あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

電話にまつわるエトセトラ 「ドント・ハングアップ」(2016)の巻

ドント・ハングアップ [DVD]

S原:さあ、今回からしばらく電話が関係する映画を取り上げますよ~!

Y木:電話の映画か。そんなにあるかな?

(あらすじ)

モズリーとブレイディはイタズラ電話で人をダマし、その様子を実況しながらSNSに流して反応を楽しむ悪質な遊びにハマっている。2人はいつものように酔った勢いで知らない番号に電話し、ある男に繋がる。いつものようにダマそうとするが、全くこちらの意図に乗ってこず、面白くない2人はすぐに電話を切る。すると今度は家の電話が突然鳴り出す。その電話は先ほどの男からの折り返しだった。その男はなぜか2人の名前を知っていて、次第に男の異常性があらわになってくる。2人のいるリビングのTVが突然ONになり、映し出されたのは監禁されているブレイディの両親だった!さらに2人の友人も囚われの身となり、半殺しにされている。そしてモズリーの彼女にも何者かが襲い掛かる様子が映し出される。2人の大切な人たちを次々とターゲットに狙うその男の目的とは―?

 

S原:これ、ジャケットで損しています。主人公は男2人。女性が電話で恐怖を感じている表紙やけど、ちょっと違うねん。

Y木:ふーん。上のあらすじを読むと、ワンシチュエーション映画やな。

S原:うん。今回はネタバレをしないと話しにくいので、これから観る人はここで読むのを止めて欲しい。

Y木:で、感想は?

S原:普通……かな。前半はなかなか良い雰囲気やねん。主人公の男2人は、迷惑系youtuberという感じで、いたずら電話をかけて、電話を受けた人が怖がったり困惑するのを実況中継しています。最初に、警察のふりをして「あなたの家に不審者がいるから気を付けて」「いま、2階にいます」「部屋から出ないで」とか言って怖がらせる。電話を受けた女性は主婦らしくて、小さな子供がいるから助けると言って取り乱します。

Y木:そりゃそうやろ。

S原:で、最後に「これはいたずら電話でーす!」と言って切る。

Y木:・・・最低な奴らやな。

S原:主人公たちに感情移入は出来ない。このあと、主人公たちの家に電話がかかっている。知らない変な男からの電話なので主人公たちは相手にしないけど、だんだんと様子が変わってくる。電話をかけた男(リーを名乗る)は、「君はブレイディ・マニオンという名前だろう」「オーク通り437番地に住んでいるな」「でも今は、アシュトン・レーン1357番地のサム・フラー宅にいる」と言い出すねん。それが全部当たっているわけ。ゾっとする主人公たちに向かって「人に迷惑ばかりかけやがって」「おまえたちに罰を与えてやる」

Y木:ほう。いつも迷惑かけてる奴らが、今後は逆襲されるんやな。自業自得やん。

S原:そうそう。このあと、警察に電話してもこのリーという男につながったり、両親が拉致される映像が届いて殺すと脅されたり……このへんの前半はわりと良いねん。

Y木:それでどうなるの?

S原:ここからは詳しく話しにくいけど……うーん、なんともなあ。こういうストーリーなら、犯人がどのような人物か?動機はなにか?目的はなにか?が大事やん。

Y木:説得力とかやな。

S原:そうそう。結局、ネタバレをすると、犯人はオープニングで主人公たちがいたずら電話をした主婦の夫やねん。ウソの電話で動転した妻が誤って娘を撃ち殺してしまう。そのまま妻も拳銃自殺する。いたずらのせいで妻と娘を失ってしまう事故が起きてしまったのよ。父親にとっては、主人公たちは許せない……

Y木:なるほどな。でも、なんで主人公の素性を調べたり、警察への電話がつながらないの?

S原:そのへんが弱いのよなあ。このリーというオッサンが、何故そこまでの準備が出来たのかがよく分からないねん。執念で準備をしたということなんやろうけど。後半は、もうちょっと面白くなると期待したんやけど、このへんがちょっとな……

Y木:最後は主人公たちには生き残るの?

S原:結局、1人は死ぬ。もう1人も今回で死んだ人たちの「犯人」にされることを示唆して、映画はおしまい。

Y木:バッドエンドか。

S原:うん。真犯人は逃げ延びます。バッドエンドはOKなんやけど……こういうアイデア勝負の映画は、細かい演出が重要やと思うねん。たとえば、自然な展開、観客が疑問に思うことを先に説明して納得させて、ドキドキハラハラさせないといけないやろ。

Y木:そりゃ、サスペンス映画やからな。不自然って言いたい?

S原:やっぱり観ている間に疑問が浮かんでは消えていく。さっきのリーの存在がとくにそうやけど、主人公には別れる寸前の恋人もいて、その女性もリーに捕まったりして物語に関係するけど、あんまり上手くない。やっぱり細かいところが気になるし、その分モヤモヤしてあまりストーリーに集中できんかったわ。決して、ひどい出来ではないねんけど、どうもスカッとしないというか……

Y木:バッドエンドならスカッとしないやろ。

S原:でも、胸糞映画とか主人公が制裁される映画としては、面白くなるはずなんやけどな。まあいたずら電話をしたら、殺されるというのは行き過ぎやけど、もうちょっと上手い伏線とか、主人公たちの行動とか気持ちがわかれば一級品になったと思うねんけど、残念です。

Y木:こういう映画は、観ている間に楽しめたら十分なんやって。

S原:そうなんかな。というわけで、みなさん。いわゆる「上質なサスペンス」を期待してはいけません。あ!でも、迷惑系youtuberには絶対に観て欲しい~!本当に他人に迷惑をかけて楽しんでいる奴らは、いますぐ止めるように!

Y木:観ないやろうなあ……(苦笑)