あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定)

ホリエモン製作映画3番勝負!「電話の恋人」(2004年)の巻

電話の恋人 [DVD]

S原:今回はこちら。ホリエモン率いるライブドア印の映画、第二弾ですよ!

Y木:昔のフジテレビのしょぼい恋愛ドラマみたいなパッケージやな。

(あらすじ)

「交錯する言葉 すれ違う想い」そして、いくつもの彼らにとって奇跡が、彼らを導いていく。二人の思いは携帯電話のように繋がったり途切れたり、携帯電話を通じていくつもの奇跡が起こるミラクルラブストーリー。

 

S原:いやはや、これはないわー!

Y木:そうなんや。

S原:この映画はありえんわー!

Y木:いきなりダメ出しかいな。

S原:だって、ほんまにダメやもん。

Y木:だから、どこがダメなのかを言えよ!

S原:はじめの「スタジアムで会いましょう」もあんまり褒めなかったけど、これに比べたら、ほんまによく出来た映画やった(笑)ああ、この映画についてどうコメントすればええんやろか…(ため息)

Y木:じゃあ、今回はパスしたらええがな。

S原:いや、全国数万人のこのブログファンのためにも、それは出来ませぬ!

Y木:そんなにおらへんわ!

S原:いやこの映画はなー。上のあらすじの通りなんやけど、ラブストーリーやねん。

Y木:ミラクルラブストーリーって書いているで。

S原:そんなもん、ミラクルなんか起きるかいな。主人公(有坂来瞳)はCAやねん。付き合っている会社員の男(高田宏太郎)がおるねんけど、最近ちょっとギクシャクしてる。主人公は、亡くなった元カレのことを少し引きずってます。

Y木:ふーん。

S原:主人公には、看護師をしている女友達(中村麻美)がいるけど、実は勤務先の医師と不倫しています。

Y木:ほー。

S原:ある日、付き合っている男が福岡に転勤になります。これを機に男はプロポーズをする。主人公はいろいろ悩むけど結婚を決心します。

Y木:それで?

S原:福岡でぎゅーって抱き合って、おしまい。

Y木:えー…

S原:ほんまやねんって。ほんまにこんな映画やねんって。

Y木:まあ、ストーリーは単純でもええがな。どういうとこがダメなん?

S原:まず主人公2人のキャスティングが合っていない。有坂来瞳と高田宏太郎のファンには申し訳ないけど、どう考えても役柄に合っていない。演技はそんなに悪くないと思うけど、可愛く・かっこよく撮られていないから、本人たちに気の毒になったわ。大体、男の髪型がビジュアル系音楽のコピーバンドみたいに茶色でボサボサで、寝グセがあるねんで。そんな会社員おる?(笑)それに、さっきも言ったけどストーリーが平坦すぎるから、なんか知らん人のグチを聞いてるみたいやねん。

Y木:それはキツイかも。

S原:苦痛やで、ほんまに。ほかにダメなところを挙げるとキリがないけど、ドラマの展開がメリハリがないとか、亡くなった元カレへの心残りが中途半端とか、友人役の中村麻美の存在感が主人公を喰ってるとか、その中村麻美のエピソードのほうが面白そうとか、コメディにもなってないし恋愛ものにもなっていないとか、NTTの宣伝のために携帯電話をしているけど小道具として演出に生かされていないとか、主人公たちの背景に不自然にNTTDoCOMoのロゴが映るとか、女優が脱がないとか、せめてシャワーシーンくらいサービスしろよとか、ほかにもあるで。えーと…

Y木:わかった、わかった。良くない点がたくさんあるのはわかった。要するにダメ映画ってことね?

S原:そうなんやけど、欠点のあるダメ映画は世の中にたくさんあるやろ?

Y木:まあな。

S原:でも、この映画には、そういう小さな欠点を吹っ飛ばすようなビッグ演出があるねん!

Y木:ビッグ演出?

S原:この映画は、物語の要所要所で登場人物たちが、自分の心のうちを語るのです。

Y木:は?

S原:インタビューを受けてるっていう設定みたいなんやけどな。場面が変わるたびに、この映画の登場人物3人が話すねん。

Y木:インタビュー?なんでインタビューなんか受けてるの?

S原:知らんがな(笑)なんか恋愛について聞かれてて、3人それぞれが答えてるという設定らしい。でもなあ、この3人が、ことあるごとに出てきて、具体的に恋愛話、要するにこの映画の内容を話すねん。そんな演出ある?というか、そんなインタビューってある?まるで居酒屋の雑談やがな(笑)

Y木:インタビューか。たしかレアな演出やな(笑)

S原:レアやで、ほんまに。だってランボー3でのスタローンが「このあと、マシンガンを乱射して、なんとか敵をやっつけたけど、あのときは焦ったわ~」とか映画の途中でインタビュー受けたら変やろ?ミステリー映画で、探偵が謎解きの前に「こいつが犯人やと思うけど、ほんまに合ってるかな?」とかインタビューに答えたら、それは変やろ?

Y木:おまえの例えもどうなんや。

S原:とにかく登場人物が、その場面の心情とか迷っている気持ちとか全部ペラペラしゃべる。親切さ・わかりやすさで言えば、この映画以上はないと思う(笑)

Y木:どんなことを話すんや?

S原:たとえばケンカをした場面のあとに「このときは、ちょっと冷たい態度にでてしまって…」と語ったりする(笑)

Y木:なんやねん、それ。

S原:男が浮気を疑われた場面のあとには、男が「いや、マジ浮気なんかしてないっすよ!」とインタビューで言い訳する。あとは推して知るべし。「これからどうしようかなーって迷ってて…」とか「嘘がキライなんです、嘘が!」とか「いろいろ悩んでて…」とか。

Y木:わざわざ、全部インタビューで喋るなら、もう映画なんか撮らんでもええやん(笑)

S原:イエース、ザッツライト!親切すぎる設計なのか、監督の意向なのか、はたまたホリエモンのセンスなのか…理解不能なり。

Y木:あーあれちゃう?ウッディ・アレンの映画とかでそういう演出あるやん。主人公がカメラに向かって、心情を話すみたいな。

S原:たしか「アニー・ホール」(1977)やったかな。でも、あんな感じじゃないねん。演出として取り入れてるんじゃなくて、ただインタビューを受けてるのをみせられるだけ。

Y木:なんか伏線になってるとか?

S原:いや、全然そんなんでもなかった。ほんまにどうでもええ話をするから、興味のない草野球チームの、お立ち台インタビューを聞いてるみたいにスルーしてしまう(笑)

Y木:たしかに、それはスルーするなあ。

S原:まあ、世の中にはいろいろな映画があると頭では理解しているつもり。けど、こんな撮り方をするのはハッキリ言って「逃げてる」と思う。お願いやから恋愛ものでもNTTの宣伝映画でもええから、ちゃんと撮ってくれって。だいたい、こういう映画は俳優たちが魅力的ならOKやがな。彼らの「良い表情」「魅力的な瞬間」をひとつも撮れずに、監督や製作者たちは恥ずかしくないんかな?ある意味、俳優殺しやで、ほんまに(苦笑)

Y木:さあ、知らんけど。こんな映画をちゃんと語ろうとするおまえの姿勢だけは感心するわ。ほめてないけどな(笑)

S原:さあ、みなさん。携帯電話の宣伝映画ですが、とくに携帯が絡むわけではありません。むしろNTT賛美の映画もほうがきっと面白かったでしょう。田舎町のさえないカップルの結婚前のエピソードみたいな映画です。それでも興味のある方は止めません。ぜひゲットしてくださーい!

ホリエモン製作映画3番勝負!「スタジアムで会いましょう」(2004年)の巻

スタジアムで会いましょうの画像・ジャケット写真

S原:今回はこれです。

Y木:ホリエモン製作映画?なにそれ?

(あらすじ)

女性雑誌の編集者である初音は連載記事を任せている作家の堀川に恋してしまう。誰にも言えないそうした想いを、彼女は本名すら知らないネット上の友だちに打ち明け始める。

 

S原:この映画、ホリエモンこと堀江貴文氏がエグゼクティブ・プロデューサーやねん。ほかに、当時のライブドアの重役たちがズラリと名を連ねているから、会社として製作したんやろうな。

Y木:へえ。

S原:札束の威力で、女優に手をだしたりしたんやろな。

Y木:発想が中学生やがな。

S原:それにしても、なんで映画製作なんかしたんやろか?

Y木:当然、こういう奴らは儲けを考えるでしょ。それ以外に出資する意味なんかないやん。

S原:いやーこんな映画で儲けがでるか?

Y木:ま、それは結果論やろ。ヒットしてたら「さすが、ホリエモン、映画もヒットさせた!時代の寵児!』と持ち上げられるで(笑)

S原:ホリエモンも調子に乗って『みててください、次はハリウッドに乗り込みますよ!』とか記者会見で語ったりしてな(笑)まあ残念ながら、現実はほぼ誰も知らない映画になったしまったけど。で、この作品について話すと、まず画像がザラザラやねん。

Y木:ザラザラ?

S原:中古のフィルムを使ったんやろうな。

Y木:ライブドアもフィルム代くらいちゃんと出したれよ。

S原:とにかく家庭用ビデオカメラみたいな映像やったわ。

Y木:まあ映像はともかく、映画としてはどうやった?

S原:うーん、60分くらいのテレビドラマみたいやったな。可もなく不可もなく、観終わってもほとんど印象に残らない。

Y木:そうなんや。

S原:不思議なんやけど、ありきたりな題材でありきたりな演出で撮って、面白くなるんやろか?

Y木:それは知らんけどな。

S原:不思議やわー。

Y木:単純に、役者を魅力的に撮れればOKの作品なんとちゃうの?

S原:あーそうかもな。たしかに遠藤久美子甲本雅裕は、なかなかよかった。でも、やっぱり物足りないわ。ありきたりすぎるしな。

Y木:予定調和ってこと?

S原:昔「ユー・ガット・メール」ってあったやろ?

Y木:あートム・ハンクスメグ・ライアンやったっけ?

S原:そうそう。あれと話は一緒やねん。ネット上で、良い感じでつながっているけど、現実世界では犬猿の仲という設定ね。

Y木:そのままやん。

S原:そのままやで。それ以上でもそれ以下でもない。だから、安心してみることが出来るとも言えるし、分かり切っているから別に観なくてもええかな、とも言える。

Y木:でもラブコメってそういうもんでしょ。

S原:うーん、ラブコメというわりには、コメディ要素が足りないなあ。とくに伏線もないし、淡々と進むだけ。これじゃ、エンクミ甲本雅裕のファン以外は観ないよなー。

Y木:ネット上では素直になれるっていうパターンやろ?やがて、恋愛感情が芽生えるんやろ?

S原:そこはベタでええねん。でも、この作品は一番おいしいラストで、急に変になるねん。

Y木:変になる?

S原:現実では、いがみ合ってるけど(同じマンションに住んでいる)、ネット上では段々とお互いに惹かれていく。いよいよ、思い切って2人は合うことになる、2人が大好きな野球チームのスタジアムで待ち合わせをするねん。これがラストシーンね。

Y木:だから「スタジアムで会いましょう」やな。

S原:その通り。最後の最後に、ネットでしか繋がっていなかった2人が、現実にいよいよ初めて会う。でも実は、2人はすでに(気づかないうちに)出会ってる。さあ、どうなるか?もちろん、ここが一番のクライマックスやで。

Y木:おー。どうなるの?

S原:甲本雅裕は、ドキドキしながら待ち合わせ場所にいます。息子も一緒です(奥さんは亡くなっている)。エンクミが来ました。

Y木:2人とも驚くやろうなあ。

S原:甲本雅裕は、驚きます。言葉も出ません。

Y木:そりゃそうやろな。

S原:ところがエンクミは、テクテクと歩いてきてニコッと笑うねん。なんと、全然驚かないねん。

Y木:なんで?

S原:さあ…

Y木:さあ…って、エンクミは気づいてたってことやろ?

S原:いや、気づいてないよ。直前までそんな描写(説明)はなかったしな。

Y木:じゃあ、変やん。おかしいやろ。

S原:おかしいよ。映画として今まで懸命に作り上げてきたものを最後にガラガラガラッと自分で壊してるねん。

Y木:えー…?

S原:ほんまやで。いままで知らない他人だと思っていた人と会ったら、一体どんな表情をするのか?どんな反応をするのか?そこが一番盛り上がるはずやろ。観客はそこを観たいはずやのに、そこを描かないという恐ろしい映画やねん。

Y木:ほんまかいな。

S原:たとえば、推理もので、①ラストの探偵の謎解きを容疑者たちが聞く。意外な犯人が判明する ②でも、だれも無表情で驚かない ③しかも「だれも驚かない」という理由の説明はない…こんな感じかな。

Y木:それって、一番大事な部分が意味不明って。話の構築というのかストーリーが破綻してるやん。

S原:破綻してるよ。

Y木:えー。

S原:これが、ホリエモンのセンスなんやろうな。

Y木:怒られるぞ、おまえ。

S原:さあみなさん。とくに印象に残らない作品ですが、ラストの不可解さだけは注目に値します。というか、意味が分かった人は教えてくださいませ!

 

「スピーク」(2010)の巻

スピーク [DVD]

 S原:さあひさしぶりにこんな映画ですよ!

Y木:ホテルに閉じ込められる話か…

(あらすじ)

呪われた場所として恐れられる廃きょのホテルに乗り込んだ映画撮影クルーが体験する恐怖を、リアリティあふれる主観映像で描くフェイクドキュメンタリーホラー。売れない若手映画監督のシェリーは呪われたホテルで恐怖ドキュメンタリー映画を撮影し、名を上げようと目論む。管理人の忠告を無視してホテルに乗り込んだシェリーと撮影クルーらはカメラを回し始めるが、想像を絶する怪奇現象に見舞われ館内に閉じ込められてしまう・・・

 

S原:これはあかんわー。

Y木:いきなり結論か。フェイクドキュメンタリーホラーって、一時期流行ったヤツやろ?

S原:そうそう。出演者たちがカメラを持って映像を撮っているのが、そのまま映画になってる。たぶん安上がりに製作出来るから、いまだにB級ホラーではこの手法が使われている。でもなあ、これはどうしても「手ブレ」映像になるやろ?

Y木:そうやろな。

S原:酔うねん(苦笑)

Y木:じゃあ観るなよ。これは、手ブレやからダメってこと?

S原:いや、映画そのものが全然面白ない。

Y木:というか、こんなDVDを「面白いかも」と期待するおまえがスゴイわ。

S原:ストーリーはありきたりやけど、撮り方次第では面白くなりそうやん。

Y木:そりゃそうやけど…どういうところがあかんの?

S原:欠点を言い出すときりがないけど(笑)この映画は81分しかないのに、「呪われたホテル」に行くまで15分かかる。それまでダラダラとしたヤングの雑談を聞かされる。

Y木:雑談……嫌やなあ。

S原:いよいよ訳ありホテルに入る。ここで不気味な雰囲気を出さなあかんやろ?ちょっとゾクッとする感じで緊張が少し高まるみたいな。

Y木:そうやな。

S原:ところが、登場人物たちがペラペラペラペラ喋りまくるねん。雰囲気もなにもあったもんやないで。こういうのは、ホテルの中にはいったら、急にみんなが「……」という感じで黙ってしまう場面で十分やん。でも、喋りまくる(笑)

Y木:そんなに喋るかいな。

S原:昔、合コンに行ったら「盛り上げようとして喋りまくって、女性にドン引きされている男」っておったやろ?

Y木:おまえや、おまえ。

S原:大人になった今ならわかるよ……あんなに喋りまくってもモテない、と……(遠い目)

Y木:当時でも分かれよ、そんな単純なこと。

S原:それで、ホテルにはいってからもダラダラと雑談が続く。怪奇現象を撮影したいので、「霊を呼ぶ儀式」をはじめる。ここで32分経ってます。

Y木:だるいなあ。霊を呼ぶ儀式って?

S原:「エコエコアザラク」みたいやった(笑)『霊のみなさん、来てくださーい』ってみんなで合唱するねん。これ、ほんまやで。

Y木:それで霊がくるの?

S原:来ます。

Y木:ひどい展開やな。

S原:まず、窓やドアが開かなくなります。霊のせいです。変な音が聞こえます。これも霊のせいです。みんなは言います。「怖いから帰りましょ」「そうだな、ここは危険だぜ」

Y木:おいおい、霊とか怪奇現象を撮影するのが目的やろ。

S原:とにかく、脱出するためにホテル内をうろつきます。またお喋りが始まります。

Y木:もうええわ。

S原:突然、キャー!とパニックになります。「なにかヤバいぞ!」「ここは何かがいるぞ!」「霊かもしれないぞ!」

Y木:いや、おまえらが霊を呼んだんやって!

S原:理由はわかりませんが、このままではグループの1人(男)が死ぬ、という話になります。まわりは、いっぺんにいろいろなことを喋りまくるから、なにが起こっているかわかりません。

Y木:観客は置いてけぼりやがな。

S原:「もしかして、グループの1人の調子が悪いのは、霊のしわざかよ!?」と疑うねん。

Y木:いや、さっきからそう言ってるやん!

S原:それからグループで話し合いをします。「霊を呼んだわたしのせいよ」「いや、俺が悪かった」「そもそも、こんなことを考えた自分に責任がある」とみんなの反省会が始まります。

Y木:あのー、ホテルを脱出してから反省会をしたら?

S原:話しているうちに、いつのまにか1人の女性が倒れます。ただ眠っているように見えますが、なぜか「このままでは死んでしまうわ!」と周りはまたパニックになるねん。グループの女性が「怖いけど、気にしなければいいのよ!」と言うねん。みんなは「たしかにそうだよな」と納得します。

Y木:…頭が痛くなってきた。

S原:そうこうしているうちに、カメラが暗闇を映して「ハアハア」とか「助けて…くれ」とか「ここはヤバい…」という声だけが聞こえます。

Y木:あー、それがやりたかったんやろうな。

S原:カメラがバタンと倒れて、逃げ惑う男が映ります。

Y木:でた!「食人族」方式!(爆笑)

S原:なんとか、ホテルの屋上に逃げる。そこで、女性が突然霊にのりうつられます。「おまえたちを殺してやるう~」「許さない~」と怖い顔をしますが、次の瞬間にはそのまま屋上から飛び降りて死にます。

Y木:……意味わからんねんけど。

S原:そして主人公は真剣な顔で言い放ちます。「ここは…マジで危険だ!」

Y木:わかってるわ!さんざん、友達が死んでるがな!

S原:また画面に何が映っているかよくわからないまま、主人公たちは、道に迷ったり足を引きずられたりします。そして、また暗闇が映って「ハアハア…」「こっちだ…いやこっちじゃない」「ここには…何かがいる」という声が重なります。

Y木:もうええって。

S原:やっと朝になりました。管理人のオジサンがやってきます。生き残った男2人が、「中に入ったら危ないぞ」「友達たちが死んでるんだ」とオジサンを制止しますが、管理人は平気でホテルにはいっていきます。

Y木:なんで?

S原:理由はわかりません。それで、ホテルの前で呆然とたっている男2人の姿がスーッと消えておしまい。

Y木:どういうこと?

S原:わかりません。

Y木:支離滅裂やん…

S原:さあ、みなさん。とにかく正統派のダメ映画です。ヤングたちがずっと雑談をしていてイライラしますが、そういう映画だと思えば腹も立ちません。怖さもない、演出のうまさもない、セクシーシーンもないと、ないない尽くしの映画ですが、珍品なのは間違いないです。絶対に10年後にはどこをさがしてもないはずなので、中古店で見つけたらマストバイですよ!

 

「ナイト・オブ・ザ・スカイ」(2005)の巻

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Y木:これ、ほんまにダサいジャケットやなー。

S原:今回は、長所も短所もハッキリしてるこの映画について、話しますよ! 

(あらすじ)

航空ショーの演技中に忽然と姿を消した戦闘機ミラージュ2000。フランス空軍のパイロット・マルシェリ大尉とヴァロワ大尉は、捜索を開始する。射撃しようとした強奪機をやむなく撃墜した大尉を待っていたのは、責任を問われての軍籍剥奪だった…

 

S原:これはフランス映画。この戦闘機(ミラージュ)の飛行シーンはかなりええよ。フランス空軍が本格的に協力して撮影してるんとちゃうかな。

Y木:特撮じゃなくて?

S原:もしも特撮やったら、それはそれでスゴイ。そんな印象やったな。

Y木:へえ、「トップガン」(1986)みたいな?

S原:あれよりも「アイアン・イーグル」(1986)とかのノリに近いかな。ドッグファイトの最中にロックがながれるみたいな。

Y木:うわ、ださー…

S原:ハッキリ言うんじゃないわよ、あなた。でもさっきも言ったけど、飛行機が大空を舞い上がる爽快感は堪能できる。戦闘機にカメラ付けて撮影した映像は、まさに本物って感じで感心した。空もキレイに撮れてるしな。

Y木:興味ないなあ…大空なんか毎日見れるやん。

S原:こらこら(笑)あと、ストーリーとしては陰謀がからんできてな、ちょっとサスペンス風味もありつつ展開する。でもドラマ部分がちょっとな。

Y木:飛行機の場面以外は、チープってこと?

S原:いや結構お金がかかっていると思う。ヘリコプターで大屋敷に出向くとか、広くてキレイな1人暮らし(高級マンション)とか、なかなか見応えがある場面も多い。

Y木:じゃあ、OKやん。

S原:そういいたいねんけどなー。やっぱりちょっと困った点もあるねん。

Y木:困った点?欠点のこと?

S原:欠点とまで言っていいのか…えーとですねえ、この映画にはちょっとの主人公は、あんまり賢くなさそう、というかすごくバカっぽいねん。

Y木:バカっぽい?

S原:チャーリー・シーンを薄味にしたような雰囲気でな。

Y木:それは……オツムが弱そうやな(笑)

S原:一所懸命に演技してるねんけど、なんとなくセリフも重みがないし、女性のケツを追いかけてフラれてるし、とても戦闘機乗りには見えん。相棒は、ジョン・スコフィールド(ジャズギタリスト)みたいな奴やし(笑)

Y木:もっと一般にわかる人を例えにあげろよ。それにしてもジョンスコがパイロットかー。それは違和感あるな(笑)まあでも、そういうギャップが売りなんでしょ。飛行機に乗ればスゴイみたいな。

S原:まあ、たしかにチャーリーもジョンスコも戦闘機の腕は超一流みたいな設定やったけどな。まあ、どっちにせよトム・クルーズみたいなかっこ良さはない。

Y木:そうなんや。

S原:あとでてくる女性たちがみんな犬みたいな顔やねん。監督の好みやろか?

Y木:マニアックな好みやな。ストーリーは上のあらすじの通り?

S原:前半はそう。主人公と相棒は、仲間のはずの戦闘機から攻撃を受ける寸前に相手機を撃墜する。自分たちとしては悪いことをしてないつもりやけど、どうも軍の上層部がヨソヨソしいねん。強引に理由をつけて懲罰(軍籍のはく奪)をうけたりして納得がいかないわけ。

Y木:なるほどな。

S原:憤懣やるかたなし…という雰囲気になるねんけど、すぐに気分転換して「それはそうとストリップをみようぜ!」ということになる。

Y木:なんや、その展開は。

S原:それで知り合いの女性(犬顔)にお金を渡して、ストリップショーをしてもらう。それでバッチリ気分転換完了!

Y木:ああ、頭が痛くなってきた…

S原:主人公たちがムラムラしている間に、フランスの戦闘機を売り込むために、強引にアメリカの航空機メーカーと勝負する話が進む。かっこよく話をしていますが、どういう立場の人なのかはわかりません(笑)

Y木:あかんやん。

S原:なんだかんだあって、勝負の方法が決まります。アメリカの飛行機とフランスの飛行機が一緒に飛んで、どっちが早いか勝負するのです。しかも敵国の上空を無許可で飛んでゴール地点を目指す。途中で撃墜されるかもしれない危険な勝負だぞゾ!

Y木:ジャンプみたいな設定やな。

S原:それに主人公たちが、秘密裏にパイロットとして選ばれるわけやな。

Y木:その勝負はどうなるの?

S原:どうもならん。途中でゲリラがいるような砂漠に着陸してしまって話は途中で終わる。それ以降もこの勝負の話はでてこない。

Y木:すごい適当やな。

S原:と同時に、裏で悪いことをしている存在(フランス政府の諜報機関?)がいることが分かってくる。それには戦闘機がからんでいるらしい、その戦闘機とははじめに主人公たちが撃ち落としたヤツじゃないのか…というナゾが解き明かされていく。でも、誰が・どんな悪いことを・どうやってしようとしているかの説明は全くありません。

Y木:そこは説明せなあかんやろ。まあええわ。「悪いこと」を主人公たちが防ぐという展開になるんやな。

S原:いや、とくに何もせんかった。

Y木:なんやねん、もう。

S原:最後はよくわかりませんが、パリ上空で航空ショーです。薄味チャーリーとジョンスコは、なぜか危機が迫っていることを察知して、航空ショーを追いかけます。そして、なんかよくわからないままに終わります。

Y木:おいおい、ちゃんと説明しろよ。

S原:いやー、お酒を呑みながら観てたから最後の辺はあんまりおぼえていないのよなー。ミサイルとか撃って爆発してたかな(苦笑)たしか、ラストはまた主人公(薄味チャーリーの方)が、また犬顔の女性のケツを追いかけてたと思う。

Y木:わけわからん。

S原:結論から言うと、「飛行シーン以外は見所なし」ってことやな。

Y木:初めからそう言えよ。すぐに話が終わったのに。

S原:さあ、みなさん、緊張感なく起承転結を外すストーリーがなかなか楽しいです。航空ファンは(たぶん)必見です。犬顔の女性が好きな人はもうたまらないでしょう!最近、チャーリー・シーンの映画観てないなあ、という人もマストバイですよ!

「テスト10」(2012年)の巻

TEST10 テスト10

S原:さあ久々に今回はこんな感じの映画!

Y木:また変な映画を見つけて…

(あらすじ)

さまざまな年齢の男女10人が集められた2週間の新薬実験。大学生の主人公たちは、春休みの旅行資金を楽して稼ごうとこの仕事に応募するのだが……。

 

Y木:新薬の実験の映画か。サスペンスが作りやすそうな設定やな。

S原:これは惜しいねん!もっと面白くできたはずやのになー!

Y木:おまえは、なんかよくそういう言い方するけどな。監督からしたら、大きなお世話ちゃうの?

S原:たしかに後出しじゃんけんやけどな。でも、この設定とかストーリーはなかなかええ感じやねん。高報酬で集められる10人のキャストとかも良い。地方の人気のないところに、ポツンと大きなビルがあって怪しげな雰囲気やしな。

Y木:新薬を投与されるって、モルモットやな。なんか学生時代にそういうバイトがあるって聞いたことあるけどな。

S原:「治験」やろ。当たり前やけど、実際はかなり厳格にすすめるみたい。この映画ではムチャクチャやけど(笑)

Y木:どうせ新薬でおかしくなるんやろ?

S原:その通り。はじめに説明してた新薬ではなく、新薬はヤバい怪しげな薬で、どんどん参加者がおかしくなっていく…と。

Y木:定番やな。そっから逃げるサスペンスなんやろ。

S原:ちょっと違う。さっそくネタバレになるけど、これを服用し続けると、すごい治癒力が得られるねん。

Y木:治癒力?

S原:たとえば、ナイフで腕を傷つけても、すぐに治る。研究者たちは「この薬が完成すると、病気やケガを恐れずに生きていけるぞ!」と興奮するねん。

Y木:たしかにすごいな。

S原:さらに「このままいけば、細胞も心臓も脳もすべて再生できる!」「人間の悩みはすべてなくなるぞ!」「人類みな兄弟!」「右翼も左翼も仲良くできるぞ!」と研究者たちは狂喜乱舞する。

Y木:いや、なんかそれは話がちゃうような気がする(笑)

S原:だけど、これには副作用もあるねん。ドラッグ中毒みたいに、新薬を欲しがって暴れる、と。

Y木:そうなんや。どうするの?監禁するの?

S原:それでもあかんから、解毒剤を注射する。

Y木:おいおい、解毒剤があるってことは、新薬は完成してるってことちゃうんかいな。

S原:そこはいいっこなし、ね♡

Y木:きもいわ。それで?

S原:ここからが、すごいねんけど、いつのまにか治験の参加者は「ゾンビ」になるねん。

Y木:えー?なんで?新薬って回復力が高まる薬やろ。なんでゾンビ?

S原:さあ……いつのまにか人間の肉とか喰ってたわ。しかもゾンビメイクで(笑)

Y木:意味がわからん…

S原:前半はええ雰囲気ですすむねんけどな。ほんまに惜しいなあ。ちゃんとサスペンスとして撮ればよかったのに。なんでB級ホラーにしてしまうんやろか。

Y木:はじめからその予定やったんとちゃうの?

S原:それにしては、ホラー風味が足りない。結局、中途半端になったと思う。あと、この映画では、わざと虫とか動物の死骸とか排泄物とかを扱っている。一応、これは「新薬を投与し続けると不快感がなくなっていく」という実験の一環なんやけど、観ているほうは気持ち悪い…(苦笑)もう少し映し方を工夫してほしかった。

Y木:いや、そういうのが好きなやつもおるやん。そいつら向けでしょ。

S原:たぶんな。でも、これも結局中途半端になってしまった。グロなのかゾンビホラーなのか肉体が進化するSFなのかドラッグが絡む医療系サスペンスなのか。

Y木:どれも、おれにとってはイマイチやけどな(笑)

S原:そうかなー。SF的な設定を上手に取り込んだ医療系サスペンスなんか撮り方によっては、おもしろそうやん。少し前に「コントロール」(2004)って映画があるけど、観た?ウィリアム・デフォーが主演のやつ。

Y木:観てない。

S原:結構面白いねんで。これも同じような話やねん。死刑囚に、新薬(ゆがんだ性格を矯正する薬)を実験投与する。こっちは(死刑囚と実験者の)戸惑いとか良心の呵責とかがテーマで地味な話やけど、緊張感は最後まで続く。何度も言うけど、この「テスト10」は残念やった。そして、この映画のことはどんどん忘れられていく。誰も話題にしないままに。ワゴンコーナーの片隅で…永遠に……

Y木:なんか哀れやな。

S原:それが定めなり…ワゴンの宇宙よ……

Y木:イヤな宇宙やな。

S原:さあみなさん。新薬投与のバイトが合ったらまずこれを観ましょう。この映画みたいに、女性とチョメチョメしたりしているうちにゾンビになっちゃう前に、さあワゴンコーナーへGO!

Y木:今回も投げやりな終わりやな…

酷評されてる映画を観てみる!「バトル・ロワイアル II 鎮魂歌」(2003)の巻

バトル・ロワイアル II 鎮魂歌(レクイエム) スペシャルエディション 限定版 [DVD]

S原:さあ、このシリーズも今回でおしまい。ラストにふさわしいぶっ飛んだ映画はこちら!

Y木:やれやれ、やっと終わりか。

 (あらすじ)

近未来、中学3年生同士に殺しあいを強いる法律「BR法」を生き延びた七原秋也(藤原竜也)はテロリストとなって大人たちへの復しゅうを開始し、東京を爆破。政府は新法律「BRII」を制定し、中学3年の1クラス生徒42名に、孤島に立て籠もる七原の暗殺を命令する…。

 

S原:いやー参った!これは珍作中の珍作なり。

Y木:おまえ、珍妙な映画が好きやがな。

S原:うん、まあ大好物なんやけどな(笑)最初にフォローするわけじゃないけど、監督の深作欣二がこの映画の撮影を開始してすぐに病気降板して、そのまま息子の深作健太が引き継いだらしい。深作健太はこれが初監督。こんなゴタゴタのなかで本格的な経験もないのに監督なんて、そりゃ無理やって。ウワサでは、深作健太が編集できなくて逃げ出したらしいで。

Y木:プロの編集担当がおるやろ。ちゃんと手伝ってあげろよ。まあそれはええわ。これ、有名な映画の続編やな。

S原:うん。前作は、高校生たち同士を殺しあいさせて生き残ったら勝ちというゲームをさせる話。結構、おもしろかったで。

Y木:よく考えれば、とんでもない話やな(笑)

S原:今回は、また高校生に首輪(反抗すると爆破する)をつけて、前作で生き残った藤原竜也たちを殺せ、と命じる。今度は戦争だ!ってわけやな。しかも命令するのは、あの竹内力。役名は、その名もタケウチリキ!

Y木:うわー…

S原:「三年奇面組」の新沢基栄みたいなセンスやろ?(笑)でもって、この映画は大きく2つテーマがあるねん。ひとつは、「反米」、もうひとつは「大人VS子ども」。

Y木:ふーん。

S原:藤原竜也はテロリストになっていて、無人島にいる。藤原竜也が「俺たちは今、全ての大人に宣戦布告するぅ!」とカッコよく宣言する!

Y木:藤原竜也って、もう大人やん。

S原:昔、子供ばんどうじきつよしが、「大人は、やっぱ信用できねえっすよ」とかインタビューに答えてたら、「あんた、もう大人やん」と突っ込まれて返事が出来なかったエピソードを思い出すよな。

Y木:思い出さへんわ。

S原:大体、藤原竜也の周りにいるのもすでに大人なんやけどな(苦笑)藤原竜也としては、「〇歳まで子供とみなすからオーケー。でも〇歳になったら、大人とみなして総括する!」といって仲間で内ゲバを始めるんやろうな。

Y木:また勝手に妄想する。しまいに怒られるで。

S原:まあ、この「大人対子供」という図式からしてもわかるように、なにからなにまで突っ込みポイントだらけ。もうみんなが突っ込んでるから、ここで取り上げんでもええかな、と思ったくらい(苦笑)

Y木:じゃ、やめろよ。

S原:いやー、でもワゴンセールで買っちゃったからなあ。紹介せな元がとられへんやん?

Y木:貧乏くさいな。もうひとつのテーマの「反米」っていうのは?

S原:「アメリカは、たくさんの人を殺してるから悪い国に決まっている!」らしい。

Y木:……(無表情)

S原:そんな顔したらあかん。本人たちは、大真面目なんやから。

Y木:藤原竜也がテロリスト的な行動をするのはええとして、なんで無人島におるの?東京の地下に潜って活動するとかせえへんの?共産党とかそうしてたやん。

S原:東京は空気が悪いから、イヤなのです。

Y木:また適当なことを言う…

S原:ほかにも珍妙なポイントがあってな。まず、「ペア制度」やねん。

Y木:ペア制度?

S原:無人島を襲撃するチームはクラス単位(3年B組)なんやけどな。男性生徒1人が死ぬと、出席番号が同じ女性生徒が死ぬ。首輪が爆破!です。

Y木:……それ、意味あるの?

S原:ないよ。しかも、男子は19人、女子は23人。そもそも、はじめからペア制度が成り立っていません。しかもこのペア制度のネタがでてきたのは1回のみ。このあとは設定自体がきれいさっぱり忘れられた状態で話が進みます。

Y木:……(遠い目)

S原:ほかにも珍妙ポイントがあるで。無人島に上陸したら、すぐにある高校生が「禁止エリア」にいることが判明。いつまでも禁止エリアにいるので首輪が爆破!

Y木:じゃあ、禁止エリアをよけながら、戦っていくんやな?ゲームみたいに制限がありつつ、戦うと。

S原:いーえ。禁止エリアネタは、それ一回だけ。あとはこの設定はなかったことになって、みんなエリアを気にせず戦ってます。

Y木:……(遠い目)

S原:高校生には、上陸する前にひとりずつライフルとか拳銃を渡されるねん。ここは前作と同じ。それはええねんけど、弾薬はわたされてないねん。でも大丈夫、安心してください。だって政府軍のヘリコプターが無人島の上空から、弾薬を落下させますから、ね!

Y木:はじめから、渡したれよ。

S原:でもここからがビックリですよ、あなた。なんと弾薬にはアタリとハズレがあるのでーす!ハズレには弾薬ははいってませーん。しかもちゃんと「はずれ」と書いてある丁寧な仕事ぶりです!

Y木:頭が痛くなってきた…

S原:もちろん、ハズレの高校生はすぐに撃ち殺されます。

Y木: はー……(ため息)それで、どうなるの?

S原:無事に弾をゲットできた高校生たちは、藤原竜也たちとドンパチがあって、お互いにたくさん死にます。

Y木:まあでも、あれやろ?そうこうしているうちに、藤原竜也と高校生が協力したり一緒に大人たちに抵抗したりするんやろ?

S原:藤原竜也は、それを狙います。高校生たちに自分たちの行動の正当性を説明します。曰く「20年も戦争が続くある国へと渡ったら、難民や空爆もあったが、子供たちの笑顔があった」「ひと握りの大人たちが、ひと握りの国で世界中の自由や平和を勝手に決めている」「俺たちが生きるこの世界は決して1つじゃない」でも、高校生たちは無表情で聞いてるだけです。

Y木:そりゃそうやろ。だって、やってることはテロやもん。

S原:いや、偏差値の低い高校生たちなので、言っていることが理解できないのです。

Y木:なんやねん。ん?ちょっと待って。高校生の首輪はどうなったんや?

S原:藤原竜也たちが持っていた変な機器を作動させると、首輪がパキーンって外れます。

Y木:……(遠い目)

S原:そうこうしているうちに、アメリカが怒ります。総理大臣(津川雅彦)があわてて、竹内力にテレビ電話をかけるねん。「あの国を怒らせてしまったらダメじゃないかー」「子供もテロリストも殺しなさーい」って。

Y木:いまどきマンガでも、そんな総理はおらんやろ。

S原:そしたらいきなり、竹内力が逆ギレします!総理大臣に対して「ごちゃごちゃうるせえんだよ、この人殺し野郎!」(笑)

Y木:おいおい、今までおまえが、子供たちに「戦争して殺しあえ!」って命じてたんやろ。なんで怒るねん。

S原:よく理解できませんが、なぜか竹内力自身にも首輪がついていて、今度はラグビージャージに着替えて、無人島の藤原竜也に会いに行く。そして、ラグビーボールを「トラーーーイ!」と叫びながらトライして、竹内力の首輪が爆破!

Y木:……意味がまったく分からんけど?

S原:観ているほうはもっとわかりませぬ。そのつぎはもうラストシーンです。

Y木:最後はどうなるの?

S原:外国、たぶん中東(アフガニスタン?)に行きます。

Y木:なんで?

S原:わかりませぬ。

Y木:……(遠い目)

S原:さあみなさん、この映画はまれにみる怪作です。今回、紹介したシーン以外でも、ビートたけしが眠そうな顔ででてきてボソボソしゃべったり(聞き取れない)、千葉真一が嬉しそうにサバイバルゲームをしたり(意味がない)、あなたがいままで観たことのない場面の連続ですよ。この映画の中では全てが変なので、もしかしたらこれで正しいのかも?と勘違いするほどの破壊力です。でも!こんなブログを読んでいるあなた!あなたなら、きっと楽しめますよ!今回は本気で言います。マスト・バイ!そして、トラーーーイ!

酷評されている映画を観てみる!「ソラリス」(2002)の巻

ソラリス 特別編 [レンタル落ち]

Y木:あ!ソラリスのリメイク!

S原:そうです。あの映画ファンには有名な「惑星ソラリス」(1973)のリメイクですよ。 

(あらすじ)

ある日、心理学者クリス・ケルヴィンのもとに、惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーション“プロメテウス”の調査依頼が舞い込んだ。ステーション内で不思議な現象が頻発し、地球との交信も途絶えてしまったというのだ。さっそくプロメテウスに向かったクリスは、そこで友人ジバリアンの死体を発見する。ステーション内には2人の科学者スノーとゴードンが生存するのみで、他の者は皆ジバリアン同様自らその命を絶ってしまっていた。生き残った2人に事情を聞くクリスだったが、それはまるで要領を得ない。しかし、やがてクリス自身にもある異変が起きるのだった……

 

S原:この映画は、ほんまに評判が悪い。当時、結構映画雑誌とか読んでたんやけど、サンドバック状態やったもんな。「あしたのジョー」に出てくる金竜飛の必殺技(舞々・チョムチョム)を食らったみたいやったで。

Y木:あー相手が倒れないように延々と撃ちまくる必殺技な(笑)そんなに酷評やったんや。

S原:たしかあまりの酷評に、関係のない他の映画監督が「あのリメイクにチャレンジしただけでも評価をしてあげてほしい」とフォローしてたもんな(苦笑)

Y木:どんなフォローや。それで、どうやったの?

S原:ぼくは今回、初めて観たんやけどな……そんなにひどくないと思う。ただ、やっぱりオリジナルとは違うわな。

Y木:それは覚悟の上のリメイクでしょ。

S原:実はオリジナルの「惑星ソラリス」は、中学生の頃に雑誌で「難解だがすごい名作だ」と紹介されてて、ずっと観たかったのよ。やっと大学時代に観たけど、初めて観たときはなんとも言えない映画やと思ったな。当時は映画評論家のレビューを信じてたから、余計に「え?」って感じで(笑)

Y木:だるかったんやろ?

S原:そうやな。あそこまでスローテンポな映画は初体験やったし、ソ連の映画も初体験。映像もどことなくザラついてるし、SFなのに特撮部分にお金がかかってなくて少ない。やっぱり驚いたわ。とくに前半、宇宙ステーションへ出発する前のダラダラ感と自然の描写がなんとも言いようのないムードやろ。ときどき退屈に感じる一方で、なんか不思議な感覚を味わったのを今でも覚えている。

Y木:ちょっと難解やもんな。

S原:うん。意味はよくわからないけど、なにかしら惹きつけられる。今思えばアンドレイ・タルコフスキーという強烈な個性に圧倒されたんやろうな。

Y木:たしかに強烈な個性やな。唯一無二というか。

S原:他の映画に比べるとまだ「惑星ソラリス」は、わかりやすいけどな。この後に撮った「鏡」(1975)とか「ストーカー」(1979)も、なんか映像とか雰囲気はスゲエって思うけど、物語はよくわからんかった。

Y木:さすがにもうちょっと説明しろよ、とか思うけどな(苦笑)今回のリメイクは、その点かなりわかりやすくなってるんとちゃうの?

S原:たしかに、わかりやすくなっている。静謐なトーンで淡々と進むし、演技の演出もかなり抑えてる。その点はオリジナルの良いところを踏襲したんやろうな。

Y木:ストーリーはほぼ一緒?

S原:一緒です。一番の違いはすぐに主人公(ジョージ・クルーニー)が宇宙ステーションに行くところかな。ダラダラしない(笑)

Y木:宇宙ステーションに行ってからは?

S原:ステーション内部のセットとかお金をかけて作ってるし悪くないで。でも、宇宙ステーションに着いて主人公が謎を探っていく場面が意外に面白くない。ミステリアスな部分が、淡々としすぎてるというか。どんな謎があるんだろう?というドキドキはないな。

Y木:えー、そういう映画とちゃうやん。

S原:そやけど、謎が解明されるまでは、ちょっとは緊張感を出してほしかったな。謎がわかってからは、どうしても主人公の心の葛藤とか、妻への思慕とかがテーマになるやろ。

Y木:いやいや、あの物語には、ソラリスの海の概念とか知性体とか、ソラリスの力で生き返った妻とか、いろいろ複雑な設定があったやろ。そのへんはどうなん?

S原:あるねんけどな。なんというかすごくハリウッド的に理路整然としてるねん。「なぜ、死んだ妻が生きて目の前に出現するのか?」「それはソラリスが起こしている現象だろう」「どうすれば、この現象を止めることが出来るのか」「いや、でも愛した人を消すことはできない」……こういう感じで、サクサクと進む。

Y木:それは、かなりオリジナルと違うな。

S原:わかりやすいとは思う。でもその分、重厚感というか深みはなくなったような気がする。ゆったりとした恋愛ドラマになってしまうというか。

Y木:そうなんや。

S原:オリジナルではほとんど説明しないから、逆にいろいろと「解釈」してしまうやん。考える空白がある映画といえばええかな。

Y木:それは原作(『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム)の力もあるんやろうな。読んでないけど、すごい深いらしいから。

S原:さっきも言ったけど、今回の映画はすごくわかりやすい。たぶん、オリジナルが好きな人にはそういう点が耐えられないんやろうな。ちょっとバタ臭い田舎の娘を可愛がっていたのに、親戚のおじさんに預けたら、いつのまにかどこにでいるような都会の娘になってしまった、みたいな。

Y木:全然ちゃうやろ。

S原:VFXとかはかなり良いんやけどな。画面もキレイ。ジョージ・クルーニーも抑えた演技で、よい感じ。なんやけど「ジョージよ、頑張ってるのはわかった。でもなー、なんか違うねんなー。ごめんね」これがみんなの本音とちゃうかな。

Y木:友達か。いやーそう考えると難しいな。オリジナルを尊重しすぎたら「同じことをしやがって!」と言われるし、改変したら「すきな作品をレイプしやがって!」と言われる(笑)

S原:リメイク自体に罪はないんやけどな。今回は、まったく「別物」と割り切れれば、それなりに楽めるのではないか、と思う。ただその「別物」がソラリスかと言われると…ってところやな。

Y木:結局、おまえ的には、これはアリ?ナシ?

S原:ぎりぎりアリかな。とくに前半は良い雰囲気やったしな。ただもう一回観る?と言われるとたぶん観ないと思う。

Y木:そうなんや。

S原:さあ、みなさん。オリジナルを観たかどうか・好きかどうかで、180度評価が変わりそうな映画ですが、少し頭を使うタイプの変わった映画が好きな人は観て損はないと思います。でもゆったりすぎるので、家事とかしながら観てくださーい!