S原:今回は宍戸開主演!
Y木:宍戸錠の息子か。
(あらすじ)
小菊一家の組長の純吉と恩部屋健は、賭け屋をシノギとする2人だけの弱小極道。彼らは客が負ければ執拗に取り立て、勝てばキッチリ儲けを払う仁義あるノミ屋として知られていた。ある日、健は300万円の借りを滞納している黒須のところへ取り立てに出掛ける。だがそこで、健は昔愛した女・恵子と再会する。ギャンブルに溺れ、荒れ果てた黒須の姿を哀しく見つめる妻として・・・。
Y木:宍戸開って、まだ俳優とかしてるの?
S原:してると思う。だけど最近の活動はあまりわからんかった。写真家もしているみたいやけどな。
Y木:へえ。
S原:ぼくは、宍戸開の顔立ちとか雰囲気は好きやねん。いい作品に恵まれればよかったんやけど……ファンの人には申し訳ないけど、正直言ってそんなに印象の残る作品は少ないです。宍戸錠の晩年は、宍戸開と絶縁状態やったみたい。ネットではいろいろ書かれてるけど真相はわかりません。
S原:たぶんオリジナルビデオやと思う。で、結論から言うとわりと面白いです。
Y木:へえ、ちゃんとした出来ってこと?
S原:ちゃんと作ってます。最後まで飽きずに観れるしな。
Y木:ヤクザの抗争ネタではないんみたいやな。
S原:宍戸開と中尾彬はヤクザなんやけど、2人だけの暴力団(任侠団体)やねん。違法な賭博(競馬など)でシノギをしています。でも、ちゃんと客が勝ったら、掛け率通りお金を支払う人情味あふれるヤクザということになってます(笑)
Y木:掛け率通りなら、普通に競馬しろよ。
S原:いや、どうも手元にお金がなくても賭けれるみたい。もちろん負けたら、現金で支払わないといけません。そんな中、賭博のお金をかなり滞納している男のところへ、宍戸開が取り立てに行きます。その男は、商売も失敗して持っているビル(事務所?)も銀行から差し押さえられている状態やねん。必死で謝る男の妻をみて、宍戸は驚く。それはかつての恋人やったのよ。
Y木:ほう。
S原:ここの場面は上手いねん。普通なら「まさか、こんなところで会うとはな」とか「ずっと忘れられなかった」とか「いまは、そんな生活しているのか」とかベタなセリフがありそうやん?
Y木:ま、Vシネマならあるやろうな。
S原:でも、この映画ではそういうのはない。チラッと宍戸開が女性を見るだけ。女性も気付いて、宍戸開が帰っていく後ろ姿に声をかけようとするけど、宍戸は黙って軽く会釈するだけ。
Y木:へえ、抑えた演出やな。それで、その男はどうなるの? 殺されるの?
S原:男は、宍戸に「もう一回勝負させてくれ」「青天井で賭けさせてくれ」と頼む。
Y木:勝ったら借金を返すってことか。おれはそのへんは分かる。一番ダメなパターンやで。
S原:あーあなたは、競馬にハマってたからな。
Y木:おれは勝ち負けよりも、予想するのが好きやったからな。馬の情報とかで予想するのが楽しかった。
S原:大勝ちしたことってあるの?
Y木:あるよ。大穴がきた。でもトータルで言うと、大負けやな(苦笑)
S原:やっぱりギャンブルはそうなるわな。で、この男は次の競馬で勝負します。
Y木:それで?
S原:少し勝つけど、結局借金が増えます。
Y木:ほらみろ。
S原:そのあと、銀行とか他のヤクザがからんできます。相手のヤクザは峰岸徹です。この人はなかなか良い味です。いろいろあって、峰岸徹と宍戸開が競馬で勝負することになります。同じ場所で、競馬の生中継をみて勝負するわけ。もちろん、普通にWINSで馬券を買うわけじゃないで(笑)
Y木:普通に競馬の予想しておしまい?
S原:それやったら、映画としては面白くない。なので宍戸開が相手をだます方法を考えます。要するにイカサマやな。
Y木:ほう。どんなイカサマ?
S原:これは言えません。強引なような裏をかいたような、単純なような複雑なような……まあ、最後はなかなか面白いで。この映画はなあ、レビューがほぼゼロやねん。「隠れた佳作」ではないけど、もう少し知られても良いと思うねんけどな。
Y木:なかなかこういうDVDを観ようとする人は少ないんちゃう?
S原:かもなあ。というわけで、かなりシンプルな作りですが、演出も無難で俳優たちもなかなか良い味をだしてます。いつもの銃がバンバンとか殴り合いとかのVシネマ系のなかでは異色と思いますが、ぼくはこっちの方が好きです。もしも観る機会があればぜひぜひ~!