S原:今回は久しぶりにアニメ。2本立てです。
Y木:SFか。
(解説/あらすじ)
骨太なSF作品に定評のある漫画家・星野之宣の手掛けた名作「2001夜物語」を、圧巻の3DCGで映像化。 気鋭の映像作家・曽利文彦が監督を務めた本作は、先述の「楕円軌道」ともう一本「共生惑星」の二編からなる作品である。高密度なビジュアルの美麗さと共に、SF世界ならではのストーリーテリングの妙にも注目したいところ。
(楕円軌道のあらすじ)
次世代エネルギーを搭載した輸送船が15年ぶりに帰還。宇宙ステーションのリーダー、ダンは輸送船船長のマリアと再会する。
(共生惑星のあらすじ)
ある惑星で資源を発掘する人類。それぞれの思惑により人々が対立するなか、愛を育む男女がいた。
S原:まず、原作の星野之宣の「2001夜物語」は読んでません。というか星野之宣作品はひとつも読んでいません。曽利文彦監督の作品も2本しか観たことない(ピンポンとあしたのジョー)ので、今回はこの作品単独の感想と思ってください。
Y木:そんな断りは要らんやろ。
S原:いやー、SFファンは厳しいからな。さきに謝っておきます。
Y木:べつに謝らんでもええやろ。
S原:なんやったら、さきに土下座しておきます!
Y木:やめろ! なんでそこまでせなあかんねん!
S原:で、この映画なんやけど、3DアニメというかCGアニメというんかな。キャラクターもすべてCGで作ってます。
Y木:こういうアニメ映画をこのブログで取り上げるのは珍しいかもな。どうやった?
S原:出来は普通やと思う。個人的にはわりと面白かった。ただ、評価は分かれると思う。
Y木:クセがある?
S原:そうやな。CGで作った「人間」に、どこまで違和感を感じるかやと思うけど……最初はかなり戸惑う。途中で観るのを止めようかなと一瞬思ったくらい。
Y木:ふーん。2本に関連はあるの?
S原:それぞれ別の話です。でも雰囲気とかCGの使い方は一緒です。ジャケットのイメージとはちょっと違います。こういう場面はあまりありません。
Y木:そうなんや。
S原:はじめは「楕円軌道」から話します。宇宙ステーションが舞台です。ある日、有力資源(液化プロトン)を積載した輸送船がこの宇宙ステーションに立ち寄ります。ステーション・リーダーのダンと、輸送船の女艦長マリアは久しぶりの再会のようですが、どうもこの2人には「過去」がありそうです。
S原:そんな中、ステーションに、武装したテロリストたちが侵入してくる。輸送船が持ち帰った液化プロトンを狙っていて……という感じです。
Y木:話は普通やん。
S原:40分ちょっとしかないからサクッと観れるはずやけど、世界観とか映像に慣れないとしんどく感じる人もいると思う。意外にドラマ部分はベタやねん。やっぱり映像を楽しむ作品やと思う。たしかに、ステーションの外観とかドッキングする宇宙船(シャトル)のデザインとかCGは見応えがある。スピーディーではなくゆっくりと動く感じがリアルやねん。
Y木:へえ。
S原:最後は、どんでん返し的なセリフが一言ある。このへんも面白かった。
Y木:もう一本は?
S原:もう一本は「共生惑星」です。これも40分くらいです。人類がすでに太陽系外の惑星に進出している未来が舞台です。その惑星では東西(アメリカとロシア?)のコロニーが惑星の開発方針を巡って激しく対立していいます。しかし、そんな中で、主人公の西側の科学者イオンと東側の科学者アリーナは、みんなに隠れてラブラブモードです。
Y木:ロミオとジュリエットか。
S原:劇中でも、そうやって揶揄されます。この惑星では、粘菌類が大地を覆いつくしているんねん。主人公は、それを改良して(?)上手く利用しているようです。東側と西側は揉めています。たぶん、このへんは地球から遠く離れても同じように紛争を起こしているという皮肉もあると思う。
Y木:なるほど。
S原:ある日、主人公はこの惑星の菌類に感染してしまう。他のみんなを守るため、自分だけが隔離したスペースに閉じこもる。一方、地球から派遣された仲介人(査察人?)がいるにもかかわらず、結局、東側がキレて、コロニーの中に惑星土着の菌類を撒き散らして西側コロニーを破壊しようとする。西側コロニーの人間は菌に汚染され次々と死んでしまい……という話ね。
Y木:ちょっと凝ってるな。いかにもSFな設定で。
S原:うん、ぼくは僕はこっちの方が好き。凝った設定で菌類の映像も面白いし、癖のある展開も味がある。最後の展開は好き嫌いはあると思うけど、なにかの「暗喩」やと思う。もちろん、頭の悪い僕には分らんけど(苦笑)
Y木:今回のDVDはおススメ?
S原:SFやアニメ好きなら一度観ても良いと思う。大きな画面で観たら迫力があって印象が変わるやろうな。というわけで、ちょっとマニアックな(?)作品かもしれませんが、機会があればぜひぜひ~!