スポーツ映画祭り！第3試合「ダイブ！！」（2008）の巻

S原：今回は飛び込み！

Y木：へえ。

（あらすじ）
平凡な中学生の知季(林遣都)と、飛び込みのエリート選手である要一(池松壮亮)たちが通うダイビングクラブは赤字経営で存続の危機になってしまう。そのクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった。そんな二人の前に、野性児のようなダイバー飛沫(溝端淳平)が現れる。オリンピック出場をめざし、知季、要一、飛沫の熱い戦いが始まる…！

S原：これこれ！こういう風に作ってほしいのよ。

Y木：いきなりなんやねん。

S原：すごく魅力がハッキリしている映画やねん。まずは中学生男子のかっこよさ瑞々しさ。つぎは飛込競技の魅力。あとはキャラクターとベタな展開。すごくわかりやすいし上手く作っています。これ、単純に楽しめるで。

Y木：ストーリーを読むと、超ベタやけど。

S原：今回はベタで大正解。とにかく主役の3人が良い。林遣都、池松壮亮、溝端淳平。彼らの体がすごく良い。とくに引き締まった体と腹筋はすごいよ。撮影前に3ヵ月猛特訓したらしいけど、いやほんとの選手みたいやで。

Y木：おれは男子の裸には興味ないからな。なんとも言えんけど。

S原：そこやねんって！結局、こういう映画で何を観たい？ってことよ。もちろんストーリーやキャラクターなんやけど、やっぱり演じる俳優たちの競泳パンツ姿やって。「半裸の10代男子」「細マッチョ」「水着萌え」ってことよ！

Y木：ことよ！って力説されても…

S原：もちろん個人的には興味ないねんで（笑）でも、ちゃんと映画を撮るときに避けてはいけないポイントに正面から取り組んでいるのが素晴らしい。水泳の授業でチラチラとしか見れない女子たちも、映画館の大スクリーンでガン見できるやん。BL好きの腐女子のアンテナにもひっかりそうやしな。これこれ、こういう風に撮ってほしいねん。

Y木：分かるけどな。そんなにエロさを押し出しているわけじゃないやろ？

S原：もちろん。でも健康的なエロさは全開です。というか全編半裸の男性が登場し続けるねんで！

Y木：そりゃ飛び込みの映画やったら、そうでしょ。

S原：もっと言うと、ちゃんとモッコリも映しています。これは大事なポイントやって！例えば上半身だけを写して誤魔化していないねん。いやー、この監督（熊澤尚人）の映画は初めて観たけど、この人はよく分かってるで！

Y木：もうええ。そのへんでやめてくれ。映画本編の話をしてくれ。話はどうなん？

S原：上のあらすじの通り。ものすごく王道です。舞台はミズキダイビングクラブ(MDC)。主人公は平凡な中学生（林遣都）。このクラブには優秀な選手がいてそれを池松壮亮が演じています。クールな雰囲気で、飛び込み台から面倒くさそうにタオルをポンとなげるのが印象的やねん。ある日、アメリカ帰りのコーチ（瀬戸朝香）がやってきます。美人なので、男子たちは盛り上がりますが、じつは厳しいコーチやねん。飛び込みの練習の前に筋トレや飛び込み前の姿勢の練習を延々とさせます。不満を持つ選手たちに、わざわざ厳しいコーチを呼んだ理由が明かされます。それは「このクラブは赤字経営が続いており、存続の危機を迎えている」「クラブ存続の条件は、MDCからオリンピック選手を出すこと」ということやねん。

Y木：なるほど。少年マンガみたいやな。

S原：その女子コーチは、優秀な池松壮亮とともに、主人公にも目をつけます。練習はプール以外でもするようにと、特別強化練習メニューを渡す。主人公はそれをまじめにこなしていき、基礎体力がついていきます。そんななか、今度は青森から新しい選手が加入します。これが溝端淳平ね。こいつも優秀やけど、なかなか個性的でクラブの雰囲気が変わっていく。さあ、オリンピックには出場できるのか？こういう感じです。

Y木：たしかに王道やな。

S原：うん。映画としては欠点もあるんやけどな。例えば、日本映画特有の「説明セリフ」もあるし、もっと3人のドラマがかみ合っていけば…と思う。でも何度も言うけど、これはこれで良いねん。登場人物（俳優）たちを魅せる映画やねん。キレイなはずの女優（瀬戸朝香、蓮仏美佐子など）が、かすむくらいに男子たちが清々しい。林遣都が当時のインタビューで「自分自身の限界に挑戦した作品」と言っていたけど、たしかにそうやと思うわ。

Y木：今回は、ちゃんとした映画やったみたいやな。

S原：イエース。こういうのに当たるので、やっぱり映画を観るんかもな。さあ、みなさん。10代の青春ものでもあるし、スポーツとしての飛び込みの場面もよく撮れている映画です。予定調和がキライな人、若い男子の半裸姿に興味がない人、青春ものが苦手な人、それ以外のすべての人におススメしまーす。テレビ放映をしたらお見逃しなく！中古店で見つけたら、マストバイですよ～！