あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

翼よ、あれが80年代だ!「ゴッド・フード/巨大生物の恐怖」(1988)の巻


ゴッド・フード/巨大生物の恐怖 [DVD]

S原:さあ、今回はスゴイですよ~。

Y木:うわー……

(解説)
自称「巨大生物の島」の続編、だが一切関係のない特撮巨大パニック作品。
本物のネズミをそのまま採用した合成や巨大男との濡れ場など、その特殊効果は伝説的。
「トータルリコール」「ターミネーター2」「氷の微笑」のカロルコ・プロ製作の初期作品。
イタリアンホラー並みの残酷描写とラストの銃撃戦の激しさだけは圧巻。

(あらすじ)
生物学者の新星ニールは謎の新薬メサイヤノールを開発した。それはあらゆる生物の成長を急速に促進する、バイオテクノロジーによる産物だった。ある深夜、無人の実験室が荒らされ実験用のラットが脱走する。その日から無惨に食い荒らされた死体が次々と大学内に見つかり・・・

 

S原:これ、知ってる?

Y木:「巨大生物の島」(1977)は観た。しょーもなかったわ(苦笑)で、あの駄作の続編を勝手に名乗っている、っていうのがすごいな。

S原:こういう世界は言ったもん勝ちなんやろうな。

Y木:いや権利関係とかあるから、あかんやろ。

S原:そのへんも適当なんちゃう?で、この映画は、僕は知らなかったのよ。例によって中古店(レンタル落ちコーナー)の棚で「変な映画があるなあ」とゲットしたんやけど、あとで調べると「怪作」として一部マニアに有名な映画らしい。

Y木:「らしい」…というのは?

S原:いやーこの映画に関しては好事家向けの映画というわりには、ネットでの情報があんまりないのよー。マニアたちのパワーはすごくて、好きな作品はかなり綿密に、というか病的に書いてあることが多いやん。それが、この映画にはあまりない。

Y木:いや別に情報がなくてもええやん。目の前のDVDを観れば。

S原:その通りです。で、実際に観たのですが……これは本当に珍妙な作品やった……(遠い空をみる目)

Y木:どうせB級(Z級)なんやろ?

S原:うん。まず、ネズミが大きくなるのが見どころですが、かなり気持ち悪いです。意外にリアルなのよ、ネズミが。

Y木:へえ。

S原:「結構、凝ってるなあ」って感心してたら、実は本物のネズミをそのまま撮ってただけやった。

Y木:どないやねん。

S原:冗談抜きでネズミ嫌いの人はトラウマになるので、おススメしません。

Y木:はー…(ため息)

S原:で、80年代のホラーらしく顔がグシャとなったメイクや体が巨大化するスプラッター場面があります。最初に、矯小発育症の子供にまだ開発途中の治療薬(メサイアノル)を投与してしまうんやけど、子供の体は巨大化してしまう。でっかい子供が部屋でわがままを言って叫ぶ場面は、かなりシュールです。

Y木:悪趣味やなー。

S原:あ!悪趣味と言えば、巨大化した男が女性とチョメチョメする場面もあるで。女性が「ギャーーー!」って(笑)ここは、もうシュールと通り越して感激したわ。

Y木:おまえ、思いっきり楽しんでるやん。

S原:あらすじはネズミが巨大化して襲ってくるだけやから、特に話すような内容はないねんけど、暗い場面で画面がザラザラになるVHS風の雰囲気は、いまとなっては懐かしい。ヤングにとってはただの汚い画面なんやろうけどな。

Y木:あーあの80年代の画面やな。

S原:そうそう。ちょっと良い場面もあるねんで。クライマックスでプールから続々をねずみが登場するねんけどな。それに驚いた観客が逃げ回るねんけど、迫真の演技すぎて観客席から転げ落ちている奴らがいます。それがめちゃ痛そうやねん(笑)

Y木:こんな映画のために、一所懸命にしなくてもええのに。

S原:あと、この映画で一番すごいのは、画面にスタッフが映っていることなんですよ!しかも、堂々と!

Y木:え……

S原:博士の体が膨張して体から変な液がでたりする場面があるねんけど、横からチューブで液をぶしゅーと注入しているスタッフの手が思いっきり写っています。

Y木:うわー……

S原:さすがに画面にむかって、にこやかにピースをすることはなかったけどな。

Y木:あたりまえやろ!というか、その場面をリテイクするお金も時間もなかったんやろうな。

S原:たぶんな。しかしなー、最低映画と呼ばれるエド・ウッドの映画でも、「悪夢の銀河鉄道」(1984)でも「悪魔狩り リミックスバージョン」(2003)でもさすがにスタッフは映ってへんやろ?そういう意味では、これは極北かもしれんで。

Y木:まあ…そうなんかな……おれはどこも目指してないから、どこが極北でもええけど。

S原:いやいや、このスタッフが映っている場面をちゃんと確認するだけでも、この映画を観る価値アリですよ!

Y木:ありません。(キッパリ)

S原:まあそういうわけで、珍作だったでござる。

Y木:ラストは?本物のネズミが死んでおしまい?

S原:最後はネズミを殺しまくります。結構ノリノリで銃を撃ちまくります。でも、途中で終わります。結局ネズミ退治もしないし、ヒッチコックの「鳥」みたいに絶望的な感じでもありません。ただ単に話が半端なところで途切れておしまいです。

Y木:なんか…ヤケクソ?

S原:いやセンスと才能の問題やろ。それか初めからちゃんと作るつもりがなかったのか…

Y木:なんちゅう映画や。

S原:さあ、みなさん。これは本当に楽しい珍作ですよ。同じネズミでも、ディズニーランドでネズミを追いまわすよりも、このDVDをゲットしたてリアルなネズミを観たほうが絶対に意味があると思います。そういうわけで、久々に言いますよ。マスト・バイです!