれも海底に沈んだ大金を引き上げることは出来ない。そんな場面でおしまいです。

Y木:へえ。日本映画っぽくなくて良いやん。

S原:良いよ。ただ「地下室のメロディー」のほうが、乾いた感じがするし、ラストの衝撃は上やと思う。だけど、これも十分に面白いです。

Y木:今回はおすすめやな。

S原:はい。おススメです。さあ、みなさん。音楽の使い方も変わっていて異色の時代劇ですが、御用金を盗み出す後半は、わかっていてもドキドキします。東映ならではの集団殺陣も堪能できます。昔の邦画なんか観る気がしない、という人もいると思いますが、これはイケます。サスペンス好き、時代劇好きならマストバイですよ~!

1960年代の邦画を観てみる!「怪談」(1964)の巻

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S原:今回は怪談!

Y木:小泉八雲か。へえ。

(あらすじ・解説)

人間の條件」「切腹」の小林正樹監督が、小泉八雲の「怪談」に収録された4編をオムニバス形式で映像化し、1965年・第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。生活苦から妻を捨て良家の娘と再婚した武士が思わぬ形で元妻と再会する「黒髪」、吹雪の中で雪女に遭遇した男の運命を描く「雪女」、平家物語を弾き語る盲目の琵琶法師・芳一が平家の怨霊に取り憑かれる「耳無芳一の話」、茶碗の中に映った見知らぬ男の顔をそのまま飲み干した男の末路を描く「茶碗の中」の4話で構成。キャストには三國連太郎仲代達矢岸惠子ら豪華俳優陣が集結。カンヌ国際映画祭では161分の短縮版が上映された。

 

S原:これは3時間(181分)あるねん。さすがに長かった。

Y木:やろうな。で、どうやったん?

S原:まずセット、美術がすごい。お金をかけすぎて(しかもヒットしなくて)製作会社が倒産したらしい(笑)

Y木:あー大作映画、あるあるやなー。

S原:この映画の不憫なところは、よほどのマニアでないと知られていないことやな。さっきも言ったけど、セットや美術は豪華やから、もっと歴史に残ってもええと思うんやけどな。

Y木:いや、映画史には残ってるでしょ。こうやって50年以上たってにDVDで観れるわけやし。

S原:ああ、そうやな。同じ1965年製作の映画は、ほとんどDVDになってないもんな。

Y木:これ、オムニバスなんやな。

S原:4つの話があります。「黒髪」「雪女」「耳なし芳一」「茶碗の中」やな。

Y木:「黒髪」は?

S原:三國連太郎が主演です。すごく若くて違和感があります(笑)三國連太郎は、京都に住んでるけど生活に困窮している武士です。で、三國は貧乏に疲れて、立身出世を夢見て妻を捨てて、遠い任地へ向う。そこで2人目の妻をめとる。その妻(新珠三千代)は、家柄も高貴で財産もあるけど、わがままで冷たいのよ。三國連太郎はそれも嫌になって、今更のように別れた妻を思い出す。

Y木:しょぼい奴やなあ。自分が捨てたくせに。

S原:で、最初の妻と住んでいた家を訪ねると、もう荒廃している。それでも中に入ると、昔とまったく変わらない姿の妻がいて……という話。

Y木:なるほど。まさに怪談やな。

S原:これは、まあまあやった。最初の妻の黒髪が長くて印象的やねん。前半は面白いねんけど、後半の三國が家に帰ってからが冴えない。

Y木:結局、どうなるの?

S原:妻は以前の姿のままで、三國が帰ってきたことを喜ぶ。昔のように一夜をともにした次の日、三國が眼が覚めると横には、骸骨姿になった女性がいる。でも髪の毛だけは黒々としている。

Y木:わ、気持ち悪い。

S原:観客も、気持ち悪い!と思えればええねんけど…どうもイマイチやった。骸とか黒髪を三國が怖がって、急に白い顔になっていくんやけど、反対に三國はなにもしないほうがよかったと思う。妻の怨念を感じて、自分の悔いを静かにかみしめる…そういうラストのほうが印象に残ったと思うけどな。

Y木:なるほど。それでは怖くないんとちゃう?

S原:そうなんやけどな。どうも惜しいです。

Y木:次の「雪女」は?

S原:仲代達也主演です。ストーリーは昔話のそのまま。子供の頃、よく絵本を読んだわ。

Y木:絵本と比べてどうやった?

S原:絵本のほうが怖かった(笑)

Y木:あかんやん。

S原:いや美術はすごいよ。背景が、わざといかにも「絵」って感じやねん。奇妙な感じがするし凝ってるで。でも、肝心の話がな。もう、みんな知っている話やん?

Y木:まあそうやな。

S原:雪の場面とか、ええ感じやねんけどな。どうも盛り上がりがない。平坦やねんな。

Y木:ふーん。「耳なし芳一」は?

S原:最初に源氏と平家の海上の合戦があるねんけど、ここはすごいお金がかかっている。でも、とくにダイナミックではないという。

Y木:あかんがな。

S原:でも、合戦のあとの寺の場面は良いよ。この寺は、平家一門の供養のために建てられたのよ。で、そこに芳一という琵琶の名人がいて……まあ、この話もみんな知ってるよな。

Y木:そうやな。体中にお経を書くやつやろ。

S原:うん。耳だけ書き忘れて、やな。これは、すごくしっかり作られてるねん。奥行きのあるセット、凝った照明、演技も自然で上手い。ただなあ……話が面白くないやん?

Y木:ハッキリ言うなあ(笑)

S原:小学生やったら怖がるかもしれんけど。でもなあ、小学生はこの映画は楽しめないんちゃうかな。

Y木:最後の「茶碗」は?

S原:これが一番不思議、というか変やった。主人公は、ある家の家臣です。あるとき、年始廻りの途中で茶店にはいる。そこで、出された茶碗の中に、若い男の不気味な笑い顔を見るねん。茶碗を何度とりかえても、同じ顔が現れるのよ。

Y木:ほう。

S原:主人公は、気味悪く思ったが一気に飲みほす。ある日、宿直をしている主人公を、見知らぬ若い侍が訪ねて来る。主人公はその顔をみて驚く。それは、茶碗の底の不気味な顔だったから。

Y木:おお、ミステリー風やん。

S原:で、主人公とその男は問答の末、主人公は男を斬るが、男は音もなく消えてしまう。翌日の夜、家に帰った主人公の元に平内の家臣を名乗る三人の侍が訪れてきます。なんと、主人は、主人公に斬られて療養中であり、来月16日に必ず恨みを果たしに来る、と告げる。主人公はカッとなって槍を手に取り、三人に斬りかかるけど、彼らは消えては現れ、また消えては現れと主人公を翻弄し続けます。

Y木:それで?

S原:ここで話が変わるねん。1899年、この「茶碗の中」を執筆中の作家の話になります。その作家の自宅を版元が訪ねてくる。応対したおかみさんは、ついさっきまでいたはずの作家を探しますがどこにもいません。そのあと、おかみさんの絶叫を聞き付けた版元は慌てて駆け寄ると、おかみさんは水瓶を指差しています。その水瓶の中を見てみると、水の中には何と作家が映っており、2人に対して手招きをしていました。作者の机には「人の魂を飲んだ者の末路は…」と記された、書きかけの原稿が置かれている…おしまい。

Y木:ふーん。変な話やな。

S原:個人的には、これが一番面白かった。まあ、豪華なセットや時代劇風の怪奇話を楽しむタイプの映画やけど、どうかなあ、ちょっと凡庸なような……こういうことを言うと、日本映画マニア・研究家から、いろいろと突っ込まれるんかいな。

Y木:それは仕方がないで、人それぞれやから(苦笑)

S原:さあ、みなさん。美術やセットは豪華でテレビの時代劇とは比べ物になりません。でも、テレビの時代劇のような良い意味でのケレン味がないような気がしますねえ。当時ヒットしなかったのもよく分かります。映画としての完成度は高いので、あとは好き好きでしょう。というわけで、古い映画云々は関係なく、人を選ぶ作品だと思います。興味のある方のみ、どうぞ~!

1960年代の邦画を観てみる!「新源氏物語」(1961)の巻

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S原:今回は原作に忠実な源氏物語ですよ。

Y木:ほう。チョイスが渋いな。

(あらすじ)

せめて一夜でも光の君と……女性なら誰でも一度は憧れた夢の恋を現代に結ぶ絢爛の大ロマン!

宮廷の全女性の憧れ、光源氏は、時の権力者左大臣の娘・葵の上を正妻とし、順風満帆たる人生を歩んでいた。ところが、父・帝の恋人である藤壷との出逢いにより、前途に陰りが見え始める。亡き母の面影をしのぶ藤壷に禁じられた想いを募らせる光源氏。その陰に嫉妬に狂う女の策略があった。これを知った朧月夜は、光源氏を救おうとするが……

 

S原:ぼく、じつは源氏物語って好きやねん。

Y木:へえ、意外。

S原:まあ一番好きなのは大和和紀の「あさきゆめみし」やけどな。

Y木:漫画かい(笑)せめて田辺聖子とか言ってくれよ。

S原:あ、田辺聖子も読んだで。でも、大和和紀版が一番わかりやすい(とくに人間関係)し、当時の恋愛の表現が上手いと思うねんけどな。

Y木:ふーん。興味がないから、ふーんとしか言いようがない(苦笑)で、この映画はどうなん?

S原:この映画はなあ……かなり紫式部の本に忠実なんやけど…

Y木:あかんの?

S原:源氏物語って平安時代特有の文化や風習があって、人間関係が複雑な話やねん。登場人物一人一人に背景があるのよ。なので説明をどこまでするかがポイントなんやけど……このへんは後で言います。

Y木:他はどういうところが不満?

S原:ちょっとスローかな。いろいろな出来事が起きるわりに、どうもドラマが盛り上がらない。そのゆったりとした感じが、絵巻物という雰囲気には合ってると言えなくもないけどな。

Y木:壮大な絵巻というか豪華絢爛なセットとか衣装をみせる映画とちゃうの?

S原:セットは良かった!まさに絵巻をそのまま立体にした感じでな。セットそのままなんやけど、逆にそれが奥行きがあるというか。このへんは言いにくいな。一度観てくれ、としか言いようがない。ただ、さっきも言ったけど原作に忠実やねん。その分サプライズもない……あ!でも「千年の恋 ひかる源氏物語」(2001)みたいな珍作は困るねんけどな。知ってる?天海祐希光源氏をしたんやで?

Y木:……天海祐希って女やん。

S原:うん。だから逢引の場面や寝床の場面がものすごく窮屈な演出という(笑)あーそうそう、思い出した!松田聖子が急に出てきて小室哲哉みたいなJ-POPを歌いまくるねん。たしか空に浮かんでたんとちゃうかな?

Y木:全然わからんぞ。なんやそれは。

S原:「千年の恋 ひかる源氏物語」はずっとDVDを探してるけど、いまだに出会えていない。死ぬまでにもう一度あの珍妙な場面を観ておきたい……ガクッ!

Y木:松田聖子はどうでもええから、この映画の話をしてくれ。要するに原作を忠実に再現しているんやな。

S原:ちょっと解説すると、紫式部自身が書いた元本は見つかっておらず、写本(鎌倉時代らしい)しかないねん。なので「原作に忠実に表現」と書くと、源氏物語の研究家から怒られてしまうかもな。

Y木:いや、そんな偉い人はこんなブログ読んでないから大丈夫やって。

S原:それもそうか。で、この映画やけど、あらすじはもう省略します。たいていの人は知っているやろうし。問題は、長大な物語のどこまでを描くかってことなんやけど、この映画では光源氏が明石に流されるところ、いわゆる都落ちまでになっています。全体的にはまずまず無難なつくりやと思う。

Y木:今回は、市川雷蔵光源氏なんやな。よかったな、男で(笑)

S原:うん。帝(光源氏の父親)は市川寿海。桐壺は寿美花代。桐壺と生き写しという設定の藤壺は、寿美花代の二役です。

Y木:あー光源氏と、義母と息子関係でありながら一線を越えてしまうという…

S原:そうそう。これが源氏物語の根幹やねん。一見華やかに女遊びをしている光源氏やけど、この事実(子供まで出来てしまう)が、心に暗い影を落とす。最後は、自身の継室(女三宮)が、なんと別の男性(柏木)との子を産む。それを光源氏は「自分の子」として胸に抱く。壮大な宿命と言うか罪というか、人間の業みたいな感じがすごいのよな。

Y木:あーそういう話やったんや。ただのプレイボーイの話とはちゃうんやな。

S原:あなた、古典の授業で読んだやろ?桐壺か六条の御息所あたりは、よく教科書に載ってるはずなんやけどな。

Y木:古典の授業なんか寝てたわ。

S原:もったいないな。で、この映画についてもう少し話すと、なんというか説明的なセリフがあるのに、肝心なところがわかりにくいというか。

Y木:よくわからん。

S原:例えば、光源氏は継母の藤壺に恋焦がれる。いまでもタブーやし、当時ならものすごい禁忌やろ?でも、あっさりとお付きの者に、自分の恋心を話してしまう。こういう演出がちょっとな……ほかにもあるで。六条の御息所は、源氏よりも年上でプライドが高いけど、本当は源氏に通ってほしい気持ちがある。でも言えない。葵の上は源氏の正室でツンツンしているけど本当は源氏に愛されたいと思ってるんやけどな。映画では、そういう女心/男心が上手く表現できていないかな。

Y木:監督はだれ?

S原:森一生です。

Y木:知らん。

S原:プログラムピクチャー中心で、渋い職人監督という感じなんかな。同じ市川雷蔵主演で「ある殺し屋」(1967)を作ってるけど、これは観たことあるねん。これ、めちゃ面白いで。それに比べると、この映画は少し落ちるなあ……全体の雰囲気は悪くないし退屈はしないけど、どうにも厚みがないというか、凡庸やった。そういえば、源氏物語ってホラー要素もあるって知ってた?

Y木:ホラー?

S原:女の怨念が生霊になるねん。生霊がスーッと動く場面はなかなか良いで。

Y木:生霊?

S原:女遊びをしている光源氏に嫉妬するんやな。しかも光源氏本人にとりつくわけでなくて、女性側に嫌がらせをする。このへんが女の業というか……平安から令和の時代なっても……嗚呼、女心の恐ろしいことよ……(遠い空をみあげる)

Y木:実感してるなあ(苦笑)

S原:ま、そういう映画やったよ。

Y木:今回はあんまりおススメちゃうんやな。

S原:さあみなさま。よほど源氏物語マニアか市川雷蔵が好きな人は楽しめると思いますが、ほかは人は厳しいでしょう。少し興味のある人は、まずはレンタルでどうぞ~!

1960年代の邦画を観てみる!「女経」(1960)の巻

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S原:今回はオムニバス映画!

Y木:ちょっと変わった映画っぽいな。

(あらすじ)

増村保造市川崑吉村公三郎という、大映が誇る三大監督によるオムニバス映画。主演の三大女優(若尾文子山本富士子京マチ子)による競演も話題になった。

 

S原:これは、3つ話があるねん。ひとつずつ話すわ。最初は「耳を噛みたがる女」(増村保造監督)。これは、銀座のキャバレーでホステスをしている若尾文子が主役です。

Y木:ホステスか。男に騙される悲しさとか描いているの?

S原:いや逆です。若尾文子は、店の客から口八丁手八丁で金を巻き上げてます。それを株に投資をしている。本人曰く「老後のため」らしい。で、社長の息子のボンボン(川口浩)がおるんやけどな。そいつが、若尾文子をモノにできるか友達と賭けをするのよ。

Y木:それで?

S原:川口浩はスポーツカーでデートに誘う。スポーツカーでのドライブして良い感じになるけど、若尾文子を心の底では信じていない。自分のことを遊びだと思っているだろう、と割り切っているつもりなんやけど、若尾文子は本気でボンボンのことが好きだと言うのよ。ホテルで夜を過ごしたあと、川口浩は一人で先に帰る。じつはその日は、自分の結婚式やねん。

Y木:おいおい、結婚式前夜に他の女と一夜を共にしたらあかんやろ。まあ男も遊びってことか。

S原:そのつもりやったんやけど、段々と若尾のことが忘れられなくなる。結婚式当日なのに「このまま親の言う通りに結婚をしてよいのか」「本当に愛してくれるのは、親が進めた結婚相手ではなくて若尾文子ではないのか」と悩んで、ついに若尾のところに会いに行ってしまい……という話。

Y木:おもしろそうやん。

S原:面白いよ。当時のバー(キャバレー)とかダンスホール、パチンコとか今観ると新鮮やしな。

Y木:若尾文子は、本気で川口浩のことを好きなんか?

S原:イエスのようなノーのような、このへんの曖昧さが上手い。心の底では川口を結婚しても良いと思ってる(らしい)。だけど、今日結婚する相手(花嫁)はどうなる?ええ面の皮やん?

Y木:たしかに。

S原:で、わざと(?)あっさりと川口浩を振ってしまう。川口は憮然としてでていく。そのあと、「さあ、お金を稼がなくちゃ!」とさっそうと銀座にいく若尾文子の後ろ姿が映っておしまい。

Y木:ふーん、なかなか味のある話やな。

S原:第2話は、「物を高く売りつける女」(市川崑監督)。最初に新聞記事が出て、流行作家の船越英二が失踪していることがわかる。そのあと、湘南の海岸で船越は目が覚める。その人気のない海岸で、不思議な白い肌の女と出会う。これが山本富士子。もう妖艶と言うか、冷たい美しさと言うか。一瞬幽霊の役かと思ったくらい(笑)翌日に、船越がその海岸に行くとその女が紙の束を燃やしている。女は死んだ主人の手紙を焼いていると言う。さらに翌日、一軒家のまえで山本と再会した船越は、家に誘われてそのままお風呂にはいります。そうすると、スーッと女が風呂場に現われて……

Y木:おおー。

S原:出だしからこのへんまでの雰囲気はゾクゾクするで。いろいろあって、船越英二山本富士子の一軒家を、彼女ごと買い取ることにする。ここまでが前半やけど、後半になると全く雰囲気が変わるねん。

Y木:どんでん返しってこと?

S原:うん。映画の雰囲気自体がガラリと変わるねん。実は、山本富士子は不動産を売りつけるために、妖しい演技をしていた、という展開になるのよ。船越英二をダマしたんやな。ところが、船越が山本を見つけ出して会いにやってくる。そして…

Y木:結局、どうなるの?

S原:これは観てほしいから内緒です。それにしても、この映画での山本富士子船越英二は絶品やと思うなあ。ひさしぶりに俳優に酔ったわ。2人とも、さぞかし演じ甲斐があったんちゃうかな。

Y木:俳優の演技に酔うか。それは見応えあるやろうな。

S原:最後は、「恋を忘れていた女」(吉村公三郎監督)。京都の修学旅行専門の宿屋の主人(京マチ子)がいます。彼女は、昔はちょっとした売れっこの妓でした。結婚した後、旦那が先に亡くなり、木屋町に酒場、先斗町お茶屋を経営する働き者です。ある日、死んだ主人の妹が、その恋人と結婚するため金を借りにきます。ところが、京マチ子は、自分の家の財産を狙ってきたものと思い、いい返事をしないのよ。

Y木:ほう。

S原:で、この宿屋に名古屋の小学校の団体が宿泊してくる。ところが、生徒の一人がオートバイにはねられて重傷になってしまう。そこへ、昔の恋人(芸妓時代の恋人)から電話がくるが、お三津は居留守を使う。そんなエピソードが続いて、京マチ子は疲れてしまう。で、結局昔の恋人に慰めてほしい気持ちもあり、会いに行ってしまう。ところが、その元恋人は、金を貸してくれというのよ。京マチ子は、自分にまだ気があると思って会いに行ったんやけど、もうガッカリしてしまう。しかもすぐに刑事がやってきて、元恋人を捕まえる。詐欺で指名手配されてのよ。

Y木:ふんだりけったりやな。

S原:そんな感じで、気持ちがスカッとしない出来事が続くんやけど、そこへ修学旅行の生徒が重態になったという電話がある。病床に駆けつけた京マチ子は、子供の苦しそうな姿に思わず輸血を申し出る…こういう話です。

Y木:うーん、前の2つに比べるとちょっと地味と言うか。

S原:そうやな。つんけんしてた女性の心模様を描いた小編なんやけど、これも京マチ子は良いよ。確かに話はあんまり面白くないかも。

Y木:最後はどうなるの?

S原:京マチ子が心を入れ替えておしまい。刑務所に言った元恋人を待つというところで、話は終わります。

Y木:なんか心変わりが唐突やな。

S原:うん。結構あっさりと心が変わってしまう。でも、こういう内容やからな。これはこれでええと思うで。

Y木:今回は面白かったんやな。

S原:うん。普通オムニバス映画って、ひとつ面白くてあとは普通の出来というのが多いねんけど、今回は3つともイケます。ぼくは、とくに「物を高く売りつける女」が一番好きですね。あと、エンドクレジットがアニメで、ここもユニークです。というわけで、今回の映画は、おススメ!中古店でみかけたら、ゲットしてくださいませ~!

1960年代の邦画を観てみる!「セックス・チェック 第二の性」(1968)の巻

セックス・チェック 第二の性 [DVD]

S原:今回はこれ!レンタル店で女性は借りにくいタイトルの映画です。

Y木:変なタイトルやな。ポルノか?

(あらすじ)

南雲ひろ子は日本記録まであと一歩というところまで迫るスプリンター。しかし、セックス・チェックの結果、男女両方の生殖器を持つ「半陰陽」と診断され、オリンピック出場資格を剥奪される。ひろ子を鍛えてきたコーチの宮路は諦め切れず、雲隠れしたひろ子を見つけ出し、彼女の女性的部分を発達させようとする・・・

 

Y木:うわ、すごいストーリーやな。

S原:ぶっとんでるやろ。これは、ポルノじゃないねん。しいていうなら、「性」をテーマにしたブラックコメディかな。

Y木:半陰陽(はんいんよう)って何?

S原:両性具有なんやけど、医学的にはいろいろとあるみたい。これが原因で「女性選手」としてはオリンピックに出場できなくなるわけ。安田道代(大楠道代)が陸上選手を演じています。せっかく手塩にかけて育てたコーチはあきらめきれない。この役が緒形拳ね。

Y木:あー緒形拳。変な映画にでてるんやなあ。

S原:嬉々として演じたで。安田道代もすごいけど、この緒形拳が出色の出来でな。思い込みが激しいというか、もう頭がプッツンしているというか。

Y木:どんな話なん?

S原:はじめから話すと、緒形拳自身も陸上選手やったんやけど、戦争でオリンピックに出場できなかったというところから、始まります。あるとき陸上部のコーチを頼まれて、偶然に安田道代と出会う。負けん気の強いところも気に入ると同時に、陸上の才能を見出すねん。早速陸上部で鍛えることになる。それはええねんけど、コーチの仕方がすごい。

Y木:スパルタ?

S原:いや。女子選手が早くなるためには、自身内部の「男性」の部分を引き出さないといけない。なので「勝つためには男になれ!」と命じるのよ。

Y木:男になれって、どういう訓練?

S原:「毎日ヒゲを剃れ。その内ヒゲが生えてくる!」

Y木:…おいおい。

S原:あとは「男言葉を使え!」とか。でも、記録が伸びるねんで(笑)あと、2人は社宅の一室で生活も共にすることになるねんけど、今では考えられへんよな。このへんは時代やろうな。で、大会前のセックスチェック(性別確認)で、安田は半陰陽と診断されてしまう。「男女両方の性器がありいずれも未発達」「半陰陽と診断」。これではオリンピックに出場できない。よく聞くと、彼女は生理が一度も来たことがないらしい。本人自身も自分は何者かずっと悩んでいたことがわかる。

Y木:なるほど。それでどうなるの?

S原:安田道代はショックで伯母の家にひきこもってしまう。しかし緒形拳は諦め切れず、ひろ子を迎えに行く。砂浜で二人は口論になるが、今度は緒形拳が言う。「おまえを女にしてやる!」「そうすれば、おまえは女性選手となりオリンピックに出場できる!」

Y木:……おいおい。

S原:そこからがスゴイよ。昼は陸上の練習。夜は女になるための練習。緒形拳とのチョメチョメに励みます。昼も特訓、夜も特訓♡

Y木:言い方がいやらしいな。

S原:そしてやがて生理がきます。無事に「女」になりました。やったぞ、と喜ぶ緒形拳。その喜びの勢いのまま、またチョメチョメします。

Y木:……おいおい。

S原:ま、そういう映画ですから。こんな感じのトンデモ映画なんやけど、なんともいえん魅力があります。

Y木:最後はどうなるの?

S原:あー最後はおもろいよ。結局、女性認定をされて陸上の大会に出場できるようになります。でも、緒形拳の期待とは裏腹に平凡な記録しか出ないのよ。で、緒形拳がつぶやきます。「女にしすぎたんだ…!」

Y木:あははは!落語みたいなオチやなあ。

S原:最後は、2人でトボトボ歩いているところでおしまい。ここは、なかなか味があったわ。

Y木:世の中、変な映画があるんやなあ。

S原:さあみなさん。とても変な映画ですが、わかりきったハリウッド製にはないユニークさが楽しめますよ。日本映画界に勢いがまだあった時代なので、こういう実験的と言うか大胆な映画まで作れたんでしょうね。いまの電通やフジテレビが、この企画を通すとは思えません。でも、この映画はおススメです。マストバイとまでは言いにくいですが、どこか機会があればぜひ観てください~!

1960年代の邦画を観てみる!「風と樹と空と」(1964)の巻

風と樹と空と [レンタル落ち]

S原:今回は、吉永小百合

Y木:こんなブログで吉永小百合を取り上げる日が来るとは…

(あらすじ)

沢田多喜子(吉永小百合)が故郷から集団就職の一員として上京し、高校時代のクラスメイトである手塚新二郎(浜田光夫)、高柳武雄(和田浩治)、小石信子(平山こはる)、会田かね子(安田道代)らと上京し、安川家のお手伝いさんとなる。その夜、多喜子を迎えた安川家の晩餐は、多喜子の無邪気な明るさで、これまでになく和気あいあいとして、明るい光源を投げ込んだような雰囲気だった。ある日、多喜子たちの上京仲間は公園に集まり、それぞれの仕事や私生活の話に花をさかせる。その日多喜子は車でドライブを楽しんだが、途中、信子と武雄が将来を誓い合った仲だったことを知って驚く。多喜子は武雄に密かな想いを寄せていたのだ・・・。

 

Y木:この映画、知らんわ。

S原:僕も知らんかった。昔の吉永小百合の映画を観たのはもしかして初めてかも。

Y木:まあ、おれらよりもかなり上の世代の清純派女優(アイドル)やもんな。

S原:いまのヤングにとっては、品の良いおばさんやろうけど、昔々はそれはすごい人気やったらしい。

Y木:あー吉永小百合の熱烈ファンを「サユリスト」とか呼んでたんやろ。

S原:そうそう。聖飢魔IIのファンは「信者」って呼ばれてるんと一緒やな。

Y木:聖飢魔Ⅱなんか引き合いに出すな(笑)で、この映画はどうやったの?

S原:もう徹頭徹尾、サユリストのための映画。いかに吉永小百合の魅力を上手く見せるか?それだけを考えて作られた映画です。

Y木:ほう。今で言うアイドル映画?

S原:そうやろうな。吉永小百合って、いまみてもすっごく清潔感があるねん。そういう若い娘が東北の故郷から上京します。ある家でお手伝いさんとして働く。周りもみんな良い人ばかりで、(すこしだけ)悩みながら、のびのびと成長していく。ほんまにこれだけの映画やねん。

Y木:吉永小百合の演技はどうなん?

S原:良かったで。すごくセリフが聞きやすいねん。ほかの俳優もみんな自然やった。ただ、さっきも言ったけど、朴訥と言うか素朴と言うか、なんにも起こらない映画ってあるやん?あれやねん。

Y木:この映画の、面白さってどういうところにあるの?

S原:まず吉永小百合の「東北弁」やろうな。地方から出てきた若い娘が方言を堂々と使うのって、グッとくるやん?

Y木:そうかな。

S原:学生時代の映画サークル(S原とY木が所属していた)にも、博多弁とか名古屋弁を話す女子がおったやん。「Y木くん、あの映画は観たっちゃ?」とか「S原さん、私、かっこいいギターが好きなんだわ~」とか。あれはええわ~。

Y木:おまえの好みやがな。ほかには?

S原:あとは吉永小百合が演じる主人公のキャラクターやと思う。なんというか、素直というか都会擦れしていないというか。お手伝いさんとして就職した家で、空気を読まずにご飯を4杯食べたり(笑)なんでも本音で喋ってしまうねんけど、明朗でついつい周りも許してしまうという。

Y木:なるほど。恋愛要素は?

S原:ちょっとあるけど、たいしたことない。映画の演出もストレートそのもの。途中で素朴な絵が挿入されたりして、もうのんびりムード満載です。でも、この時代の映画を観ると「へえー」と思うことが多いのよ。

Y木:古い時代の風景がみれるから?

S原:それもある。道路とか空いてるしな。ほかにも高校卒業して集団就職で上京するとか、それも「お手伝いさん」で就職とか、女性は卒業したらすぐもう結婚を意識するとか。

Y木:あー今とは違うかもなあ。

S原:年頃の娘たちにとっては「もしも嫁げなかったらどうしよう」という焦りもあるねん。いまみたに女性が会社組織で重要なポジションに就くなんか夢のまた夢の時代やからな。そういう当時の世俗がわかるのも興味深いで。

Y木:当時の文化はともかくとして、映画としてはどうなん?たいしたことない?

S原:そうやなー。まあ1回観ればええかな。観ている間は楽しいけど、本当にささいな話やから。でも、こういう「なにも起こらない映画」を作れる時代やったんやな。いまでもアイドル映画ならアリやろうけど、さすがにもう少し大きいエピソードか出来事を挿入すると思うわ。

Y木:まあ、それも含めて昔の邦画って感じやな。

S原:さあーみなさま。昔の日本映画に興味がない人はちょっと厳しいでしょう。ただしサユリストは必見ですよ。最後の場面は、三球三振してテヘペロする吉永小百合!その可愛さに悶絶してくださいませ~!

1960年代の邦画を観てみる!「蛇娘と白髪魔」(1968)の巻

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S原:今回は楳図かずお

Y木:うひょー、楳図かずおか。

(あらすじ)

孤児院で暮らしていた小百合が南条家に引き取られた。だがその家には、姿を隠しているもう一人の少女が居た。やがて小百合は、不気味な白髪の女に命を狙われる……。楳図かずお原作の怪奇マンガを映像化。

 

S原:結論から言うと、これは楽しい映画やった。

Y木:ホラー?

S原:というか、恐怖映画、お化け屋敷映画やな。

Y木:どうなん?怖いの?

S原:全然怖くないです。DVD特典で楳図かずおのイラストも収録されてるけど、そっちのほうが怖いで。

Y木:あーあの絵は怖いよな(笑)で、蛇娘に襲われる映画なんやな。

S原:ほんまにそれだけやねん。主人公は小百合という少女。孤児院にいるけど、生き別れの両親の家に戻ることになります。父親が迎えに来てくれるんやけど、その車の中で「きみの母親の心の調子が良くない。それを分かってほしい」と言われます。お手伝いさんががいるような立派な屋敷やねん。母親は歓迎してくれるけど「あーあなたはタマミね」と言ったりして、やっぱり様子がおかしいのよ。

Y木:ほう。それで?

S原:暮らし始めてすぐ父親が仕事で半月ほど不在になる。この父親だけは普通やったんやけどな。いなくなって、屋敷には母親はじめ変な奴らばかりがいることになる。そこで少女は、屋根裏部屋にタマミという少女がいることを発見する。それは姉である、と母親に説明されて、仲良くしようとするけど…

Y木:ああ、その姉が「蛇娘」なんやな。

S原:そうそう。タマミは、カエルの図鑑をみて舌なめずりしたり、背中にウロコがあったり、そういうのを主人公が発見して気味が悪いと思う。で、ついにタマミが主人公を襲う…こういう感じです。

Y木:ほんまにお化け屋敷やな。

S原:1968年という時代もあるけど、どうやろ。公開当時でも、レトロ調のホラー映画と感じたんとちゃうかな。

Y木:「楳図かずお風味」はどうなん?

S原:やっぱり楳図かずおの恐怖漫画の実写化って難しいで。あの独特の歪んだ絵が怖いやろ。普通の場面でのほうが、むしろ怖いやん。そういうのが映像になると、やっぱりお化け屋敷になるんやろうな。

Y木:観てないからよく分かんけど、作ってる方も割り切ってるんとちゃうの?

S原:たぶんそうやと思う。ちゃんと起承転結もあるし、のんびりムードで楽しむにはピッタリやと思う。あーそうそう、特典映像でみうらじゅんが解説してるねんけど、面白いで。「タランティーノが発掘する前に、みんなでこれを再評価しよう」って。あとは「運転手役で楳図かずおがでてくるけど、それが気味悪い」って(笑)。たしかに普通の格好なんやけど、すごい奇妙やねんなー。

Y木:相変わらず、みらじゅんって感じやな。まあ、いまの映画とは違う感じやな。

S原:全然違います。それを楽しめるかどうかやけど、映画好きのヤングたちも新鮮に感じるはず。というわけで、今回はおススメです。こういうのは配信しないでしょうから、機会があればぜひ観てくださいませ。みんなでワイワイいいながら観るのもアリですよ~。