あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

麻雀映画 第3局!「麻雀飛翔伝 哭きの竜 外伝」(2011)「麻雀飛翔伝 哭きの竜 外伝 2」(2011)の巻

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Y木:哭きの竜か。昔、流行ったなあ。

S原:今回は、当時雀荘でみんな真似してたという噂の漫画の映像化作品ですよ。

(1のあらすじ)

関東一円を取り仕切る広域暴力団・桜道会系の甲斐組組長・甲斐正三はある男を捜していた。その男は神懸かり的な運の強さと不敗の伝説を持つ雀士“哭きの竜”。甲斐は三好組との対決の時を間近に控え、竜が持つという魔性の強運を求めていた。

(2のあらすじ)

関東の一大暴力団組織・桜道組。その跡目をめぐって対立する甲斐組2代目の石川と川地、そして全国制覇を目論む西の刺客・鬼塚によって抗争は激化していた。そんななか、甲斐組は先代に認められた青年雀士・竜が事態突破の鍵を握ると信じ、面会を求めるが…。

 

S原:これは賛否ある作品やと思う。というのは、面白い点とイマイチな点がハッキリしてるから。

Y木:ほう。

S原:まず良い点は役者が良い。主役の竜は、松田賢二で原作の雰囲気がよくでてると思う。ヤクザの堤役の浜谷康幸は、抜群の存在感やった。なんで、この人は売れてないんやろ?と不思議に思うくらい。

Y木:へーえらい褒めるな。

S原:すごいよ、この人。顔も演技もすごく濃くて、パート2では観ていて疲れてくるくらい(笑)ほかの役者もおおむね良い味やった。たださすがに、顔が柔和な宮川一朗太だけはちょっと浮いてるかも、というか、この人にヤクザ役をキャスティングしたらあかんやろって!

Y木:まあ宮川一朗太はええとして、ほかはどうなん?

S原:肝心の「哭く」場面がおもしろい。ポンとかカンしたときに、スローになってピカーと牌が光ります(笑)こういうのは、照れずに演出するのが大事やと思う。あとは、原作で有名なセリフをちゃんと言う。「あンた背中が煤けてるぜ」とか「時の刻みはあンただけのものじゃない」とか。

Y木:……意味わからんけど。

S原:確かにはっきりと意味はわからん。けど、なんかカッコよく思ってしまう。これぞ、能條淳一マジック!いやー能條淳一先生の漫画はええで。「月下の棋士」でも「いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは……」とか延々とページを埋め尽くしてやん?

Y木:なんちゅう演出や。DVDに話を戻すで。ダメなところは?

S原:正直にいうと………話が面白くないです。

Y木:あかんやん。

S原:個人的には全然乗れなかったなあ。なんというか、ヤクザが大きく絡んでくるんやけどな。その抗争と竜の麻雀場面とが噛み合っていないというか。ヤクザがいくら竜を狙っても、いまいちドキドキしないし。とくに後半でヤクザ同士が延々といがみ合って、主人公だけがクールやったり、主人公に拳銃を向けたり、という場面が延々と続く。さすがに単調やと思う。

Y木:というか、なんでヤクザが主人公を狙うの?麻雀で負けた逆恨み?

S原:主人公は強運やねん。麻雀では鳴くと点数が少なくなることが多いけど、主人公は、鳴いて高い手を作る。要するに無謀と思われる手順で手を作り、上がるわけやな。なので、その強運と言うか剛腕にヤクザは惹かれる。主人公の持つ強運を得るため、あるいは屈服させるためにヤクザが絡んでくる…というわけ。

Y木:「強運の男を殺したら自分も強運になる」ってことか?よくわからん理屈やな。

S原:ぼくも、そのへんはわからん(苦笑)当時、連載中にマンガも読んだけどヤクザが絡む場面はあんまり感心しなかった。それに映像化すると、ヤクザのシーンはどうしてもVシネマ風味になってしまうやろ。こういう麻雀映画では、Vシネマのチープさはない方がええと思うねんけどな。

Y木:でも、原作自体がヤクザと絡むストーリーなんやろ。映画でもそうなるのは、しゃーないやろ。

S原:そうやねん。そういう意味では正当に作ってるんやけどな。人それぞれやけど、こういう麻雀映画を観るのは、やっぱり「主人公の麻雀がいかに凄いか?」を観たいわけやん。ましてや鳴きまくって勝ってしまう血色の悪い無口な男が主人公やで?(笑)そういう奴が、イキがっている野郎どもをクールに倒すのが醍醐味やと思うんやけど、作者としてはそれだけでは物足りなかったんやろうな。なので麻雀以外の要素も多い。そういう意味では、ここで紹介している他の麻雀作品とは違って、異色作かもしれん。

Y木:そんなもんかな。他にイマイチな点は?

S原:「画面いっぱいに字がでる演出」があるねんけど、あれもどうかな……思った以上に効果的ではないと思うねんけど。

Y木:それも原作の影響やろうな。

S原:うん。例えていうなら、そんなに効果がないのに、やたらと高音の速弾きでソロをするメタルのギタリストみたいな。わかる?

Y木:余計にわからんわ。最後はどうなるの?撃たれておしまい?

S原:これから観る人のために内緒にします。一応、ちゃんと終わってますが、クライマックスで盛り上がるという感じではなかったかな。

Y木:今回は、可もなく不可もなくってことか。

S原:イエース。さあみなさん。原作が好きなひとは一度観てみてください。どこか消化不良な感じがしますが、楽しめると思います。だけど、この主人公のような男は友達にしたくないですなあ。だって、ディズニーランドに一緒に行っても、楽しくなさそうでしょ?「あのアトラクションに本当(まこと)があればひとつ……楽しむことだ」とか「(ジェットコースターにビビった客にむかって)あンた、やめなよ負け犬の遠吠えは」とか言いそうでしょ?

Y木:言わんやろ。

S原:というわけで、テンパイになってるのに延々と待っている牌が来ないような映画でした。おしまい!