S原:今回はこれ。キャッチコピーの「生きる。そして、必ず還る。」が、良い感じです。
Y木:惑星から帰還する話か。
(あらすじ)
ある惑星に不時着した、宇宙船アローヘッド号。生存者は反乱軍スパイのカイと、生物学者のタレン、飛行士のオリアンダーの3名。結局2人は死に、カイだけが残された。それから3年、人工知能のリースを相棒に生き抜いてた。人間を寄せつけない過酷な環境で、彼はなぜ生きられたのか…。捻りのきいたストーリー展開が必見のSFアクション!
S原:これは、作り手側の苦労がひしひしと伝わる映画やった。
Y木:低予算でひどい出来ってこと?
S原:いや、映画としてはまあまあやと思う。普段、映画を観てて「あー監督はこうやりたかったんやろうなー」と思う場面ってあるやん?
Y木:あるな。
S原:もちろんそれが監督のこだわりであり個性なんやけどな。この映画の場合は、監督がしたかったのは、製作費が潤沢にあって初めて出来るような場面ばかりという、あれよ。
Y木:なるほどな。SFだけに余計にそうなるわな。
S原:うん。実際、製作途中でお金が足りなくて監督とかが必死で仕上げたらしい。そのせいか工夫(安く仕上げる工夫)のほどは、よく分かります。
Y木:じゃあ、隠れた良作ってことか?
S原:そう言えないのが残念。というのは、ストーリーがわかりにくいねんなー。
Y木:まあ、監督が張り切ったんやろ。あらすじは、上の通り?
S原:大体はそうかな。でももっと枝葉があって、それが噛み合っていない。舞台は未来の宇宙のどこか。この世界は2つの勢力に分かれていて、勝った方が支配をしている(らしい)。主人公はカイという男で、負けた側にいるので砂漠の惑星にある刑務所で囚人として暮らしています。ある日、刑務所で暴動がおきて、それに乗じて脱走をする。そのときのトラブルで片足を失ってしまう。
Y木:ほう。
S原:カイの元へある男がやってくる。その男は、カイの父の友人です。カイの父は、反乱軍のリーダーやったんやけど、いまはどこかに収監されている。父親は終戦記念日(解放の日)に処刑される、という聞かされる。父親を助けるために協力をしてほしい、と言われたカイは、宇宙船(アローヘッド)に侵入して情報を盗み出します。ところが、途中で磁気嵐に遭遇、船は砂漠の惑星に不時着してしまう。
Y木:それで?
S原:宇宙船にはAIロボットがおるねん。それがいろいろと教えてくれます。不時着した惑星には、一応大気はあるものの毒素が強く、長時間の滞在は命の危険を招くことが分かる。やがてカイは、どこかから発せられた救難信号を受け取り、信号の発信源で崖から落下して動かなくなった男女2人を見つけて……という感じで話はすすみます。
Y木:まあ普通やん。
S原:これが出だしなんやけどな。ここからどんどん複雑になって話が分からなくなる(苦笑)無くなった足が元に戻っていたり、見つけた男女の存在に裏があったり、へんなモンスターがでてきたり、AIロボットも裏事情を知っていそうな感じやったり……
Y木:「生きる。そして、必ず還る。」というキャッチコピーやろ。なんとか故郷に帰る話になるんちゃうの?
S原:そうじゃなかった。作り手は、普通の単純な映画にしたくなかったんやろうなあ。でも、これって、そもそも設定が変わってるSF映画やん。だったら、ストーリーはシンプルにして見せ方を工夫するとか、キャラクターに感情移入しやすいとか、そういう作りの方がええと思うねんけどな。どれにも凝るから、満艦飾になってしまう。それでも潤沢な製作費で圧倒的なビジュアルなら、マニアには支持されるやろうけど、さっきも言ったけどそうはなっていない。結局は、映画を観た後にどこか中途半端な印象になってしまう。
Y木:まあ、言いたいことは分かる。SFとしてはどうなん?ビジュアルはわりとええんやろ?
S原:頑張ってたと思う。不時着した惑星の場面は、オーストラリアの砂漠で撮影していてなかなか雰囲気が良いねん。砂漠のむこうに、うっすらと他の惑星が浮かんでいるとか映像も凝ってます。おそらく、そういう場面のひとつひとつに設定や理屈がありそうなんやけど、頭でっかちで技術が追い付いていないというか。普通の人が観たら、典型的な低予算B級SFやと思う。
Y木:要するに自主映画っぽいんやな。
S原:うん。で、自主映画にありがちな監督のこだわり(凝った部分)があるというパターンやな。
Y木:今回はおススメしにくい感じやな。
S原:できません。SFマニアなら楽しめるかもしれんけど、それ以外にはただの退屈な映画とちゃうかなあ。ところどころ、面白い部分があるのにもったいない。これ、観たのは1週間くらい前やけど、もうかなり忘れてる(苦笑)
Y木:やっぱり、印象に残らん映画なんやろうな。
S原:あ!言い忘れてた!
Y木:なんやねん。
S原:不時着した惑星に女性が1名でてくるねんけどな。それが宇宙服と言うか、黒色で体にピッタリとした服やねん。
Y木:うん。
S原:ちょっとエロいねん。
Y木:だから?
S原:ぼく、ああいう服、好き!
Y木:知るか!キモイねん!