あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「黒看」(2018)の巻

黒看 -クロカン- ~The Exorcist nurse [DVD]

S原:これは、AKB48山田菜々美が映画初主演した映画です。

Y木:山田…だれ?

(あらすじ)

のどかな田園地帯にある病院に看護師として勤務する麻間利江(山田菜々美)。ある日、利江の務める病院に、原因不明の病状に悩まされている乗田雪子(佐伯香織)が診察に訪れる。雪子の症状から只ならぬ妖気を感じた看護師長の務目(広瀬真寿美)は、黒い看護師、通称“黒看(クロカン)"の松友岬(百川晴香)を呼び寄せ、雪子の看護にあたらせる。やがて、岬の看護を目の当たりした利江は恐ろしい真相を知る事に…。

 

S原:山田菜々美という人は、ぼくも知りません。というか、おっさんがアイドルに詳しかったらキモいやろ?

Y木:たしかに。

S原:なので有名なアイドルかどうかはわかりませんが、この映画はですねえ……うーん……

Y木:面白くないんやな。

S原:これ、DVDのジャケットみたらホラーやと思うやろ。でもちゃうねん。ホラーっぽい要素はあるねんけどな…

Y木:「黒い看護師」=「黒看」やろ?ブラックエンジェルみたいな感じ?

S原:あー思い切って平松伸二テイストで作ったほうが良かったかも……この映画は中途半端やねん。ホラーなのか、サスペンスなのか、「黒看」というキャラクターをみせるのか?

Y木:黒看っていうのは何者なん?

S原:まあ看護師なんやけどな。イメージはエヴァ綾波レイとかあんな感じかな。入院患者ってみんな辛いやろ?余命が少ない人は看護師に八つ当たりもするし、妬み・恨み・不満・不安など負のオーラが病院には充満している。それを一手に引き受けるのが黒看という設定です。

Y木:ふーん。

S原:同じ病棟の他の看護師からは気味が悪いと言われるし、体が傷だらけやねん。負の感情を一身に背負うために、心身ともに傷がついていく…

Y木:なんで黒看になるの?生まれ持った宿命?

S原:本人曰く「報酬が良いから」らしい。

Y木:えー、そういうので、黒看になるんか。クレーム担当みたいやな(苦笑)

S原:ところどころ良い場面もあるねん。黒看がテクテクとやってくる場面や、主人公と黒看がポツリポツリと会話する場面、子供が黒看をみて「一人だけ制服が違う」と指摘する場面なんかも味がある。要するに役者、とくに若い女性たちはみんな良いのよ。主役の山田菜々美と黒看役の百川晴香はとくに良い。でもなあ……

Y木:失敗作って言いたい?

S原:そこまでは言わんけど、話があまりにも小粒すぎる。

Y木:あらすじでは、「恐ろしい真相を知る事に…。」って書いてるけど?病院の裏側を暴く感じ?

S原:いやそういうのじゃないのよ。若い女性患者・雪子の調子が悪くて入院します。雪子は、夫に触られた場所に黒い染みが浮き出てしまう奇病にかかってしまう。そこで黒看がやってくるねんけど、一見優しそうな夫が過去に女性に対してひどい仕打ちをして、その女性は硫酸をかぶるという過去がだんだんとわかってくる。結局はその女性は逆恨みをして、雪子を恨んでいたというわけ。それを黒看や主人公たちがなんとかおさめて、おしまい。

Y木:うーん、確かに地味やな。

S原:黒看というキャラをもっと生かさないとなあ。マンガチックにしたくなかったのかもしれんけど、これでは面白くないです。「黒い看護師」…すごく不謹慎で背徳感もあるし、「人を殺める看護師」ならありきたりのホラーやけど、これはちょっと違う設定やからな。見せ方次第では、いくらでも面白くなりそうやん?

Y木:まあな。製作陣はリアルな怪談風にしたかったんちゃう?

S原:それにしてはリアリティがなさすぎる。どっちつかずになった分、観客も感情移入できない映画になってしまった。

Y木:今回はおススメしにくいみたいやな。

S原:そうですねえ、よほどのファンでないとキツイです。ホラーファンもダメでしょう。こういう映画が一番困ります。もっとキャラクターたちをいい意味で苛めないとダメです。せっかくのアイドルが女優へ脱皮するチャンスを潰してしまった、というのがぼくの感想です。残念!