S原:今回は、忍者!そしてゾンビ!
Y木:まあ、大人が観るもんじゃないよな。
(あらすじ)
ゾンビ化した忍者たちに立ち向かうニート青年の戦いを描いたアクションホラー。25歳の誕生日を迎えたアジア系アメリカ人の青年ダミアンは、亡き両親が遺したトランクを開ける。そこには、日本語で書かれた巻物と古びた日本刀が入っていた。巻物によると、日本刀はダミアンの先祖である侍テンシュウのもので、子孫が持つことによりテンシュウと同じ剣技が使えるという。やがて、ダミアンの前に忍者装束をまとったゾンビが現われ……。
Y木:面倒やから、結論から言ってくれ。どうやった?
S原:面白くなかったです。
Y木:やろうな。ずっと、こういう結果やん。何回こういう映画にチャレンジしたら気が済むんや?
S原:それは……
Y木:……
S原:それは……
Y木:はよ、しゃべれ。
S原:それは誰にもわからない……(遠い夕焼けを見る目)
Y木:やかましいわ。この映画、どうせあれやろ? 忍者がゾンビになって襲ってくるんやろ?
S原:うん。忍者は「陰忍者」という設定で、織田信長の復活を待っている忍者達らしいわ。
Y木:織田信長……はあ(ため息) で、忍者がなんでゾンビになるの?
S原:そういえば、とくに説明はなかったな。
Y木:おいおい。
S原:まあ、撮りたかったんやろうな、こういうのが。
Y木:それって学生の自主映画のノリやがな。
S原:そうそう。あと西洋人って、日本の殺陣とか忍者とか侍とか好きな人が多いやん?
Y木:そうやな。「キル・ビル」とかな。
S原:日本人からみたら、外人が日本刀を振り回しているのをみるとやっぱり奇異に感じるけど、イギリス人からみたら日本人のビートルズのコピーバンドを奇異に感じるんかもな。
Y木:そうかもな。
S原:あとは、やっぱり日本のアニメとかも好きみたいで「AKIRA」のポスターが貼ってたり、日本のオタク談義がある。日本文化(オタクや時代劇)へのオマージュなんかな。
Y木:オマージュでもなんでも、映画として面白ければええやん。
S原:その通り。でも、この映画はダメ。なんというか「旨味」が全然ない。
Y木:ケレン味のことか?
S原:うん。まず、主人公はアジア系に眼鏡男で、近くのスーパーマーケットでバイトしている感じの普通の人。それが、先祖から日本刀を渡されるねんけど、いきなりカッコよく(カッコよくないけど)チャンバラしたかと思うと、「戦う理由はない」「もう嫌だ」とごねて部屋に閉じこもるねん。
Y木:ブレブレやん。
S原:しかも韓国系という(笑) あとは登場人物(男)たちが全員ぽっちゃりさんやねん。しかも、いかにも「ソファでコーラとポテチを食べ続けてたら太った白人」やねん。
Y木:差別的な表現やなあ。
S原:これって、水野春郎へのオマージュやろか。
Y木:ちゃうわ!
S原:肝心のゾンビとか忍者の設定もブレブレでな(笑) 低予算なのは気にならへんねんけど、ゾンビが襲ってくる場面も忍者と戦う場面も、普通に撮ってるだけ。せっかくやから、ちょっとは工夫したらええのになあ。あなた、「シックス・ストリング・サムライ(1998)って覚えてる?
Y木:あーあったなあ。ギターを抱えて、カンフーとかするやつ。バカみたいな映画やったなあ。
S原:で、あれはあれでアリやねん。結構、ファン多いねんで。
Y木:ほんまかいな。
S原:ああいう感じを目指して欲しかったけどな。
Y木:いや、どうなんやろ。なんかもう、マニアの世界としかいいようがないわ。
S原:そんなん言ったら、高価な伊万里焼とか、ピラミッドの秘宝もマニア向けやん。
Y木:え……そうなんか…? よく分からんようになってきた。
S原:さあみなさん、こういう映画と割り切って笑い飛ばすしかありません。というか、わざわざ観なくてもOKです。というわけで、忍者とゾンビと低予算映画が好きな人のみどうぞ~!