あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ぼくはチープでレトロで、ちょっとカルト「スペース・ゾンビ/吸血ビールス大襲来」(1983)の巻

Space Zombie Blood Brewer Assault Complete Edition (Texas Splatter Collection) DVD

 

廃盤】スペース・ゾンビ 吸血ビールス大襲来 完全版【テキサス・スプラッター・コレクション】 - 閑刻メディア.com

 

S原:今回は、スペース!そしてゾンビ! その名も「スペース・ゾンビ」!

Y木:小学生が考えたタイトルみたいやなあ。

 

(あらすじ)

ある日、突然ゾンビと化した農夫たち。実は魔のゾンビ・ビールスによって空気感染した犠牲者達だったのだ。次々とゾンビ化する村人たちから、青年ジェフと不良少女ジュリーは逃げ切れるのか・・・

 

 

S原:この映画、知ってる?

Y木:知らん。

S原:これは結構マニアの間では有名なんやけどな、今回やっと観ることができた。

Y木:実際に観て、どうやったの?

S原:評判通り、なかなかすごかった。いろんな意味で(笑)

Y木:そうやろうな。ジャケットデザインがもう……

S原:最高やろ?

Y木:最低です。

S原:そうかなー? ちょっと楳図かずおっぽくてナイスやん。あと、ビデオ(VHS)のデザインも良いよなあ。もうバリバリ80年代ホラーで。

第75回 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ゾンビの誕生』公開50周年企画 <幻のゾンビ映画特集 PART-4>『スペース・ゾンビ 吸血 ...

Y木:確かに、こういうビデオってレンタル店に置いてたなあ。

S原:「店長のおススメ」とか手書きでシールを貼ってたりしてな。で、観てみると「おいおい、どこがおススメやねん!」って突っ込むという。

Y木:それはええけど、本編はどんな感じ?

S原:このゾンビは顔色は悪くなるけど、しゃべります。ベッドにくくりつけられたまま人間と会話をするとか。このへんは結構「バタリアン」(1985)を連想してい人が多いねんけどな。

Y木:「バタリアン」か……ひどかったなあ(苦笑)

S原:えー、ゾンビとトークする場面は最高やったやん。

バタリアン

 

S原:で、この映画では、ゾンビになる原因が面白いねん。

Y木:普通は「生き返った死体に噛まれる」のが」原因やろ?

S原:今回は一味違う。風です。

Y木:風?

S原:風がびゅーって吹いたら、ゾンビになります。

Y木:もう適当の極致やん。

S原:一応、もっともらしく「宇宙から風と共に飛来した目に見えない知的生命体が、人間の体内に侵入して、宿主をゾンビ(吸血人間)に変える」という設定があるねんけどな。まあお金もかからないし、適当やな。

Y木:でも、風に吹かれたらゾンビになる設定なら、みんなゾンビになるやん。

S原:うん、みんな、ゾンビになってた(笑) 一応、主人公カップルだけが風にあたらなくて(?)、人間のままやねん。そこで、ゾンビの町から生き残るために戦う、というストーリーです。

Y木:生き残りをかけて脱出する(戦う)というのは、典型的やな。

S原:そうなんやけど、この映画では凡百のゾンビ映画を凌駕するポイントがある。それは、主人公たちもゾンビも、すごくのんびりとしているということです。

Y木:のんびりって、演出が下手でスローに感じるだけやろ。

S原:ちゃいます。ほんまにキャラクターとして、愚鈍やねん。緊張感とかないしな。「まあ、ゾンビがたくさんおるけど、しゃーないやん」って感じで。(実際は言いません)。ゾンビたちもすごいよ。「ゾンビになったけど、まあ生きていけるやろ」って感じでくつろいでいます。(実際は言いません)

Y木:よくわからんぞ。

S原:まあ、内容は大したことないです。途中がちょっとだるいかな。でも、マニアの間では伝説の珍シーンがあるのよ。

Y木:珍シーン?

S原:科学者と軍人が、ゾンビについて会議している場面があるねんけどな。その最中、急にお姉さん(おばさん?)が、「ギャーーーーーーー!」って絶叫するカットが挿入されるねん。

Y木:え、ゾンビに襲われたの?

S原:いや、ほんまに意味なく叫んでいるだけ……もうシュールすぎて「この女性は、本物のガイキチ?」と思ってドキドキする(笑) 

Y木:なんやねん、それ。

S原:ほかにも迷場面だらけでな。白粉を塗ったおじさん(ゾンビ)が、主人公と話します。なんとなく会話をした後、突然ケンカが始まって、おじさんの腕が切り落とされて、血がブシャー! その場面のBGMがギター(チター?)の奇妙に明るい音楽です。そのあと、主人公とヒロインがゾンビから車で逃げる場面があります。それをみて、白粉をぬったおばさん(ゾンビ)が、彼らに真顔で「バイバーイ」って手を振りながら見送ります。

Y木:なんか、その2つの場面は観たいかも……

S原:人生に一回くらいは、観たほうがええやろうな。「ロッキー4」(1982)でいうと、ロボットがでてくる場面とかかな?

Y木:誰もが忘れたい伝説のアホ場面を引き合いに出すなよ、ややこしいな。

S原:ほかにも主人公(男)がゾンビと戦っているときに、ヒロインはボーっと立って見ているとか、変な会議室でゾンビが演説(説教?)をしている場面とか、男女がチョメチョメしたあとは家中の家具が壊れている(それくらい激しかった)とか、なんとも味のある場面が多くで。

Y木:そういうのってわざとやろ?

S原:たぶんな。ちょっと確信犯的にコメディをしている部分と、センスがなくて一周まわって失笑してしまう部分が混在している。こういう映画をみていると、平和のありがたさを感じるよな。

Y木:感じません。ラストは?

S原:あーラスト! この映画のラストはええで。葉巻をくわえたおじさん(軍人)がいます。パソコンのエンターキーをおします。BGMは、ベートーヴェンの「運命」。そして核ミサイル、発射!

Y木:それって、「バタリアン」と一緒やん。

S原:で、主人公男女が、ブチューとしているカットと、キノコ雲がわきあがるカットが交互の挿入されます。ダサいキューブリックみたいです。

Y木:それで、どうなるの?

S原:なんか核ミサイルが落ちた場所がズレたらしい。(それで主人公男女はセーフという意味?) そのあと、のんびりと白粉おじさん(ゾンビ)たちが歩いている街の場面でおしまい。エンドクレジットでは、昔のバンドブームで、髪を逆立てた奴がやっていたバンドみたいな80年代風音楽がながれます。

Y木:シュールやなあ……

S原:あ!言い忘れた!

Y木:なんやねん。いきなり。

S原:映画本編が始まる前に、監督からメッセージが収録されてるねん。

Y木:どんなメッセージ?

S原:「このDVDを発売してくれてありがとう」

Y木:関係者に言え! もうちょっと、気の利いたことを言えよ!

S原:さあ、みなさん。世の中、世知辛いことが多く、気の滅入るニュースがありますね。そんな気分の時は、コレですよ、コレ! こういう映画を作って喜んでいる奴がいあるんですからね。まだまだ、人間の知性を信じようと思いますよ。だれも必要としていないのに、なんと関係者インタビューまで収録されています。B級/Z級映画が好きな人はマストバイ! ひどい映画ですが、楽しめました~!