あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

どっちが勝つんだ? VS映画特集! 「抗争 暴力団vsギャング 」(2005)「溝鼠VS.毒蟲」(2009)の巻

抗争 暴力団vsギャング [DVD]

溝鼠VS.毒蟲 [DVD]

 

S原:今回は久しぶりにこういう映画です。

Y木:Vシネマ系やな。

 

(「抗争 暴力団vsギャング 」のあらすじ)

六本木でプールバーを経営する弘明寺龍一は、4人の仲間と共に裏では金貸しを営んでいた。そんな彼らに、六本木を麻薬で支配する暴力団の影が忍び寄る。

 

(「溝鼠VS.毒蟲」のあらすじ)

お金のためならどんな仕事でも引き受ける復讐代行業を営む“溝鼠”こと鷹場。彼は少年時代に経験したトラウマにより非道な人間になっていた。そんな彼に恋人を汚された大黒は…。

 

S原:ぼくらは2人ともヤクザ映画とかVシネマは詳しくないやん?

Y木:そうやな。好きな人には申し訳ないけど、苦手やわ。

S原:ぼくも積極的には観ないねんけど、この手の映画を観て思うのは『やっぱり俳優(とくに男優)をカッコよくみせるためだけの映画やなあ』と。

Y木:それでええやん。

S原:ただ、ヤクザとか闇金とか「闇の世界に生きる漢」を描くことが大半やけど、個人的にはそっちの世界に憧れが全くないからなあ。どうも入り込めない。

Y木:じゃあ、観なかったらええやん。

S原:そう言われたら、話は終わるねんけどな(苦笑) まあ、Vシネマ系のDVDを観るたび思うねんけどな。なんか………

Y木:なに?

S原:……どういえばええんかな。

Y木:はよ言え。

S原:……薄味やねん。

Y木:それが結論かい。

抗争暴力団VSギャング - Movies on Google Play

 

S原:うーん、どうも物足りない。作り手は、やっぱり面白い作品を作ろうとおもってるわけやろ? それにしては、あまりに直球勝負やねんなあ。べつに凝った作品が上とか言わへんけど……

Y木:今回も薄味やと?

S原:そうねえ。まず「抗争 暴力団vsギャング 」は、主演の白竜をかっこよくみせる映画なんやと思うけど、意外にかっこよい場面が少ない。

Y木:ふーん。

S原:それに主演俳優の魅力だけ90分近くひっぱるのは相当な技量がないと厳しいで。もっと他に、観客が引っかかるポイントを作った方がええと思うねん。キャラクターなのか、抗争の駆け引きなのか、銃を使ったアクションなのか、裏社会の怖さなのか。

Y木:そういう全部の雰囲気を味わう映画ちゃうの?

S原:雰囲気重視なら、もっと「絵」にこだわってほしい。「ブラックレイン」(1989)とか話は大したことなくても、あの雰囲気で一気に見せるやん。

Y木:まあ、製作費が違うからな。

S原:たしかに製作費の問題はあるけど、どうにも歯痒いわ。この作品では、白竜率いるグループと暴力団とももめごとを描いています。白竜は、プールバーを経営してるんやけど、裏では高利貸しをしている。暴力団も同じ裏家業をしているから、当然ぶつかります。やがて、大きな抗争になって……と、話はこれだけやねん。

Y木:普通の話やん。

S原:残念なのは、白竜側がしていることが暴力団と変わらないことやな。メンバーもチンピラそのものやし、暴力団同士の抗争という設定にしても同じやと思う。

Y木:あー、ギャング対暴力団になってないってこと?

S原:そうそう。要するに、観ていて「暴力団」と「ギャング」の違いが良くわからんのよな。一応、「暴力団vsギャング」というタイトルなんやから、それぞれの立場とポリシーの違いをはっきりさせて欲しかった。そうしたら、意外に面白くなったかも。

Y木:どうやろ。そこまで考えてないんちゃうの?

S原:そこやねん。そこがもったいないねんなー。

 

Y木:「溝鼠VS.毒蟲」もそんな感じ?

S原:あ、こっちはまた感じが違うねん。もっと話が複雑で人間の内面重視やった。

Y木:へえ、じゃあ普通のVシネマ系とはちゃうんかな。

S原:一味違います。新堂冬樹の同名小説が原作みたい。この原作が強烈みたいやから、この映画でもなかなかです。姉をレイプされるというトラウマから、冷徹になってしまった男が主人公で、この役をボクサーの竹原慎二が演じてます。俳優ではないからセリフは上手くないけど、黙っている場面とかは静かな迫力があった。同じ畑山隆則も出演しているけど、こっちはほとんど出番がなかった。次の作品(完結編)で、2人がぶつかるんとちゃうかな。

 

溝鼠VS毒蟲 - Movies on Google Play

 

Y木:じゃあ、結構面白いの?

S原:うーん……(困った顔)

Y木:また、それかい。

S原:人間のどす黒い内面を描いてるはずなんやけど、やっぱりいつものVシネマ系っぽくなってしまうねんなー。なんで、こういう風になるんやろ。女優がでてきてSMチックに凌辱されるとか、普段の生活では言わない台詞で人間関係を説明するとか、いかにもな格好のヤクザがでてきてお決まりの演技で怒るとか、自分の思ってることを全部相手に喋るとか。実生活でも、そんなに自分の気持ちを赤の他人にペラペラ話さへんやろ?

Y木:まあな。

S原:さっきも言ったけど原作は評価が高くて面白いらしい。なので「根っこ」はユニークなのに「枝葉」がワンパターンすぎて、いつものVシネマになってる。でてくるキャラクターは癖のある奴ばっかりやねん。なので単純に、もっと「省略」したほうが、面白さ・怖さが出ると思うねんけどなー。

Y木:「そういうジャンル」なんやって。そういう「枝葉」が好きな奴(だけ)が観るねんって。

S原:そうなんかなあ。良い場面も多いからもったいない、というのも大きなお世話なんかもな……(苦笑) さあみなさん、「VS」と名がつくVシネマ系の作品を2本観ましたが、相変わらずの世界観でした。製作費が少ないなか頑張ってるので応援したいですが、たまには変化球もみてみたいです。というわけで、この手のジャンルが好きな人のみどうぞ~!