あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「 クライヴ・バーカー ヘルゾンビ」(2006)の巻

クライヴ・バーカー ヘルゾンビ [DVD]

S原:今回は、キングと同じく人気があるクライヴ・バーカー!

Y木:有名なホラー作家やな。

(あらすじ)

ある日、突然世界の子供たちが原因不明の昏睡状態に陥る。それから長い月日が経ち、その子供たちが蘇り、次々と大人たちを血祭りに上げていく、それは阿鼻叫喚の生き地獄・・・。

 

S原:クライヴ・バーカーは読んだことある?

Y木:ないなー。キングは何冊か読んだけど、印象に残ってない。

S原:ぼくは「ミッドナイト・ミート・トレイン」とか何冊か読んだ。小説でのホラー描写は上手いよ。

Y木:そうなんや。でもホラーを小説で読むのはどうもな。

S原:この人は、映画製作にも興味あるみたいで、結構監督したり製作したりしてます。これは、その中の1本ですな。

 

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Y木:どうやった?

S原:まあまあかな。ゾンビは出てこないです。もう少しタイトルをちゃんとつけて欲しかったわ。全体としては、少し気味悪い部分もあるけど、そんなに怖くない。こういう映画って、ここぞ!という場面とか描写が欲しいのよ。

Y木:売りとなる場面のこと?

S原:そうそう。「トータル・リコール」では顔が割れる場面とか印象に残るやん 「メガフォース」でも煙幕で一列に並んで走る場面とか笑ってしまうやん?でも、そういう場面がほとんどない。

Y木:せめてホラー映画で例えろよ。まあ、雰囲気重視なんちゃうの?

S原:たぶんそう。でも、話がどうものみこみにくて、途中でダレます。ここが残念やった。

 

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Y木:ストーリーは?

S原:ある日、突然、世界中の9歳未満の子供達が原因不明の昏睡状態に陥ります。心配した親たちが病院に連れていくけど、もう野戦病院状態です。それから10年後。原因は未だに分かりませんでした。この間に生まれた子供達は、皆昏睡状態でした。いろいろ小さなエピソード(国連で出産を禁止するとか)を挟みつつ、ある日子供が一斉に目覚めます。

Y木:ほう。

S原:で、大人を襲い始めます。そういう映画です。

Y木:それって、「ザ・チャイルド」(1976)と一緒やん。

 


S原:スペインのホラー映画やろ。あれ、観たいと思ってるけどDVDが高くて手を出せなくて、まだ未見やねん。噂によると、相当気味悪いみたい。

Y木:そりゃ、子供が襲ってくるんやからな。

S原:元ネタかどうかは分からんけど、ぼくは「未知空間の恐怖/光る眼」(1960)のほうが似てる気がする。

Y木:あー白黒のやつな。

 

映画 光る眼_d0009105_2363465.jpg

 

S原:あれ、面白かったやろ。

Y木:そうやな。

S原:じつは、ジョン・カーペンター兄貴がリメイクしてるんねん。これも良かったで。B級っぽくて(笑)

 

 

Y木:ジョン・カーペンターか。みんな、好きやなあ。みんなというか、このブログの読者ではスピルバーグよりも人気ちゃうの?

S原:たしかに。で、この映画やけど、その子供が襲ってくる場面が意外に弱い。

Y木:ふーん。

S原:昏睡から10年経っているから、子供も結構青年になってるしな。幼い無垢な存在が、人を殺めるという感じはないです。ちょっと良い場面もあるねんで。大人がこっそりと子供の様子を覗いていると、いっせいに子供が振り向くとか。

Y木:それ、「光る眼」やん。

S原:まあな。でもこの場面は気持ち悪かったで。あとは、やっぱり大人たちは子供を殺すのに躊躇するとか。ただ、残念ながらこういう場面が少ないのよな。あとは、たぶん宗教観が入ってるんとちゃうかな。

Y木:宗教観?

S原:いろいろなメッセージと言うか暗喩がでてきます。ラストでは、主人公の女性が心を無垢にして平静を保つと子供が襲ってこない、という展開になります。

Y木:どういうこと?

S原:わかりません。ラストはわけがわからない、と多くの人が突っ込んでます。あとは、子供がスタインベックの「怒りの葡萄」のペーパーバックを持ってるとか、暗示っぽい何かがあるけど、ぼくにはわからんかった。

Y木:普通のホラーにはしたくなかったんちゃうの?

S原:たぶんな。まあ、こういう映画に何を求めるかなんやけど、異色作やと思う。ただ、映画として面白いかと言われると、うーんと返答に窮します。

Y木:なるほどな。

S原:というわけで、みなさん。子供たちに「悪いのは大人たちだ」と言われても、「いや、大人は大人でいろいろあるんやで。な?」と言いたくなるような映画ですが、ホラーマニア、クライヴ・バーカーのファンならOKだと思います。意外な拾い物にならなかったのが残念な映画でした~!