S原:今回は、キングと同じく人気があるクライヴ・バーカー!
Y木:有名なホラー作家やな。
(あらすじ)
ある日、突然世界の子供たちが原因不明の昏睡状態に陥る。それから長い月日が経ち、その子供たちが蘇り、次々と大人たちを血祭りに上げていく、それは阿鼻叫喚の生き地獄・・・。
S原:クライヴ・バーカーは読んだことある?
Y木:ないなー。キングは何冊か読んだけど、印象に残ってない。
S原:ぼくは「ミッドナイト・ミート・トレイン」とか何冊か読んだ。小説でのホラー描写は上手いよ。
Y木:そうなんや。でもホラーを小説で読むのはどうもな。
S原:この人は、映画製作にも興味あるみたいで、結構監督したり製作したりしてます。これは、その中の1本ですな。
Y木:どうやった?
S原:まあまあかな。ゾンビは出てこないです。もう少しタイトルをちゃんとつけて欲しかったわ。全体としては、少し気味悪い部分もあるけど、そんなに怖くない。こういう映画って、ここぞ!という場面とか描写が欲しいのよ。
Y木:売りとなる場面のこと?
S原:そうそう。「トータル・リコール」では顔が割れる場面とか印象に残るやん 「メガフォース」でも煙幕で一列に並んで走る場面とか笑ってしまうやん?でも、そういう場面がほとんどない。
Y木:せめてホラー映画で例えろよ。まあ、雰囲気重視なんちゃうの?
S原:たぶんそう。でも、話がどうものみこみにくて、途中でダレます。ここが残念やった。
Y木:ストーリーは?
S原:ある日、突然、世界中の9歳未満の子供達が原因不明の昏睡状態に陥ります。心配した親たちが病院に連れていくけど、もう野戦病院状態です。それから10年後。原因は未だに分かりませんでした。この間に生まれた子供達は、皆昏睡状態でした。いろいろ小さなエピソード(国連で出産を禁止するとか)を挟みつつ、ある日子供が一斉に目覚めます。
Y木:ほう。
S原:で、大人を襲い始めます。そういう映画です。
Y木:それって、「ザ・チャイルド」(1976)と一緒やん。
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S原:スペインのホラー映画やろ。あれ、観たいと思ってるけどDVDが高くて手を出せなくて、まだ未見やねん。噂によると、相当気味悪いみたい。
Y木:そりゃ、子供が襲ってくるんやからな。
S原:元ネタかどうかは分からんけど、ぼくは「未知空間の恐怖/光る眼」(1960)のほうが似てる気がする。
Y木:あー白黒のやつな。
S原:あれ、面白かったやろ。
Y木:そうやな。
S原:じつは、ジョン・カーペンター兄貴がリメイクしてるんねん。これも良かったで。B級っぽくて(笑)
Y木:ジョン・カーペンターか。みんな、好きやなあ。みんなというか、このブログの読者ではスピルバーグよりも人気ちゃうの?
S原:たしかに。で、この映画やけど、その子供が襲ってくる場面が意外に弱い。
Y木:ふーん。
S原:昏睡から10年経っているから、子供も結構青年になってるしな。幼い無垢な存在が、人を殺めるという感じはないです。ちょっと良い場面もあるねんで。大人がこっそりと子供の様子を覗いていると、いっせいに子供が振り向くとか。
Y木:それ、「光る眼」やん。
S原:まあな。でもこの場面は気持ち悪かったで。あとは、やっぱり大人たちは子供を殺すのに躊躇するとか。ただ、残念ながらこういう場面が少ないのよな。あとは、たぶん宗教観が入ってるんとちゃうかな。
Y木:宗教観?
S原:いろいろなメッセージと言うか暗喩がでてきます。ラストでは、主人公の女性が心を無垢にして平静を保つと子供が襲ってこない、という展開になります。
Y木:どういうこと?
S原:わかりません。ラストはわけがわからない、と多くの人が突っ込んでます。あとは、子供がスタインベックの「怒りの葡萄」のペーパーバックを持ってるとか、暗示っぽい何かがあるけど、ぼくにはわからんかった。
Y木:普通のホラーにはしたくなかったんちゃうの?
S原:たぶんな。まあ、こういう映画に何を求めるかなんやけど、異色作やと思う。ただ、映画として面白いかと言われると、うーんと返答に窮します。
Y木:なるほどな。
S原:というわけで、みなさん。子供たちに「悪いのは大人たちだ」と言われても、「いや、大人は大人でいろいろあるんやで。な?」と言いたくなるような映画ですが、ホラーマニア、クライヴ・バーカーのファンならOKだと思います。意外な拾い物にならなかったのが残念な映画でした~!