あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「デッドマン・ソルジャーズ」(2006)の巻

デッドマン・ソルジャーズ [DVD]

S原:さあ、今回はゾンビではなく睡魔に襲われるこの映画!

Y木:なんか、B級映画の製作者たちって、ヒトラーのせいにすればOKやと思ってるやろ。

 (あらすじ)

 舞台は第2次世界大戦下、ドイツ占領地のフランス。軍事力では優勢なはずのアメリカ軍が、圧倒的な強さのドイツ軍により打ち負かされ続けていた。元犯罪者の兵士たちを引き連れて潜入を試みる大尉だが、そこで見たドイツ兵の真実とは・・・

 

S原:これは久々に正統派ダメ映画やったわー。

Y木:なんやねん、正統派って。

S原:いやーなんというか、もう今まで観たことのある場面ばっかりで、かつすべての点で劣っているという(笑)かといって、一回転して大笑いして突っ込めるわけでもないし。これをほめる人は、まずいないと思う。

Y木:まー同じでしょうよ、この手の映画は。

S原:どうにもピントがぼやけているねんなー。

Y木:ピントって?面白さの焦点ってことか?

S原:そうそう。この映画なら、『ナチスが秘密裡に創造していたゾンビ兵士軍団が、主人公たちを襲う』設定やん。黒澤の「夢」(1990)でトンネルの中から、青白い顔をした軍人たちがザッザッと行進してくるやん。すごく不気味な反面、ちょっとB級っぽいやろ?ああいうのが観たいのよ。

Y木:黒澤はB級ホラー映画を撮ってるつもりとちゃうけどな(笑)

S原:まあそうやけど、そういう場面を観たいわけやん。これ、パッケージのイラストは超かっこええやろ。

Y木:いや別に。

S原:最高やん、これ!こんなDVDを見つけたら、胸躍るって。ワゴンコーナーで「これハズレじゃありませんように」って祈って、レジに持っていくって。それが、マニアの性(さが)やって。

Y木:知らんがな。ピントがずれているって、どういう点が?

S原:おもいつくまま挙げると、①ゾンビが出てくるまでが長い ②ゾンビが出てくるまでのエピソードが不要(なくても話が通じる) ③ゾンビは1体ずつしかでない ④しかも登場シーンは3回くらい ⑤キャラクターがよくわからないので、いつの間にか登場して、いつの間にかゾンビにやられる ⑥ラストがおかしい。ざっとこんなところかな。

Y木:もう、(こういう映画は)そんなんばっかりやん。観るのをやめたら?

S原:いえいえ、もしかしたら面白いかもという1%の可能性に、貪欲に挑むのです!それが、通称、ワゴンコーナーの狼!

Y木:池沢さとしかよ。あらすじは……もう聞かんでもええかな(苦笑)

S原:一応、この映画を購入しようかどうか迷っている人もいると思うので、ちゃんと紹介します。舞台は第二次世界大戦中のドイツ。ヒトラーは密かに人体実験をしています。主人公は軍人たちです。ドイツ軍と戦っています。30分くらいのんびりとサバイバルゲームをしたあと、ゾンビ(?)に遭遇します。ゾンビですから、いくら撃っても死にません。「なんで死なないんだ」「様子がおかしいぞ」と、今まで1万回くらい繰り返された場面を、丁寧にコピーしています。さきほども言いましたが、ゾンビは1体ずつ登場します。そのたびに、銃を乱射して「なんで死なないんだ」「様子がおかしいぞ」と同じセリフを言います。

Y木:オツムが弱いんやな。

S原:いいえ、彼らはエリートです。軍の精鋭部隊ですよ、精鋭部隊!さて、そうこうしているうちに、ゾンビに噛まれた兵士が、狼男に変身します。さあ、ゾンビと狼男とのプロレスごっこがスタートだよ!

Y木:……狼男?全然ついていけないんやけど。

S原:はい。狼男(?)がでてくる必然性は皆無です。なんとなく話が進んでいくうちに、ゾンビの人体実験を行っているらしい研究施設に到着します。博士がいます。博士は脈絡もなくゾンビになります。銃を撃っても死にません。そして軍人たちのセリフ。「なんで死なないんだ」「様子がおかしいぞ」。

Y木:やっぱりオツムが弱いやん。

S原:いよいよ最終決戦です。突然、隊長が目覚めます。「あのゾンビに勝つには……おれがゾンビになるっきゃねえ!」と言います。もう、シュワちゃんの「アイルビーバック」みたいに、かっちょよく言い放ちます。

Y木:ゾンビになるって、わざと噛みつかれるの?

S原:いえ、ゾンビになる注射をうちます。

Y木:注射…

S原:そして、本当にゾンビになります。ゾンビになったパワーで、悪い博士をやっつけます。

Y木:…(無言)

S原:ここからがすごいんですよ、あなた。ゾンビになった隊長は、元の人間になります(なぜ人間に戻ったのか理由は説明はなし)。そして部下に言います。「おれを、おれを、、、撃てえええ!」

Y木:…は?

S原:隊長は叫びます。「次に、ゾンビになったら元に戻らないんだぞ(その説明はなし)」「早くしないと間に合わなくなるんだ」「これが最後の命令だああ」「撃てえええ!」最後は声が裏返っています。ザ・ベストテンにでたときのH2Oの「想い出がいっぱい」のサビみたいです!

Y木:知るか、そんな昔のこと。というか放っておいてやれよ、H2Oも機嫌よく生きてるんやから。まあええわ、それで?部下はどうするの?

S原:いくらゾンビでも上官ですから、さすがに撃つのを躊躇します。苦悩する兵士。脂汗ダラダラ。この描写が、これまたしつこい。それをみた仲間の中尉(?)が、そっといいます。「撃つんだ」「楽にさせてやれ」

Y木:じゃあ、おまえが撃てよ。

S原:隊長からは「おれを撃てええ!」「間に合わないどー!」と怒られます。別の上官からは「やるのだあ!」「この地球を……大切な地球を救うんだああ!」と怒られます。

Y木:いや、なんか話が変わってるがな。

S原:叱責の二重奏で顔面蒼白の若い軍人。結局、しびれを切らした中尉が代わりに撃っておしまい。あー良かったね。

Y木:良くないわ。

S原:そういう映画やった。これ、眠い目をこすりながら観たんやけど、ほんまに何も残らない映画やったなあ…(遠い目)

Y木:そりゃ何も残らんやろ。

S原:(遠くを見て)……なあ友よ、ひとつ聞いても良いかい?

Y木:なんやねん。

S原:……こんな映画観て、なんになるのさ?

Y木:知るか!