あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

電話にまつわるエトセトラ「メリーさんの電話」(2011)の巻

メリーさんの電話 [DVD]

S原:今回の元ネタは都市伝説ですよ。

Y木:都市伝説……知らんなー。

(あらすじ)

女子高の空手部に所属する美奈子と真由子は、部の強化合宿で山奥の合宿施設へやってくる。しかし合宿の終了間際、部員たちが1人また1人と消えていく。美奈子は事件のナゾを調べるが、圏外のはずの携帯電話が突然鳴りはじめて……。

 

S原:この映画は、紗綾と菊地あやかという2人のアイドルが主演です。もちろん、ぼくは知らないので、単純に映画として観たんやけどな。

Y木:メリーさんの電話ってなに?

S原:メリーさんの電話というのは、幼いころに捨てた人形から電話がかかってくるという都市伝説らしいわ。「もしもし、あたしよ、メリーさん」から始まって、「もしもし、あたしよ、メリーさん。今家の前に着いたよ」「今玄関」「今部屋の前に来たよ」という風にどんどん近づいてくる怪談とのことです。

Y木:うわ、気持ち悪いな。

S原:ぼくみたいに、子供の頃に人形が死ぬほど怖かった人間からすると、めちゃくちゃ怖い。チャイルドプレイシリーズよりも怖い。あれはだんだん怖くなくなってきたし(笑)

Y木:それで、この映画どうやったの?

S原:うーん、ひどい出来ではないねんけど、やっぱりどうにもチープやねんなあ。

Y木:製作費のことは言ってあげるなよ。

S原:いやお金のかけかたの問題じゃなくて……むしろ、ちゃんとロケしてるし、俳優もそれなりに使っています。特撮も変じゃないし……でも、どうしようもなく漂うB級風味がなあ。あとは簡単に言うと、すごく散漫やねん。

Y木:散漫?

S原:さっき言った都市伝説で怖くなる物語やと思うやん?でも、どうにも怖さのターゲットが絞り切れていないというか。最初は、都市伝説(メリーさんの電話)の話をしている女子高生たち3人がいます。やがて、そのうちの1人が最近、この町の周辺で怪事件が起きていると話します。

Y木:怪事件って?

S原:溺死した死体とか火事とか自殺とか。

Y木:いや普通の出来事やん。

S原:一応、そういう変な事件が起きているという話題で、主人公がポツリと言います。「そういえば4月なのに、イナゴが大量発生してるわ」

Y木:イナゴ…?

S原:思わせぶりやろ?「エクソシスト2」(1977)みたいに、イナゴの大量発生が映画の後半に関係するのだろうと思っていましたが、関係なかったわ。

Y木:あーそう、イナゴ……(遠い目)

S原:で、主人公たちは空手部の合宿(5日間)に行きます。携帯の電波も届かない田舎の合宿所で練習に集中します。練習して食事の後で、主人公が部屋に戻るときに地下にある部屋をみつけます。その部屋のドアノブには、チェーンでグルグル巻きになっています。主人公がそれを触ると、女性が泣き叫んでるイメージが浮かびます。次の日、山道でダッシュをしているうちに、1人いなくなってしまいます。

Y木:なんで?

S原:迷子です。

Y木:あーそう、迷子……(遠い目)

S原:もう高校生なので、自分が来た道を戻れば済むような気がしますが、どんどん迷子になって、転んでしまいます。なんとそこには。泥まみれの白い髪の毛の束が……!そこへ、友人たちが探しに来てくれてやっと助けてくれますが、強いショックを受けたので、教師(顧問)が病院に連れていくことになります。で、先生(大人)がいなくなったときに、さらに怖ーい出来事が起こって……という感じです。

Y木:べつにホラーとしては普通のように思うけど、おまえの言うターゲットが絞り切れてないというのは?

S原:結局、この地域で白い髪の毛の女子(メリーさんというあだ名)がいて虐められて、沼に落とされて死んでしまったということがあったと分かる。主人公たちが泊まっていた場所のお手伝いさんが、その経緯を知っていて、その死んだ女子が復活(?)するのを防いでるらしい。

Y木:なんで主人公たちが襲われるの?

S原:そのへんがよくわからんかった。たぶん関係ないはずやけど、もしかしたら劇中で説明があったかも。

Y木:なんやねん、ちゃんと観ろよ。

S原:いやー集中力が続かなくてな(苦笑)そういった過去の怨念とかメリーさんの伝説でジワジワを怖くなるのかと思ってたら、友人がゾンビになって襲ってきたりして、演出のトーンが変わってしまう。あとは、ゲロしたときに白い髪がでてくるとか、頭がグラリと落ちるとか、恐怖の場面があるねんけど、どうも本筋に噛み合ってないから、演出が迷走しているように思う。もったいないです。

Y木:最後は?

S原:あー最後か!最後は……いやー参ったなあ。

Y木:なんやねん、はっきり言えよ。

S原:「キャリー」(1976)そのままやねん。

Y木:えー、まじか。あの土の中から手が出てくるやつ?

S原:そうそう。まったく一緒です。こっちは、湖から手が出ます。

Y木:えーあれをそのまま再現する奴がいるとは……(絶句)

S原:もう「キャリー」を観ていないヤングも多いやろし、これはこれでええんかもしれんけど、あまりに堂々と再現してたからさすがに驚いたわ。オマージュのつもりなんかなー。

Y木:なんか、今回はイマイチっぽいな。

S原:アイドル主演で、そのアイドルファンのために作ったんかもしれんけど、ホラーとしてもアイドルを魅力的にみせる作品としても物足りないです。ちなみにシャワーシーンもありますが、そっちも物足りないです。というわけで、よほど興味のある人のみ観てくださいませ~!