Y木:うわ、面白くなさそう…
S原:今回はいまだに一部ファンに根強い支持を集める、この映画を取り上げますよ。
(あらすじ)
強盗事件の犯人が“死者”であった事に端を発し、ロス市警の二人の刑事が死体蘇生装置を利用した犯罪組織の陰謀に立ち向かう……。ゾンビ化した刑事が主人公の異色ホラー。
S原:これ、ネットでレビューを検索してみてよ。たくさんの人(マニア)が、この映画をすごく愛しているのが分かるから。
Y木:それって「レモ 第一の挑戦」と同じ現象やん。
S原:まあな。ファンもダブっている気もする(笑)
Y木:というか、刑事がゾンビになる映画やろ。もういかにも80年代やな。どうせちょっとスプラッターもあるんやろ?
S原:正解。低予算まるだしやけど、ノリもいいし、「おれら、これでええねんもんね」といういい意味での開き直り具合が最高やねん。
Y木:へえ。おもろいんや。
S原:え?
Y木:意外と面白いんやなって。
S原:いや、面白くはないよ。
Y木:面白くないんかい!
S原:でも、楽しい映画やねんって。だって考えてみてみ?こんな映画を観たからって、人生に役に立たへんやろ?明日からガンバろうって思わんやろ?合コンに行って、この映画の話をしてみ?女子には呆れられるやろ?な?そういうもんやろ?でも、ついつい観てしまう……そういう不思議な映画やねん。
Y木:不思議ちゃうわ。というか、こんな映画を喜んで観てるようなヤツは、合コン行ってもモテへん、絶対に。
S原:まあな。要するに、この映画は「愛すべきバカ映画」やねん。ストーリーは単純明快。刑事2人組が主人公(ロジャーとダグ)です。たぶん2人組刑事という設定は、「リーサル・ウェポン」とか「マイアミバイス」とかに乗っかったんやろうな。開巻早々、銀行強盗が発生。すぐに警官隊と銃撃戦になるけど、いくら犯人を撃っても死なない。刑事の一人が、「みていろよ~!」って感じで、パトカーで犯人に突撃。犯人はビルとパトカーに挟まれて即死。いやキャッチーなオープニングですよ、あなた!
Y木:そうかー?
S原:犯人の死体検案をしていると、じつはこの犯人はすでに死亡していることが判明。どうも怪しい。この事件にはダンテ製薬という会社が関わっているみたい、ということが分かる。そして、ダンテ製薬に早速行ってみます。ダグは、会社内に不思議な装置を発見します。それは、なんと!ジャーン!遺体をよみがえらせて、ゾンビにしてしまうマシーンでした。どう、驚いた?
Y木:いやいや、展開としてはそれしかないやん。ゾンビコップやねんから。
S原:さて、ダグは罠にはまって死んでしまいます(窒息死)。でも大丈夫。そのゾンビになるマシーンで、蘇生完了!さあ、ゾンビとなり無敵となったダグと、人間のままのロジャーのコンビが捜査を再開します。ところが、ダグの命はあと12時間しかもたない、と判明します。
Y木:命って……ゾンビになってるから、もう死んでるやん。
S原:あーんそれは言っちゃダメ!正確には、12時間しか(ゾンビとしての)生命は維持できないという設定やな。すごく痒い所に手が届く設定ですなあ。
Y木:痒いままやわ。
S原:そのあと、捜査のために行った中華料理店(精肉店?)で、ゾンビとなった豚肉や牛肉に襲われます。食材がそのまま襲ってくる名シーンです。
Y木:うそつけ。
S原:いやいや、ここははんまに面白いねんって。手羽先や北京ダッグが襲ってきたり、レバーが顔にはりついて息が出来なかったり、首のない牛の体(肉)と戦うねんで。そんな映画、いままで観たことないやろ?(笑)
Y木:まあな。もう面倒やから、最後を言ってくれ。
S原:どんどん悪い奴らを追いつめます。でも、どんどん腐敗していくダグの体。いろいろあって、相棒のロジャーもゾンビになります。さあ、ゾンビコップが2人になったぞ。大暴れしちゃんだゾ!
Y木:知らんわ。
S原:ラストが良いねん。ゾンビとなった2人は、悪い博士をやっつけます。ゾンビを作るマシーンも破壊します。あと数時間で、2人の命(体?)はなくなります。自分たちの運命が分かっていて、しんみりとする2人……
Y木:そりゃ、あと数時間しか生きられないわけやからな。
S原:最後の会話。できるだけ忠実に再現するわ。「おまえ、本当にひどい顔をしてるな。ミートローフのほうがマシだぜ」「おまえだって人のことを言えるか。そのうち、こうなるんだ」「おい、やったんだよな?」「ああ、もちろんだ」「おれたち、生まれ変われるかな?」「なんでだ?」「好きなものに生まれ変われるならいいと思ってな」「政治家とか大統領とか小説家にでもなりたいのか?」「いやいやいや、そんなものより、女性用自転車のサドルになりたいんだ」「そう考えると元気がでるなあ」「だろ?」「……どうなんだろう?」「何が」「女性用のサドルって気持ちがいいのかな?」そして、ゆっくりと光に溶けていく2人。そのあと、知能指数低めの声で「ワオー!」と叫び声がはいって、おしまい。
Y木:これ以上ないくらいダサいラストやな…というか忠実にメモをとっているおまえがきもいわ。
S原:えー最高やん。だって、女性用サドルになりたいって言うラストやで。
Y木:そんなもんになりたくないわ。
S原:あーぼくなら、安売りコーナーに置いてあるワゴンに生まれ変わりたいわー。「お、スピルバーグ映画がワゴンに置く時代になったんかー」とか「ま、ジョー・ダンテの映画なら、このくらいの価格設定でしょ」とか、楽しめると思うねん。
Y木:……おまえ、生まれ変わっても楽しそうで良かったな。