S原:さあ、今回は二本立て!
Y木:あーいかにも、Jホラーって感じやな。
「戦慄迷宮」のあらすじ
“飛び出すスリル!見破れないトリック!遊園地に隠された衝撃の真相”
ある遊園地の巨大なお化け屋敷で行方不明になった少女が、10年後突然帰ってきた。かつての友達だった4人は、おびえながらも迎え入れるが、彼女は突然発作を起こす。5人は病院へと向かうが、辿りついた普通の病院は、次第に姿を変えはじめ、まるで迷宮のような不気味な空間に変貌! 閉じ込められた5人は10年前の事件の【真実】を身を持って体感する。深夜2時29分、驚愕の一夜に目撃する“少女”の隠された【正体】は?
「戦慄迷宮 MAX」のあらすじ
「怖いお化け屋敷ランキング」で1位を独占している富士急ハイランドの「戦慄迷宮」を体感できる新感覚ホラー。お蔵入りとなった演出を復活させた恐怖度MAX版に、アイドルグループ・LinQの3人とKIKKUN-MK-2が挑戦。
S原:「戦慄迷宮」から話すわ。結論から言うと、大したことなかった。劇場公開時は3Dやったらしい。
Y木:へえ、立体映画か。
S原:これは出来れば3Dで劇場で観たかったわ。たぶん、3Dを意識した演出をしているし、印象がかなり変わったと思う。
Y木:お化け屋敷系の映画やろ?
S原:そのまんま、舞台がお化け屋敷です。あらすじは簡単やねん。子供の頃に、無人のお化け屋敷に入ってまま出てこなかった友人(女子)がいる。その友人たちがまたお化け屋敷に行って、過去の『事件』の真相を知るという話。
Y木:要するにお化け屋敷の雰囲気を、そのまま映画としての怖さに利用しようとするわけやな。
S原:うん。これ、実際に富士急ハイランドにあるアトラクション「戦慄迷宮」が舞台。世界最大のお化け屋敷としてギネスブックに登録されたらしい。
Y木:あー広いお化け屋敷か。それは映画に使いたくなるやろうな。
S原:主人公(柳楽優弥)たちは、子供時代、お化け屋敷に友人を置いていったしまったというトラウマがある。大人になって再訪したお化け屋敷のなかで、自分たちの子供時代の姿をみる。幻覚なのか自分たちの記憶の再生なのかわからない。やがて、お化け屋敷の中で過去に何があったのか真相を知る…という流れやな。
Y木:ふーん。雰囲気重視の映画とちゃうの?
S原:そうそう。でも、意外とゴタゴタしてるねん。
Y木:ゴタゴタ?
S原:まっすぐに盛り上がらないねん。だからもっと怖くなるはずの場面が、意外と怖くない。さっきも言ったけど、あらすじは単純なはずやねん。なのに、どうもわかりにくいねんなあ。キャラクターの性格もはっきりしないから、ただ大人が戸惑ったり怖がったりしているだけにみえてしまう。
Y木:お化け屋敷の内部と言うか、そこはたっぷりと観れるんとちゃうの?
S原:まあな。でも、興味のない人には別にどこのお化け屋敷でも一緒やろ?(苦笑)
Y木:それを言ったらおしまいやろ。
S原:まあ、せっかくのお化け屋敷の雰囲気もあまり生かせてなかったかな。最後の方でアトラクション(客を怖がらせる人形が動くとか)を利用しているけど、全体的には薄味やった。というか、お化け屋敷って暗いやろ?
Y木:そりゃな。
S原:画面がよく見えないねん(笑)
Y木:なんやねん、それ。いかにも、ジャパニーズ・ホラーならではの演出はないの?
S原:あるある。若い女性が、白目をむいたり、黒めになったり、首がカクってなって主人公に近づいたり…
Y木:いかにもやな。
S原:でも、小学生くらいなら気味悪く、怖く感じるんとちゃうかな。あ!面白い場面もあるよ。かわいいウサギのぬいぐるみがスーッと飛んできます。ぬいぐるみのジッパーが開いて、女性の顔がぬーっとでてくる。ここは面白かった。人によって失笑してしまうか、ウワッと思うかどっちかやろうな。こういうハッタリ演出が、もっと欲しかった。
Y木:ラストは?
S原:結局、主人公が「自分が死なせてしまった」という自責の念から、(復讐のため?)お化け屋敷で友人たちを殺してたのよ。それも本人に自覚はない。でも実際は、行方不明になった女児は意識不明なまま今でも生きていた…というオチやな。
Y木:なるほどな。
S原:ところどころは面白いけど、やっぱり不自然な展開が多くて映画としては楽しめない。全体としてはイマイチやったかな。それよりも、あなた!
Y木:なんやねん、大きな声をだして。
S原: 問題は「戦慄迷宮 MAX」のほうやねんって!
Y木:は?
S原:だって、これ……映画でもなんでもないもん…
Y木:なんやそれ。
S原:ほんまに、遊園地のお化け屋敷にはいるだけやねんで!
Y木:ドキュメント風のホラーか。
S原:ちゃうねん、ちゃうねん。ほんまにお化け屋敷でキャーキャーいうのを写してるだけやねん。途中から、疑似ホラーとかの展開があると思ったら、ほんまに入場者がビビったり怖がったりしてるだけやった……
Y木:うわーそんなDVDがあるんや。というか、これは、アトラクションの紹介DVDちゃうの?
S原:そうなんやろか。どういう目的で作ったのか知らんけど、80分あるねんで。ほんまに苦痛やで(苦笑)いままでのトップクラスかもしれん。あなた、夜の繁華街で、イエーイとか盛り上がっている男女を80分間観ておもろいと思う?
Y木:思わん。
S原:夜中にジョギングしている外国人を80分間みて、楽しいと思う?
Y木:思わん。
S原:誰も観たがらない、しかも暗くてよく見えないお化け屋敷内部の映像が延々と続く。暗くてザラザラの画面に「キャー!」とか「うわっ!」とか「マジ!?」とか「ヤバいって!」とか声が聞こえるだけ……「時計仕掛けのオレンジ」(1972)のアレックスの気分やったわ。
Y木:そんなに苦痛やったら観るのをやめろよ。
S原:いやー、途中からもう麻痺してしまってな…(苦笑)もう、面白いのかどうか自分でも判断が出来ないようになってしまった。これは一種のドラッグやろな。それぐらいのDVDやった。感心するのは、そんなDVDでもちゃんとレビューしている人が世の中におるってことやな。もちろん、全員ボロクソやけど(笑)
Y木:お前みたいな人が、ほかにもおるんやな。よかったやん、友達がいて(笑)
S原:サンキューね。さーみなさん、2本ともイマイチですが、まあ10年後には誰も語らない消えていく映画ですよ。この世から消えていくだろう作品を、救い上げるのはあなた、あなたですよ!お小遣いに余裕があるときに、ゲット、プリーズ!いや、そのお金があるなら菓子パンを買ったほうがええかな。
Y木:……なんで菓子パン?