あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「誰が心にも龍は眠る」(2005年)の巻

DVD「誰が心にも龍は眠る」作品詳細 - GEO Online/ゲオオンライン

S原:今回はこちら。意味深なタイトルです。

Y木:ほう。

(あらすじ)

幼い頃、湖で溺れたショックで記憶を失くしたテルミ。幼馴染みのユキオと共に、溺れた原因を調べ始めた彼女は、湖にまつわる不思議な伝説を知る。やがて、その伝説とテルミの過去との関係が明らかになる。

 

S原:これは、主役の女性を麻宮美果が演じています。その主人公の幼馴染が中田裕二。この人は、ロックバンド椿屋四重奏のボーカリストらしい。

Y木:悪いけど知らん。

S原:僕も知らんかった。ファンの人には申し訳ない。2010年解散して2023年に再結成したようです。

Y木:そういうファン向けの映画ではないやろ?

S原:違います。ちゃんと「役者」として扱われてます。演技も自然体でよかったで。主役(麻宮美果)もなかなか良かった。監督・脚本は堀江慶という人で、製作総指揮の喜多一郎から「今回はホラーを撮りませんか」と言われて、この作品を手掛けたみたい。

Y木:へえ。で、観た後の感想は?

S原:普通に面白かったで。ただ、ホラーかと言われるとどうなんやろ。

Y木:怖くない?

S原:うーん。というか「怖さ」を強調していないような気がする。個人的には、ミステリー/サスペンスの方がしっくりきます。主人公は記憶喪失の時期(小学生の頃)があるねん。それは、地元の湖(昇龍湖)で溺れたのが原因です。解説では、「それまでの記憶の一切を失ってしまった」と書いてるけど、このへんは観ていてはっきり分からなかった。

Y木:なんで溺れたの? 事故?

S原:はじめは理由はわからないけど、後半になって真相がわかってきます。自分が記憶喪失になった真相と昇龍湖にまつわる謎(伝説)がだんだんと分かっていく……という話です。

Y木:謎解きがメインか。

 


S原:そうです。そんな主人公を助けるのが幼馴染(中田裕二)で優しい男やねん。調べていくうちに、怪しげなおじさん(西岡徳馬)が絡んできます。そのおじさんは「昇龍湖で多く事故が起きているが、死亡事例はない」と話します。実は、その湖は……

Y木:実は?

S原:内緒です。ここから先は言いにくい。ただ、クライマックスの場面はなかなか凄かった。

Y木:それも内緒か? 「凄かった」と言われても、どんな場面か説明しないとわからんぞ。

S原:うーん、そうやな。ここだけ説明するのを許してほしい。クライマックスは、街の人々がゆっくりと湖に向かいます。中田裕二は声をかけるが、誰も反応せずゆっくりと歩き続ける。湖につきます。そこから、次々と湖に入っていきます。ある人は、桟橋からドボンと飛び込み、ある人は湖に入っても歩くのを止めない……たくさんの人たちが湖にすいこまれていく……

Y木:おお、気持ち悪いな。

S原:ここが静かで異様な雰囲気でな。お金がたっぷりと使えたら、すごい場面になったかも、と思うわ。なんというか、無表情な人々が静かに湖に入っていくのがすごいねん。ここはエキストラも撮影も大変やったと思う。

Y木:へえ。

S原:ただ、全体の印象としてはやや薄いかな。きちんと作られている分、かえって大人しい印象になったかも。

Y木:あー無茶苦茶やけど、印象に残るタイプの映画じゃないんやな。

S原:そうそう。あと、謎解きの部分が意外にストレートやったかな。変なキャラクターや思わせぶりなエピソードもあるけど、最後はわりとまともに終わった。

Y木:ちゃんと出来てるなら十分やろ。いつもツッコミ前提で観るから、性格が歪んでしまったんとちゃうの?

S原:申し訳ない。でも、素直に感想を言ってるんやけどな。こうやってレビューを書くよりも作る人の方が偉いと思う。実際に作るのはすごく苦労するやろうしな。というわけで、みなさん。これは独特の雰囲気をもった作品です。椿屋四重奏のファンはもう観ているかもしれませんが、それ以外の人も機会があればぜひどうぞ!

 

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まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「悪魔ハンティング」(2013)の巻

悪魔ハンティング

S原:今回はホラーですよ。

Y木:うわー……なんやねん、これ。

(あらすじ)

霊によって起こる現象は6つあり、それぞれの段階によって霊の力の大きさは変化するという。人知を超えた世界に導かれ生贄となった者を救うため、すべてを委ねられた男が立ち上がる。

(DVD裏面の解説)

偶然訪れた心霊スポット。身体の重みを感じた瞬間から次々と起こる異常現象。この世のものとは思えない状況の連発に周囲の人間たちの精神はみるみるうちに崩壊していく。果たして生き残るのは一体誰か?

 

Y木:これ、自主映画?

S原:よくわからん。ネットで調べても情報がほとんど出てこない。出てくるのは「ひどい」「面白くない」「ダメ」といったレビューばかり(苦笑)

Y木:あーやっぱり出来はひどいんやな。

S原:作った人には申し訳ないんやけど、ちょっと褒めようがないです。ただ自主映画なら、よく頑張ったと言いたい……いやー言いにくいなあ。

Y木:要するに面白くないんやろ。

S原:結論から言うと、イエスです。ホラーが撮りたいという気持ち(だけ)は伝わるねんけどな。監督の製作者も脚本担当も、他の映画を参考にしてないんとちゃうかな。

Y木:いや、ホラー映画を観てホラーを撮りたくなったんやろ。

S原:そうなんかな。なんというか、「そのまま」やねん。いかにもな出だし、いかにもな展開、いかにもなメーキャップ。それがストレートに表現されて稚拙やから、普通に観ている人は失笑してしまうという。

Y木:ありきたりなんやな。

S原:そうそう。いつも言うけど、お金がないのは分かってるねん。撮影日数も短くて、実際作るのは大変やったと思う。でも、「いかにも」「普通」の切り口でいくと、本当にお金をかけて上手く撮る必要があるやろ。低予算でチャレンジするねんから、もっと「切り口」を考えて欲しかった。

Y木:いままでに誰もしていない角度から作るとか?

S原:そうそう。「ブレアウィッチプロジェクト」なんか、アイデア賞やん。「食人族」もそうやん。「カランバ」なんかビビったやろ?

 

カランバ 映画

 

Y木:「カランバ」っておまえ、どんな映画を例えに出してるねん。

S原:斬新なアイデアでなくてもええから、もっとこだわりをみせてほしかった。

Y木:大体わかったけど。これは、どういう話?

S原:雑誌の女性編集者の2人(先輩と後輩)がいます。後輩が撮影した写真が使い物にならないので、改めて撮影に行きます。そのへんの街角ですが、心霊スポットだったらしく、先輩に悪霊が乗り移られます。あっという間に顔にブツブツが出来て、後輩は近くにクリニックに連れていきます。そこは整形外科です。

Y木:整形外科……なぜ?

S原:ここは、レビューでみんなつっこんでます。ベッドに寝ている先輩が暴れます。顔面は真っ黒で、口からオエ~と緑色の液体を吐きます。

Y木:それ、エクソシストやがな。

S原:クリニックの医師(整形外科の医師)が言います。「WHOを呼んで!」

Y木:WHO? 世界保健機構やったけ。なんで?

S原:理由はありません。そして、すぐにWHOから2人の男性が来ます。若い男で島耕作の部下みたいな感じです。

Y木:よくわからん例えはええから、話を先に進めてくれ。

S原:で、WHOの男性は言います。「これは……悪霊に取り憑かれています」「霊界事案です!」

Y木:霊界案件?

S原:WHOのマニュアルで、そういう事案があるんやろうな。で、マニュアルに従って、悪魔ハンターがのっそりと登場します。悪魔ハンターは、ニトリで売っているカーテンを体に巻き付けています。そして、悪霊にとりつかれた女性をみて、説明します。「これは、悪霊にとりつかれてます」

Y木:わかってるわ。はよ除霊せえよ。

S原:すぐに除霊はせずに、悪霊の説明を始めます。6種類あるらしくてな。第3種は~とか、第4種は~、と延々と説明します。

Y木:だから除霊せえって。

S原:「助けてください」という後輩に、キメキメの顔で言います。「わたしは……そのために来た!」

Y木:だから早く除霊せえって!

S原:やっと除霊が始まります。変な呪文を言いますが、すぐに「はあ、はあ」と疲れます。「わたしの力では無理だ……」

Y木:なにしにきてん、もう。

 

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S原:そして、再度WHOに電話して、ゾンビを車に乗せてどこかに運びます。車が発進して、クリニックのスタッフは深々とその車に向かってお辞儀をします。

Y木:そりゃ、患者が亡くなったときのお見送りやがな。

S原:車の中で、悪魔ハンターは後輩に悪霊とはなにか?を説明しますが、いつの間にか人間の欲望を批判したりしています。「魔界や魔物の存在を公表しても信じない」「それは人間が愚かだからだ」とブツブツ言います。

Y木:なにを愚痴ってるねん。

 

 

S原:面倒なので、話を飛ばしますが、山の中で先輩ゾンビがウロウロします。悪霊ハンターは、日本刀をもって追いかけます。やっつけます。でも後輩もゾンビになってしまいました。悪霊ハンターは、ついでに後輩もやっつけます。なにもやっていないような気もしますが、「おれは、やったぜ……」という感じでかっちょ良く歩く後ろ姿で、ジ・エンド。

Y木:なんか、よくわからん。

S原:というわけで、みなさん。この映画をおススメするのは2種類のタイプのみです。①ゾンビが出ればOKなゾンビマニア ②ダメな映画(演技、演出含む)をあえて観たい人 のみ! というわけで、ちょっと残念な映画でした~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「剃り残した夏」(2009)の巻

 

剃り残した夏

S原:今回は、ゴールデンボンバーの映画!

Y木:「女々しくて」の?

 

(あらすじ)
僕の名前は鬼龍院翔、高校三年生。高校生活最後の夏がいよいよ本格的に始まろうとしている。高校生活最後の夏に友人と共に出掛けた海で、鬼龍院少年は胸が熱く焼けるような出会いをしてしまった。しかし、神様は思いもよらぬ試練を彼らに与えたのであった。次第に歯車は少しづつ歪みはじめ、彼らは引き返せない道へと足を踏み入れてしまう…。
真夏の太陽のように情熱的に縺れ合う、男と、男と、男と、男の物語

 

S原:これは、完全にファン向け。脚本、監督、主演、編集全てゴールデンボンバーです。 (鬼龍院翔が脚本。喜矢武豊が監督など)

Y木:へえ、製作までしてるんか。どうなん?

S原:最低やった。

Y木:おいおい。

S原:ほんまに最低としか言いようがないねんって。さすがにファンでも厳しいと思うけど。

 

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Y木:ボーイズラブ(BL)風?

S原:BL風ではなく、そのまんまです。ゴールデンボンバー(金爆)の4人(鬼龍院翔喜矢武豊歌広場淳樽美酒研二)がほぼ出ずっぱりです。役名もそのまんまの親切設計です。

Y木:ファンは喜ぶんかな。

S原:どうなんかなー。主人公は鬼龍院翔です。その 友人(歌広場淳)が愚痴っているところからスタートします。 歌広場の恋人(樽美酒研二)が浮気したから別れた。でも本当はまだ愛していると泣いています。鬼龍院翔は慰めて、気分転換に海に行こうと誘います。翔は海で溺れてしまい。ライフセーバー(喜屋武豊)に助けてもらう(人工呼吸)。それ以来、翔は自分の唇を奪った翔はライフセーバーのことを忘れられない。一方、樽美酒が淳とよりを戻そうとして……と話はこれだけやねん。

 

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Y木:ということは、メンバー4人の2人ずつのBLカップルの話ってこと?

S原:そうです。

Y木:うわー……いや、むしろファンはそういうのにキャッキャッ言うんか。

S原:ゴールデンボンバーのファンのレビューを読むと「ライブでやってるコントみたいな感じ」と書かれていたから、こういうノリなんやろな。というか、ライブにコントが挿入されるっていうのも面白いけど。

Y木:ま、あのバンドのライブといっても、ファンは演奏を聴くわけではないからな(笑)

 

きゃんり@キャンバに帰還٩( ᐖ )و on X: "剃り夏写メり過ぎてこんな時間に┗(^o^ )┓ 剃り残した夏はほんとに全腐女子に見て欲しい!たくさんの夢が詰まってるよ∩*´・ω・∩  ✡。:* #全腐女子に捧ぐ #剃り残した夏 #だるうぱ #ゴールデンボンバー http://t.co/11fRBCy7hT" / X

 

S原:BLは全然気にならないけど、映画は出来は気になる。これ、わざとアフレコにしてるねん。

Y木:ほう。

S原:たぶん安物のカメラ(家庭用?)で撮影してるから画面も粗いし、効果音もちゃんと入っていない。そこに、棒読み(わざと?)のセリフが被さる。しかも、なぜか全編字幕付き。わかりやすいけどな。

 

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Y木:字幕付きか。そのへんもネタなんちゃうの?

S原:わからん。結局、メンバー同士の下手な演技(これもわざと?)での恋愛話を、シュールな笑いと楽しめるかどうか。

Y木:大体わかった。おまえはダメやったんやな。

S原:メンバーの魅力を感じるまではいかんかった。内輪のノリといってしまえばそうやけど、これは一応世の中に流通しているもんやからな(苦笑) まああれよ、高校の文化祭で作る自主映画って感じ。

Y木:ボロカスやな。

S原:ゴールデンボンバーのファンの方、申し訳ない。でも、もうちょっと、ちゃんと作って欲しかった。この映画を観てゴールデンボンバーに興味を持ってもらわないとあかんと思うねんけどな。

Y木:それはちゃうって。完全にファン向きで、他にファンを増やす意図はないんやって。

S原:そうかなー。なんかちょっと残念やったわ。というわけで、レアなのは間違いないですが、カルトとも呼びにくいです。10年後には、いったい何人がこの映画を覚えてるんでしょうか? というわけで、ワゴンコーナーでみつけても(ファン以外は)スルーしてくださいませ~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「百地三太夫の逆襲」(2013)の巻

S原:今回は忍者映画!

Y木:また変な映画をみつけて……

(あらすじ)

織田信長が伊賀攻めを行った伊賀天正の乱から数十年後、乱のさなかに死んだとされた百地丹波百地三太夫)は、弟子の石川五右衛門らを連れて山奥で生き延びていた。時は豊臣秀吉の治世となり、百地は伊賀攻めに加担した秀吉を討とうとするが、天下の大泥棒として名をあげていた五右衛門は、百地の首を差し出し、秀吉の家臣になろうと企んでいた。

 

S原:この映画は、一言でいうと「気の毒な映画」やった。

Y木:いきなり上から目線かい。

S原:やりたいことはわかるねんけどな……(微笑)

 

 

Y木:低予算ってことやろ。

S原:そうそう。基本的には、こういう「お金がかかっていない映画」を応援したいねんけどな。でも時代劇はやっぱりお金がかかるやん。ロケも時代に合わせないといけないし、衣装も特別に用意しないといけないし、時代劇用の演技(セリフなど)が要るやん。

Y木:まあな。

S原:おまけに、この映画は忍者アクションが加わる。これは難しいって。

Y木:なるほどな。

S原:さっき言ったような要素に、説得力を持たそうと思うとそれなりにお金がかかる。衣装やセットがちゃんとして、はじめて「あ、これは時代劇なんやな」「戦国時代の忍者の話なんやな」と思って、ストーリーやキャラクターに集中できるわけやん?

Y木:これは時代劇やろ。

S原:いや、これは「時代劇っぽいなにか」やな。

Y木:ひどいな。

S原:悪く言うつもりはないです。よく頑張ったと言いたい場面もある。何度も言うけど、やりたいことは分かる。でもなあ……メジャー作品と比べるのは酷やけど、製作費がないと、どうしても「学芸会」っぽくみえるのよ。これが精いっぱいなんかな。

Y木:大体わかった。本編の話をしてくれ。

S原:時は戦国。百地三太夫という凄腕の忍者がいます。弟子に、石川五右衛門がいます。百地は、石川に「秀吉を討て」と命じます。ところが、五右衛門は、反対に百地の首をとって秀吉に差し出して、秀吉の正式な家臣になろうとしていました。

Y木:ほう。

S原:一方、くノ一の2人(円と彩)が山奥で忍者になる修行(というか運動)をしています。そのヤングな女子2人は、ミニスカートで網タイツです。いわゆる「くノ一コスプレ」です。ここで、正直に言っておきましょう。

Y木:うん?

S原:くノ一コスプレは。

Y木:はあ。

S原:僕は嫌いじゃないです。

Y木:キモイから、話をすすめてくれる?

 

 

S原:で、突然、くノ一の1人(吉沢明歩)が温泉に入る場面が挿入されます。ちゃんと、ヌードが映っています。

Y木:温泉か。その場面も撮りたかったんやろうな。

S原:そうこうしているうちに、五右衛門の一味(泥棒5人衆)と忍者グループを率いる服部半蔵の一味(烏組3人衆)とくノ一人組の3つどもえの戦いになって……という感じです。

Y木:忍者アクションがメインやろ。そのへんはどうなん?

S原:やっぱり厳しいです。いろいろと人間関係に凝ってるねんけど、チープさばかりに目がいって集中できない。あとは、演技がな……(苦笑)

Y木:演技がどうこうという映画じゃないやろ。

S原:そうやな。脇役の俳優たちは普通やねんけど、肝心の主役2人(浜田翔子吉沢明歩)は、かなりきつい。でも、衣装が似合ってるから許しちゃう♡

Y木:ほんまにキモイから、やめてくれ。

 

 

S原:あ、思い出した。面白い場面があるねん。烏軍団の1人と誰かが戦うねんけどな。川で2人に向き合って、斬りあうねんけど、それがゆっくりやねん。

Y木:ゆっくり?

S原:たぶん、マトリックスみたいな感じのバトルを撮りたかったんやろうけどな。ほんまに、役者はゆっくりと動いて、シャキーン!とか効果音がはいるだけ。ここは斬新やった(笑)

Y木:まあ、今回はダメってことやな。

S原:ダメなことはないで。「そういう映画」と割り切れば楽しめると思う。

Y木:「そういう映画」をわざわざ観る人は少ないやろうなあ。

S原:さあみなさん、ダメダメと言うことはありませんが、いったい何人の人がこの映画を観たのでしょうか? 好事家にしかおススメできませんが、くノ一コスプレに萌える人はアリでしょう。しかし、いろんな映画がありますなあ。というわけで、次回もお楽しみに~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「旋風(かぜ)の用心棒」(2003)の巻

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S原:さあ、今回は黒澤明の「用心棒」をモチーフにしたこの映画!

Y木:へえ、「用心棒」か。

 

(あらすじ)

とある荒涼とした港町。そこでは原子力発電所の建設を巡り、賛成派と反対派が激しく対立していた。その町に流れ着いた正体不明の若い男、谺丈二は、利権争いに巻き込まれる。しかし彼はある人物の消息を探っていたのだった。

 

S原:これ、アニメ作品が先です。タイトルも同じ「旋風(かぜ)の用心棒」ね。結構、評判が良いみたい。それで、「次は実写化を!」っていう流れちやうかな。

Y木:ふーん。

 

旋風の用心棒:画像/壁紙[アニメ]

 

S原:でも、この実写映画は、ほとんどレビューがないねん。

Y木:超マイナー作品ってことか。

S原:たぶん。マイナーでもメジャーでも面白ければええねんけどな。ただ、レビューが少ないのも妙に納得してしまうという。

Y木:うん?

S原:なんとなくレビューがしにくいねん。出来が悪いとかじゃなくて、どうも話しにくいというか印象が薄いというか。

Y木:はあ、なるほど。

 

旋風(かぜ)の用心棒 ポスター画像

 

S原:モチーフは黒澤監督の「用心棒」。九州の港町で、原発を誘致しようとする街の有力者(田野倉)がいます。反原発組織の「イエロープラネット」の主催の村岡という女性もいます。そこへブラリと現れる男(丈二)、これが主人公です。

Y木:2つの組織をつぶしてしまうんやな。

S原:基本的にはそう。単純な話のはずなんやけど、どうも吞み込みにくい。黒澤版では、三船敏郎が2つのやくざ組織に近づいて、手玉に取るところがハラハラドキドキやったやん。しかも、のらりくらりとしながら実は凄腕で頭も切れるから、最後の対決とかしびれるやろ?

Y木:あー広い大通りを真正面から、向き合って歩く場面やろ。あそこはええよな。

 

映画評】用心棒(1961)黒澤明監督特集10 | Flourella blog

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S原:シャーッ!シャーッ!とシンバルが鳴って、ワクワクするやろ。でも、ああいう「美味しい場面」がないねん。

Y木:黒澤と比べたら可哀そうやろ。

S原:黒澤の演出よりも劣るという話ではなくて、監督や製作者たちがやりたいことがハッキリしないのが歯がゆいのよ。「用心棒」をベースにして現代に置き換えてるから、もっと自分たちなりの「ここをみてくれ!」「これがやりたい!」というのを観たかったなあ。あ、映画としては決して下手とか失敗作ではないよ。ちゃんと演出も演技もしているし、ロケにも力が入っている。主人公役は、 新人の仲村靖秀。大抜擢やと思うけど、顔つきや表情が良いと思う。ほかにも、川原亜矢子伊崎充則かとうかずこ大和田伸也、村田雄浩といったベテランが脇を固めています。でもなあ……

Y木:具体的には、どういうところが不満なん?

 

旋風(かぜ)の用心棒:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画

 

S原:まず、人間関係がわかるようで分からない。原発推進派、反対派の女リーダーと弟、妻を拉致された夫、ラーメン店の女店主(主人公を助ける)とその子供、主人公にまとわりつく刑事、その他がでてくるねんけどな。みんな、それぞれの思惑で動く。だけど、どういう気持ちでなにを求めているのか曖昧にしているねん。もちろん演出なんやけど、観ている方は感情移入しにくい。「私怨」でも「経済効果」でも「賄賂(金儲け」でも目的はなんでもええねんど……

Y木:ふーん。主人公が立ち向かう「悪役」がいないってこと?

S原:一応、おるんやけど。うーん、そうやな。主人公はどういう目的でこの街に来たのかは、後半にならないと分からない。なので、余計に主人公以外のキャラや人間関係をすっきりさせてほしかった。観客にとっては、主人公が凄腕なのかどうかもよくわからんしな。黒澤版では、飯屋(呑み屋)の親父に、三船が話を聞くやろ。この町がどんな場所なのかとか、ヤクザ組織の対立とか。反対に、三船は自分の意図を呑み屋の親父に説明したりするやん。それが、観客にわかりやすくて、三船の次の行動の背景が理解できるねん。

Y木:結局、説明不足ってことちゃうの?

S原:そうなんやけど……ただ、映画オタクは「説明台詞」をバカにする傾向があるやろ。

Y木:ああ、そうやな。

S原:たぶん、監督(川原圭敬)は、わざとらしい説明をしたくなかったんやと思う。でも、今回はそれが感情移入できない原因になったのかも……

Y木:なかなか、映画作りも難しいな。

S原:というわけで、みなさん。決して悪くないですが普通に観て面白いとまで言えないのが残念です。おそらく製作費が少ない中でキャストもスタッフも良く完成させたと思いますし、異色作なのは間違いありませんので、ご興味ある人はぜひご覧あれ~。

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「ポールダンシングボーイ☆ず 」(2010)の巻

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S原:今回はこちら、男のポールダンス!

Y木:はあ、いろんな映画があるなあ……

 

(あらすじ)

お笑い芸人を目指すアツシ(荒井敦史)とシンタロウ(阿久津愼太郎)は、単独ライブ用の貯金をお笑いワークショップにつぎ込む。彼らが教室に出向くと、そこにはリストラされた会社員のヤマグチ(山口賢貴)や、東北から出てきたミッチー(三津谷亮)ら地味なメンバーが集まっていた。そこにお笑いとは無関係のポールダンサー、ナミコ(泉カイ)が現れ……。

 

S原:これは出来は普通やったけど、ぼくは好印象やねん。まあ題材が題材やから、観る人を選ぶやろうけど。

Y木:青春スポ根みたいな感じ?

S原:そういう要素もあるけど、どちらかと言うと「ダメになりかけた若い男たちが奮起する話」かな。もちろん、ポールダンスで奮起するわけね。

Y木:これ、男性アイドルたちが主演やろ。ジャニーズ?

S原:ジャニーズではありません。ワタナベエンターテインメント所属で、若手男性俳優ユニット“D-BOYS”の弟分ユニット、“D2”のメンバーです。今回、出演するのは荒井敦史阿久津愼太郎山口賢貴近江陽一郎上鶴徹三津谷亮池岡亮介西井幸人、根岸拓哉、陣内将の10人。そのうち8人がポールダンスをします。

Y木:ごめん、全然知らんわ。

S原:ぼくも知らんかった。でも先入観がないから、その方が良いです。キムタクはキムタクにしかみえないので。

Y木:まあ、いつも同じ感じの役やしな(苦笑)

S原:で、この映画の一番良いところは、そのD2のメンバーたちやねん。

Y木:ほう。演技がいいとか?

S原:演技はまあまあですが、存在感があります。あと立っている姿が良い。でも一番良いのは、ちゃんとポールダンスをしているところやな。かなり練習したんとちゃうかな。

Y木:じゃあ、映画としては成功やろ。

S原:そうやな。成功した要因はすごく明確やねん。それは、D2のメンバーたちがちゃんと脱いでること、です。

Y木:あー言いたいことは分かる。

S原:かなり前に「ダイブ!!」(2008)って映画を紹介したのを覚えてる?

Y木:覚えてない。

S原:そのときに、林遣都池松壮亮溝端淳平を褒めたんやけどな。演技も良かったけど、彼らがきちんと競泳水着姿を見せてるし、しかも鍛えた体(細マッチョ)やから、説得力があるねん。飛び込み選手の役やから当たり前という人もおるかもしれんけど、その「当たり前」が出来ていない映画とか役者が多いやろ。 

Y木:まあな。

S原:「ポールダンシングボーイ☆ず 」も、それに近いです。

 

talksessionyands.hatenablog.com

 

S原:反対に、「男女逆転 吉原遊郭」(2008)とかは全くダメやった。遊郭の話なのに、男優が全く脱がない。ストーリーや演出云々ではなくて、そもそもこれでは遊郭にいる男(遊男)にみえません。もっと萌えを意識して色気を感じさせてほしいですよ、はい!

Y木:どの視点で話をしてるねん?

 

talksessionyands.hatenablog.com

 

S原:ただ、この映画は欠点もあるのよなー。

Y木:なに?

S原:10人近くヤングな男がでてくるとな。ほとんど区別がつきません……

Y木:それは、おまえがオッサンやからやろ。若い娘とかファンは区別つくからOKなんやろな。

S原:そうそう。普段、ジャズを聴いていない人にとっては、山下洋輔渡辺香津美も一緒やからな。

Y木:その2人は楽器が違うから区別できるやろ。

S原:楽器の違いくらい、この映画も分かりやすくしてほしかった。でもまあ、楽しかったで。

 

画像・写真 | ボーイズユニット・D2がポールダンスに挑戦 主演映画の舞台裏 2枚目 | ORICON NEWS

 

Y木:話は?

S原:ほとんど語ることがないです。それぞれ、訳ありのキャラたちが騙されてある場所に集まります。そこはポールダンス教室でした。そのまま、ひょんなことからポールダンスをすることになる。SNSでバズって、最後はライブハウスでお客さんが一杯になります。クライマックスは、男達の熱きポールダンスショーね。

Y木:結構、ストレートな話やな。

 

ポールダンシングボーイ☆ず : 作品情報 - 映画.com

 

S原:それでええと思う。練習中から、Tシャツに短パンで健康的な生足がバンバンでるし、局部にファウルカップを付けたブリーフシーンもちゃんと撮ってます。ファウルカップをつけたまま、外に出て行ってオバサン2人が興奮するという名場面もあるで。

Y木:なんやねん、それは。しかしファウルカップをつけて、ポールダンスを出来るんか?

S原:先生に「そんなものは外しなさい!」って怒られてたわ(笑) 同じポールダンス教室に通う女子2人(そのうち1人は、ブレイク前の橋本マナミ)がレオタード姿になるけど、観ていると「そんなんええから、もっと男子(の半裸)を見せてや!」って思ってしまう。

Y木:やめろ。おまえ、そういう趣味ないやろ。

S原:あと、この映画の一番の見どころは、ふんどし姿やろうな。

Y木:へえ、ふんどし。

 

ポールダンシングボーイ☆ず」のワンシーン。この映画には俳優集団D-BOYSの弟分、D2のメンバーが総出演している。 -  SuG新曲は“男だらけのポールダンス”映画主題歌 [画像ギャラリー 1/3] - 音楽ナタリー

 

S原:山本譲二以来やで、テレビ画面でふんどし姿を見たのは(笑) ともあれ直球勝負で、ポールダンスの説得力で最後までいきます。というわけで、この映画は完全にファン向けですが、ファン以外でも若い男子の半裸に萌える人にはおススメです~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「腐女子」(2009)の巻

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S原:さあ、今回は文字通りの「腐女子」!

Y木:思い付きで作ったんやろなあ……(ため息)

 

(あらすじ)

呪われた我が子の身体を取り戻すため、母は鬼となる!腐るのは女と子供!
子供が生まれない事を苦に精神を蝕んだ佐里は夫・勝也の知り合った黒魔術師の呪いにより子供を授かる。
6年後、事故で我が子を失う。再び半狂乱状態の母親・佐里は事故で死んだはずの我が子を復活させる為、黒魔術の力を頼る。しかし、復活した我が子は身体のあちこちがただれ、腐蝕が進み・・・

 

S原:これは、自主映画みたいやった。

Y木:出来がひどい?

S原:というか「まともに作れていない」の一言に尽きる。画面の明るさがカットごとに変わるし、同時録音なのかしらんけど、音もバラバラ(音質も音量も周りの音も)。カットのつなぎも不自然やし、ちょっとこれではなあ。

Y木:わざとちゃうの? 狙いと言うか。

S原:それもわからん。意図してこういう演出をしたわけではないと思うけど……

Y木:内容云々を言う前に、ちゃんと作ってくれよってこと?

S原:そうそう。おそらくスプラッター描写が目玉やねん。なので、そこに力を入れるのはええねんけど、それ以外にも普通のレベルにして欲しかった。これでは、なんとなく観た人は失笑するって。

Y木:なんとなく、これを観る人なんかおらんやろ。

 

S原:あらすじは、上の通り。ある夫婦がおるねんけど、妻は心のバランスが不安定やねん。どうしても子供が欲しい妻は、占い師(魔術師?)に相談をする。この占い師が黒魔術を使う怪しい女性で、目の周りがパンダみたいやねん。

Y木:パンダって。

 

 

S原:で、パンダの占い師が、子供を授かりたければ、薬草とか生きた猫とかいろいろと持ってこい、と言われる。その通りすると、見事妊娠する。

Y木:ほう。それで?

S原:次は6年後。夫婦は、子供と幸せに暮らしていたけど、ある日子供は事故で亡くなってしまう。また、占い師のところへ向かうと「子供を生き返らせるには死んでもよい者(体)を連れて来い」と言われる。

Y木:どうするの? だれか殺すの?

S原:はい。殺します。夫はかつて不倫していてな。久しぶりに不倫相手を誘って、そのまま殺して、占い師のところへ持っていく。占い師は、謎の呪文を唱えて、主人公夫婦の子供をよみがえらせる。しかし、その子供は、生身の生き物を食べないと体が腐っていくという特異体質で……という話です。

Y木:体が腐ったりする場面がメインやな。

S原:うん。体を切ったりな。まあ、好きな人にはたまらんかもしれんけど、とくに怖くなかった。もちろん気持ち悪いけど。

 

 

S原:奥さん役(品川美月)は熱演やったけどな。他が雑すぎて今回はちょっと褒めにくいです。もっと丁寧に、というよりも普通に撮っておくれ。

Y木:その普通に作るって難しいことをこのブログが証明してるやん(笑)

S原:そうやねんなあ。お金をかけても変な映画が出来てしまうから……というわけで、みなさま。今回は、本当にホラーマニア向けの作品です。それ以外の人には」おススメ出来ません。 あ! 言い忘れた!

Y木:なに?

S原:この夫婦の子供、女子じゃなくて男子やねん。なので「腐女子」ってタイトルも間違っています。

Y木:………え?