S原:さあ、今回は久しぶりに人形ホラー!
Y木:お前、人形ホラーが好きやなあ……
(あらすじ)
幼くして両親を亡くした兄ノルベルトと妹アンジェリーナ。二人には人形のダミーが残されていた。里親を転々としながら二人は成長していく。そしてダミーを使って腹話術で儲けるため、ラスベガスを目指す。次第にダミーには心と魂が宿っていく。
S原:これ、面白かったで。
Y木:「チャイルドプレイ」みたいな話やろ?
S原:実はちょっと違います。人形が勝手に動いて人を殺すんじゃなくて、これは腹話術の人形やねん。どちらかというと「マジック」に近い。
Y木:へー、おまえが褒めてた映画やん。
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S原:まあ、「マジック」ほど良くないけどな。でも、なかなかの変化球で楽しめた。あるところに腹話術師(女性)がいます。貧困な生活でモーテルで死んでしまう。残されたのは、子供2人(兄妹)とダミーという人形だけ。主役は、この兄妹やねん。やがて、2人は成長して大人になる。兄はいつも無表情でまったく話せないけど、腹話術が出来る。なので、人形を通して会話をする。妹が、容姿はキレイなんやけど、ゆがんだ性格で、モラルがない。
Y木:ほう。
S原:お金のために(兄を養うために)ストリッパーになろうとして面接を受けます。妹は「腹話術を組み合わせたら、新しいストリップになる」と力説しますが、店のオーナーは「そんなもん、観客は望んでねえ!」と言われてお払い箱です。
Y木:それで?
S原:そのあと、妹はあっさりとオーナーを殺します。そのまま、オーナーの車も盗みます。
Y木:えー早いな、展開が。
S原:とにかくこの妹は人を殺めることに躊躇がない。いろいろあって、妹は「兄をラスベガスに連れて行って、腹話術師をしたら儲かるんじゃね?」と思いつきます。で、兄妹と人形と一緒にラスベガスに向かってレッツラゴーとなります。その道中が映画のストーリーになっています。
Y木:変則のロードムービーか。
S原:うん、面白いのは、単純なブラックなコメディでもありつつ、子供の頃の境遇(トラウマ)で人格が破綻している妹のドラマになっているところやねん。実は、子供の頃に親戚にレイプされたりしたから、可哀そうなのよ。
Y木:ということは、真面目な部分もあるんか?
S原:ほとんどないです。あっという間に人を殺すし、演出もコメディ風やねん。例えば、兄の子供を作らないといけない!と妹は急に思いつくのよ。
Y木:なんで?
S原:「この家族の子孫を残さないといけない!」というわけ。で、妹は、ある女性(ロビン)を拉致して「兄と結婚しろ!」「早く子供を産め!」と迫る。
Y木:メチャクチャやん。
S原:あまりに妹が暴走するので、兄と人形は「逃げよう」とか「いまなら妹を殺せる」と話し合いますが、それも上手くいきません。要するに、この妹が完全サイコパスやねん。でも、どこか気の毒な感じもするねんなー。これは僕だけかもしれんけど。かわいそうと言うか……
Y木:ブラックなコメディやけど、すこし可哀そうに観客に思わせたら、なかなか良い映画やろ。
S原:いや、基本的にはバカ映画やで(笑) 殺人の場面で明るいBGMが流れたりするしな。あーそうそう、妹は、腹話術人形の舌に焼きをいれてたわ。
Y木:なんやよくわからんぞ。
S原:とにかく、人を殺しながらラスベガスを目指す珍道中の映画やった。一応、ラストは軽くどんでん返しがあるねんけど、これは人によっては切なくなると思う。
Y木:ふーん。
S原:さーみなさん。ほとんど無視されている映画ですが、なんとも変な個性があります。B級臭ありありですが、それも含めて楽しんでください。いやー、なかなかぶっとんだ映画でした~!