あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

アイデアで勝負!な映画たち「プール」(2016)の巻

プール [DVD]

S原:ワンアイデア映画を取り上げるシリーズは、今回でおしまいですよ。

Y木:なんか微妙な特集やったような。あ、いつもそうか(笑)

(あらすじ)

閉館前の市民プールで仲良く泳ぐ姉妹。閉館時間を迎え皆がプールから上がる中、ブリーはプールで婚約指輪を失くしたことに気付く。姉妹は協力して水中を探すが、既に全員がプールから上がったと勘違いした館長は、プールの電動カバーを作動させ帰宅してしまう。プールに取り残された姉妹は、外に出ることが出来ない。明日からプールは休館になる。姉妹は助けを求めるが、叫び声は誰もいない館内に響くだけだった…。

 

Y木:プールに閉じ込められる映画か。これは、まさにアイデア一発勝負!って感じやな。

S原:その通り。例えていうなら、「ゼイリブ」(1988)が「サングラスをかけたら、宇宙人がみえる」っていうアイデアだけの映画やったやろ。あれと同じタイプやな。

Y木:わざわざ「ゼイリブ」に例えるとは……悪意を感じるぞ。

S原:えー面白いやん。出来が悪いことに目をつむれば(笑)

Y木:それはええとして、この映画やけど、なんでプールに閉じ込めらるの?普通はプールサイドから出れるやん。

S原:えーと、このプールは、プールにフタというか横スライドのシャッター(電動式)みたいなものがあるねん。主人公姉妹が、プールに潜っている間(大事な婚約指輪を探してた)に、係員が間違ってフタをしてしまって帰宅してしまう。明日はプールのお休みの日。さあ、どうする?というわけやな。

Y木:ほう。アイデアは面白いけど、ちゃんと考えないと、単調というか退屈な展開になりそうやな。結論としてはどうなん?

S原:まあまあかな。退屈とまではいかんけど、そんなにドキドキハラハラはしなかった。こういう映画では、主人公たちは死なへんって分かってるやろ?

Y木:とくにアメリカ映画ではな。

S原:基本は最初から最後までプールの中やから、どうしても工夫が要ると思うんやけど。一応、この映画にも工夫はあるねんけどな。

Y木:どこよ?

S原:ひとつは、姉妹の関係。もうひとつは、夜間に来るプールの女性清掃員やな。

Y木:あー閉じ込められたあとに、プールの職員が来るんやな。すぐに助けて……くれないんやろうな(笑)

S原:イエース。この女性(クララ)が犯罪歴のある一癖も二癖もあるヤツやねん。プールに閉じ込めらた2人を見つけても、すぐに助けない。「プールサイドにある財布(姉妹のもの)をみつけて、「あなたの銀行キャッシュカードの暗証番号を教えてくれたら助けてあげる」と言う。

Y木:うわ、最低。

S原:背に腹は代えられないから、教えるとクララはどこかへ消えていく。そして戻ってきて「ちょっとしか(口座に)入ってないじゃない!」とキレる。結局、このクララがネチネチと姉妹をいたぶるわけ。「婚約指輪を渡しなさい」と言われて、指輪も奪われしまいます。

Y木:それはキツイなあ。

S原:と同時に、待っている間に姉妹でいろいろな話をします。この姉妹は、あんまり関係が良好でなくてな。妹は精神的に不安定で、恋人がいる姉に嫉妬と劣等感を抱いている。家族の抱える闇の出来事も最後には判明して、つじつまが合うようになるねんけど、どうも観ていて感情移入できないのよ。

Y木:それはええけど、フタに穴とかないの?

S原:あります。小さな穴(10cm×5cmくらいの空気穴)をみつけます。この穴をなんとか広げて脱出しようと試みるのと、クララとの粘着質なやりとりが続きます。同時に、姉の体調が悪くなります。糖尿病でインスリン注射を打つ必要があるのです。妹は、クララに事情を話し必死で懇願しますが、クララは冷笑するだけです。

Y木:嫌な奴やな。

S原:このクララというキャラクターが問題アリやねん。嫌なヤツなんやけど、途中でちょっと姉妹を心配したりして、「おいおい、助けるか、殺すつもりかどっちやねん?」って突っ込んでしまう(笑)もっと、徹底して「悪役」のほうが、観客の不快指数がもっと上がって面白くなったはず。

Y木:なるほど。キャラ設定がぶれていると。

S原:気になって、後でネットでレビューをみたら、みんな突っ込んでた(笑)

Y木:最後はどうなるの?

S原:クララは蓋を開ける約束をしますが、姉妹とは顔を合わせないと言います(顔バレがいやなので)。姉妹がOKすると、管理室に戻ってフタを開けるボタンを押します。しかし何故か開きません。仕方ないので「自分たちでどうにかして」と言います。

Y木:いや、どうにもできへんやん…

S原:結局、妹が小さな穴を壊して広げることに成功して、姉とともに脱出します。大急ぎでインスリン注射を姉にうちます。クララは、姉妹に銃を突きつけます。

Y木:絶体絶命やな。

S原:いろいろ話をしているうちに、クララの気が変わります。婚約指輪も返します。姉妹は言います。「いまから警察を呼ぶから、あなたは逃げて」

Y木:えー、散々いたぶられてたのに、結局は逃がすの?

S原:はい。クララは逃げます。姉妹は救急隊に助けられます。ここで、映画はおしまい。

Y木:うーん、そういうラストか。それってどうなんやろ。

S原:アイデアは面白いんやけど、上手く展開させるのはさらにアイデアが要ると思ったでござるよ。

Y木:そう考えるとアイデア一発勝負の映画って、作るのが難しいかもなあ。

S原:さあ、みなさん。あっという間に観れます。突っ込みポイントが多いので、友達や恋人と一緒にみるにはピッタリだと思います。レンタルで充分ですので、ぜひトライを!でも、カナヅチの人やプールが苦手な人は観ちゃダメですよ~!