あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

電話にまつわるエトセトラ「アンノウン・コール」(2013)の巻

アンノウン・コール

S原:今回は家から出られなくなる映画!

Y木:どっかで聞いたことのある設定やな。

(あらすじ)

家を守るはずのセキュリティシステムが凶器と化す! 高度なセキュリティシステムが主人公を追い詰める。家を守るために導入した最新鋭のセキュリティシステム。システムは全て遠隔操作され、外部との連絡も遮断された。家を1歩でも出ればシステムが反応しレーザーセンサーの標的に・・・!

 

S原:たしかに「ありがち」なんやけど、これは意外な拾いものと言っていいと思う。結構、面白いです。

Y木:へえ、これが?

S原:パッケージでかなり損している。これが犯人なんやけど、もっと追いつめられる主人公側のデザインにすればええのに。

Y木:たぶん(パッケージとしては)地味になるから、こんな感じにしてるんとちゃう?

S原:そうやろうな。でも、サスペンス好きな人ならおススメやで。

Y木:家から出れなくなる話か。

S原:うん。主人公(コリン)は離婚して一人で豪邸に住んでいます。その豪邸にセキュリティシステムを導入するところから映画は始まります。次に離婚した元妻から娘(小学生低学年くらい)を預かります。もちろん主人公は娘と過ごせてうれしいんやけど、元妻を連れてきたたのは、新しい恋人やねん。しかも朝までその恋人と過ごすらしい。離婚したとはいえ主人公は心中複雑です。娘と外食に行こうと相談していると、一本の電話がかかってきます。「私は誰でしょう?」って。

Y木:それで?

S原:変な電話だと思って切ろうとすると「この家のセキュリティシステムをすべて乗っ取った」「地下に爆弾をしかけている」「家の外にでれば撃ち殺す」と言います。主人公は信じないけど、外部センサーが仕掛けられていて、家の中も監視盗聴されていることに気付く。電話は遮断されていて警察にもつながらない。外にでようとした猫が撃ち殺されて、この電話が悪戯でないことに気付く……こういう出だしです。

Y木:典型的なワンシチュエーションのサスペンスやな。

S原:前半はかなり良いよ。テンポも良いし登場人物も少ないし、それぞれの立ち位置や性格が分かるからすぐに物語に入っていける。

Y木:話はそこからどうなるの?

S原:いやーここからは言いにくい。

Y木:言わなわからへんがな。

S原:これは観てほしい映画なのよ。やから、ネタバレしたくない。

Y木:他のサイトをみたらラストとか分かるやろ。

S原:実はこの映画のレビューはかなり少ない。みんな、ネタバレしてないから同じ気持ちとちゃうかな。

Y木:結局、主人公が一人で孤軍奮闘するんやな。

S原:いや、次の日の朝に元妻が娘を迎えにきます。でも、そのまま娘を返してしまうと危ないから「渡せない」と言うのよ。元妻は怒ります。家に入ってきて揉めているうちに、今度は元妻の恋人も巻き込まれしまう。いろいろあって、主人公、元妻、その元妻の恋人、主人公の娘の4人が家から出られなくなってしまう。犯人は電話で「これはゲームだ」「わたしが誰か当てろ」。

Y木:私がだれか当てろ、か。主人公に恨みを持つ男やな。

S原:言えません(笑)この映画では、犯人は誰か?というミステリーの要素以外にも、たくさん小ネタが散りばめられています。どうやって家の外にでるか?、爆弾をどうやって除去するか?、犯人は主人公に関係するの人間か?(もしかして主人公以外に関係する人間か?)、主人公は結婚生活中に浮気していたのか? 元妻はどうか? などが絡み合ってどんどん話がすすんでいく。小技もなかなか効いているねん。主人公がセキュリティシステムを逆手にとったりするし、犯人が小さなヒントで主人公を(精神的に)徐々に追いつめたりするところが上手いよ。主人公もバカでないし、元妻も冷静やねん。アクセントになってるのは元妻の恋人の存在やねん。関係なく巻き込まれてしまうねんけど、この男が理系(MIT卒)で論理的に考えるねん。犯人がどこから電話をしているかを稲妻と音の時間差で場所を割り出すとか。このへんは出来すぎな部分もあるけど、やっぱり面白い。ただ、主人公が「理系なら爆弾処理もできるだろ」って無理やり頼まれて迷惑そうな顔をしてたけど(笑)

Y木:今回は、わりと褒めるな。

S原:観終わって、よく考えると「あれ?あそこはおかしいとちゃう?」「変じゃね?」というポイントは、たくさんあるねんけどな。観ているあいだは面白いです。

Y木:ジャンルムービーやから、それでええんやろうな。この映画の面白さは、犯人と頭脳だけで勝負するところ?

S原:前半はそうです。後半はすこし展開が変わって、自宅内以外の場面もあるねんけど、このへんは「ハリウッド的」でちょっと残念やったかな。それでも、伏線は回収しているし、「ええ⁉」という場面もあるし……これ以上は言いにくいです。

Y木:なんか普通の映画っぽいな。そういうのは、このブログに求められていないと思うけどな(苦笑)まあええわ。今回は久しぶりにおススメってことやな。

S原:イエース。というわけで、パッケージはダサいですが、地味目のサスペンスが好きな人におススメです。ラストは賛否あるかもしれませんが、あれでいいんですよ、あれで。ワゴンセールで見つけたら、ゲット、プリーズです!