あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ぼくはチープでレトロで、ちょっとカルト「ドライブイン殺人事件」(1976)の巻

ドライブイン殺人事件 [DVD]

S原:今回は、ドライブインシアター

Y木:おや、懐かしいな、ドライブインシアターか。おおきな駐車場に停めて、車からそのまま画面を観るというやつ。

(あらすじ)

とある郊外のドライブイン・シアターを舞台に繰り広げられる猟奇的殺人を描いたスプラッター・ホラー。ある日、ドライブイン・シアターで一組のカップルが何者かに鋭利な剣で首を刎ねられ惨殺される。さっそく事件の調査に乗り出した二人組の刑事は、元サーカスの剣使いであるそこの経営者と、怪しい使用人に疑いをかけるのだが……。

Poisonous Flower

 

S原:ドライブインシアター自体は、もう存在しないやろうな、と思って調べたら、たまにイベント的に開催してるみたい。

Y木:あーなるほどな。

S原:結局、ぼくは行ったことないな。あなたは?

Y木:ないよ。だって、俺ら2人とも車を持ってなかったやん。

S原:そういえばそうか(苦笑)で、この映画やけど……ものすごく下手な映画やった。

Y木:ほぼ毎回、下手って突っ込んでるやん。

S原:いや、Z級とかそういう話じゃなくて、ほんとうにセンスがないねん。たぶん、観客がどう思うか?を全く想像できない監督なんちゃうかな。

Y木:監督って誰よ?

S原:スチュアート・セイガルです。

Y木:……誰?

S原:知りません。他には「C・Bハスラー おっぱいもりもり大作戦」という映画を撮っているみたいです。

C・B・ハスラー

Y木:あーわかった。頭の悪い人なんやな。

S原:まあ、ぼくは、このDVDもすでにゲット済やけどな。

Y木:買ってるんかい! 

S原:買うやろ! こんなジャケットやったら買わなしゃーないやん!

Y木:なんでキレてるねん。「おっぱいもりもり」はええから、映画の話をせえよ。

S原:さっきも言ったけど、とにかくこの映画(監督)はセンスがない。話は、ありきたりな連続殺人事件やねん。場所は、ドライブインシアターで起こります。刑事2人が犯人を捜します。それだけやねん。

Y木:話は普通やん。

drive_in_massacre002.jpg

 

S原:最初に殺人事件がおきます。カップルがチョメチョメしようとしたら、突然首チョンパ! ここは良いです。

Y木:ほう。

S原:ここしか、良いところがありません。

Y木:どないやねん。さっきのセンスがないっていう話は?

S原:まず刑事2人がコンビなんやけどな。ふたりともそっくりやねん。

Y木:双子って設定?

S原:いや違います。小太りで、清潔感のない中年男。おまけに髪型まで一緒。見分けがつきません。

Y木:性格が違うんやろ?

S原:それも一緒です。普通、刑事バディものって、アクセントつけるやん? 白人と黒人とか、知性派と行動派とか、寡黙とおしゃべりとか。

Y木:そうやな。

S原:あとは、よくしゃべる車とデビット・ハッセルホフとか。

Y木:そりゃ、「ナイトライダー」やがな。

S原:で、そっくりな小太りおじさんが、緊張感なく殺人事件をおいます。その会話も、普通の会話でな。喫茶店で、疲れた営業マンが愚痴っているような感じやねん。よく考えてみてよ。これ、一応は映画やで? たとえば、ジョークをしゃべりまくるとか、性格が違うからぶつかるとか、段々と真相(犯人)がわかって刑事も緊張していくとかそういう風にして話をすすめるやん?

Y木:まあベタやけどな。

S原:これは、ポップコーンムービーやから、そういうのでええねんって。「インドへの道」(1984)みたいな映画を期待して、これを観る人なんかおると思う?

Y木:おらんやろうな。

S原:そういうことですよ、あなた。

 

Y木:殺人事件が起こっていくんやろ?

S原:うん。そのあとも、ドライブインシアターで人が殺されます。最初の首チョンパみたいなナイスな場面はなくて、車ごとナイフでグサリと殺されます。

Y木:意味わからんけど。

S原:カップルがナイフで刺されて死ぬんやけどな。演出が下手すぎて、「車を貫通してナイフが男女を突き刺した」としかみえない(苦笑)まあ、そういう珍妙な場面を挟みつつ、刑事は関係者を調べていきます。

 

Y木:一応、捜査してるんやろ。こいつが怪しいって奴がでてくるんやろ?

S原:でてきません。

Y木:えー……

S原:映画の終盤でコストコの倉庫みたいな場所で、やばい感じの男がいます。そこには若い女性もいて、男は、この女性を捕まえようと追いかけています。この男を犯人だと怪しんでいた(らしい)小太りコンビは、そこへ到着。ぬるい銃撃戦やアクションをして、ついに男を撃ちます! 男は死にます。

Y木:おしまいか。

S原:いいえ、この続きがあります。女性が言います。「この人は、私の父よ」「心の病気だったの…」 小太りコンビは、顔を見合わせます。「こいつが犯人じゃなかったんだな…」

Y木:こら! あかんやろ、無関係な市民を射殺したら。

S原:ちなみに、この時点で映画はあと5分くらいです。

Y木:え、もうおしまいやん。

S原:小太りコンビは、またドライブインシアターに戻ります。

Y木:いよいよ真犯人と対決やな?

S原:いや、犯人はすでに逃げてました。

Y木:…え?

S原:おしまいです。

Y木:……なにそれ。

S原:ほんまに、こういう映画やねんって! 

Y木:たしかにセンスのない感じやな。

S原:観客が当然持つ疑問とか、映画の展開とか、完全に無視しています。ある意味、斬新やけどな。

Y木:斬新じゃなくて、才能がないだけちゃう?

S原:さあ、そういうわけでみなさん。ひと昔前によくやっていた2時間ミステリー(ワイド劇場とか)よりも、かなり落ちますが、小太りで寝ぐせのついたおじさんが好きな人は十分に楽しめると思います。まあ、これを観ても観なくても、地球は回り続けますからね。小さなことにクヨクヨせず、明日に向かってファイティン!

 

 

※ VHSのジャケットが良い味です。この女性はほとんど出てきませんが…

ドライブイン殺人事件 : Rock'N Horror