あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「サイクル」(2005)の巻

CYCLE-サイクル- [DVD]

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S原:今回は、山本政志監督作品ですよ!

Y木:山本政志! 久しぶりに名前を聞いたなあ。

 

(あらすじ)

コンビニでアルバイトをしている麻愛。麻愛には最近、藤岡という彼氏が出来た。幸せな日々を送っていた麻愛だが、彼女は毎日同じ時間に聞こえてくる自転車の音に悩まされていた。ある日、麻愛は自転車に乗った怪しげな女の姿を目撃する。麻愛はその正体を突き止めようと追跡を試みるのだが、女が入っていったのは実在しないはずの家だった・・・。女の正体を調べていくうちに、次第に精神を蝕まれていく麻愛。麻愛の中に流れ込むもう一つの記憶によって、明らかになっていく衝撃の事実。交錯する二つの人生の中で、彼女はこの循環-サイクル-から、抜け出すことが出来るのか!?

 

S原:山本政志と聞いて、映画ファンでも「あーあの『ロビンソンの庭』とか『てなもんやコネクション』の人ね」という人は、もう少ないんかな。

Y木:「熊楠-KUMAGUSU-」とかな。俺ら世代は「カルトの王様」「自主映画作家の憧れ」みたいなすげえ人って感じやったけどな。で、これはホラー映画やろ?

S原:ジャケットをみたら誰でもそう思うよなー。でも違います。サスペンスというか心理スリラーという感じやねん。これ、ジャケットデザインで損をしているわ。だって、全然作品のイメージと違うもん。

 

サイクル:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画

 

Y木:で、どうやったの? 面白いの?

S原:ぼくは面白かった。ただ酷評する人の気持ちも分かるかな。

Y木:低予算やからチープとか?

S原:製作費が少ないのは間違いないけど、チープさは感じない。反対に精一杯(力を抜かずに)作ったのはよく分かるで。メイキングが収録がされてるねんけど、すごく工夫して撮影しているのが分かるしな。実際、6日間でほぼ徹夜の連続で一気に撮影したらしい。

Y木:へえ。

S原:山本政志監督は、あいかわらずパワフルで奇妙な存在感があったわ(笑) まあ監督のキャラは置いておいて作品の話をすると、起承転結は一応あるけど「謎解き」を楽しむ映画ではなくて、雰囲気を味わう映画かな。だから、この映画に漂っているムードに肌が合わなかったら全然ダメちゃうかな。

Y木:雰囲気か。

 


S原:主人公は、コンビニバイトをしている女性で、夜(22:50)にいつも同じ自転車の音がするのが気になっています。ある日、思い切って待ち伏せします。やがて、いつもと同じ自転車の音がします。主人公が確認すると自転車に乗っているのは帽子を目深に被った若い女性やねん。よせばいいのに、自転車で尾行します。

Y木:その女性が幽霊なんか?

S原:ドキドキしながら尾行すると、普通の一軒家に「ただいまー」と入っていく。自分の勘違いかと思って、次の日にそこを通るとこの自宅はなく駐車場になっているので驚く。これが発端ね。

Y木:なるほど。それで?

S原:そこから、また気になってもう一回尾行します。今度は「毛利」という表札を確認します。で、今度は毛利家の話が挿入されます。その家は父、母、娘の3人暮らし。その娘は主人公とそっくりです。娘には新しく恋人が出来る一方、父親がリストラをされて心を病んでいきます。いろいろあって、今度はその毛利家の娘が、主人公のアパートの前まで来て倒れたりします。

Y木:ん? よくわからんけど、そういう演出なんやな。二重構造というか。

S原:そうそう。2つの世界なのか心の中なのか分からんけど、それが交差する演出やねん。主人公が2つの生活をしていて、だんだんどちらが本物の自分か分からなくなる。一応、ラスト近くで「原因」は分かるけど、ハッキリとは分かりません。最後も余韻を残しつつバッサリと終わります。

 

CYCLE サイクル - anttiorbの映画、映像の世界

 

Y木:やりたいことはなんとなく分かるけど、どうやろ。話を聞くとかなり地味な気がするけど。

S原:そうやな。ホラーファンは物足りないと思う。52分しかないから、気軽に観れるけど。さあ、みなさん。「隠れた佳作」とは言いにくいですが、独特の雰囲気とこれを一気に作り上げたパワーは十分に感じます。主人公を演じた岩波藍は、なかなか良いです。決して美形でない、こういう女優は大事だと思うんですけどね。かなり、クセのある映画ですが、気になる人は一度ご視聴あれ~!