あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「未来予想図 アイシテルのサイン」(2007)の巻

 

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S原:さあ、思わず「おいおい、なんでこんな映画を作っちゃったんだよ」とつぶやいてしまう映画を紹介しまーす。

Y木:そっとしておいてやれよ…

(あらすじ)

さやかと慶太が出会ったのは二十歳の時。卒業旅行でスペインを訪れたふたりは、サグラダ・ファミリアで約束をする。10年後、手をつないで、またここに来よう。それがふたりの未来予想図だった。だが就職後、その未来予想図に大きな転機が…。恋人、仕事、夫婦、親子、それぞれの“愛”を伝えるハートウォーミング・ストーリー。ヘルメットを5回ぶつける、テールランプを5回点滅させる―あなたの「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、大切な人に届いていますか。

 

S原:大切な人に届いていますか・・・って、届かへんわ!

Y木:いきなりツッコミからスタートかい。

S原:いやーこれはなあ。レンタルでみつけたときに「こんな映画、誰が観るんやろ?」と不思議で仕方なかったのよ。ヤング向きでもないし…

Y木:ドリカムを聴いてた世代向けやろ?

S原:そうなんかなー。いわゆる「B級/Z級映画」は、残念ながら出来は悪いからそう呼ばれるわけやろ。でも、作り手側にやりたいことがあるやん。例えば、「ゾンビにパンチしたら頭がふっとぶ映画を作りたい」とか「迷彩服のヒロインが、生足を出してマシンガンを撃つ場面が撮りたい」とか。

Y木:なんか知能指数の低い設定やな。

S原:例えばですよ、例えば!

Y木:で、この映画はどうやったの?

S原:本気で思うねんけどな。この「未来予想図 アイシテルのサイン」を観るために映画館にお金を払って行く人が何人おると思う?

Y木:それは好き好きやがな。ドリカムかー懐かしいな、って映画を観る人もおるやろ。

S原:いーや、そんな人はいません。

Y木:断言するな。怒られるぞ。

S原:でも、この映画には参ったで、ほんまに。さっきみたいなゾンビ映画とかを優位にみているわけじゃないねん。でも『なんで今さら?』というハテナマークが頭の中を埋め尽くすという。

Y木:わかったわかった。そのへんにして、映画の内容を話してくれ。

S原:内容か……(遠い目)省略してもええかな?

Y木:少しは話せよ。どんなストーリーか分からんがな。

S原:主人公はさやか(松下奈緒)です。大学時代から話はスタートします。大学の友達に頼まれて自主映画で「花嫁役」をします。「花婿役」もピンチヒッターです。名前は慶太(竹財輝之介)という男で、突然の「結婚式」に2人はドギマギ…‥

Y木:昔の少女漫画みたいな出だしやな。

S原:で、2人は友人になります。慶太は建築家を目指していて、スペインの建築家の巨匠、ガウディに憧れています。そんな夢を語るきらきらした瞳の慶太に、さやかは胸キュン♡

Y木:おいおい、ほんまに2007年の映画か。

S原:で、2人はデートをします。アベックになります。男と女のラブゲームです。

Y木:おまえの表現も古いなあ。

S原:そして、観客が待ち望んでいた場面がやっていきます。バイクでかえるときに、ブレーキサインを5回点滅……♪「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン……♪

Y木:うわーほんまにそういう場面があるんや。

S原:あります。人形ホラーで人形が人間を襲う場面がマストなのと同じです。

Y木:なんか違うような気がするけど、まあええわ。

S原:あーもしも滝川クリステルやったら、ブレーキサインを5回点滅……♪「お・も・て・な・し」のサイン……♪

Y木:しょーもないこと言うなっ。

S原:あーまた思い出した。学生時代にこの歌が好きなヤツがバイト先におったのよ。で、付き合ってた彼女に、帰り際にブレーキサインを6回点滅してたらしい。

Y木:6回?なんで?

S原:「お・ま・え・だ・け・さ」

Y木:……ごめん、鳥肌がたったわ。

S原:観客の鳥肌は放置して映画はすすみます。で、2人は卒業旅行に、スペインのサクラダファミリア教会を訪れます。旅番組そっくりの場面が続きます。「10年後も二人でこの教会を見にいくっちゃ」と二人は約束します。

Y木:なんで博多弁やねん。それで?

S原:それから5年がたちました。2人はそれぞれ就職しています。慶太は設計事務所に勤めています。さやかは印刷会社の事務に勤めています。慶太の方が忙しく、二人は次第にすれ違います。

Y木:あー大学時代から社会人になったカップルあるあるやな。

S原:慶太は自分のやりたい好きな仕事に就けましたが、さやかには出版社に勤める夢を諦めていたため、仕事のモチベーションも違っていました。そんなさやかに夢を諦めないように慶太は言います。あなたの夢を~あきらめないで~♪

Y木:それは岡村孝子やろ。主題歌が変わってるがな。

S原:で、さやかは一念発起し、出版社に再就職することが出来ます。今度は好きな仕事のため、さやかはやりがいを感じます。どんな仕事でも大切なのに、すごく自己中心的な考え方です。

Y木:ほっておいてやれ。自分の好きなことをしてるんやから、ええやろ。

S原:そのころ、慶太には建築の才能を見込まれ、スペインの設計事務所へ転勤する話が出ます。スペインで建築の仕事をすることは慶太の夢でした。しかし、いつ帰ってくるか分からず、行ってしまえばさやかと離れ離れになります。慶太はせっかくの話を断り、さやかにプロポーズしようとします。

Y木:あー仕事よりも「愛」をとったんか。

S原:ところが、さやかは「あなたは結婚の対象ではないっちゃ」と慶太のプロポーズを断ります。「あなたとのチョメチョメは最高だったけど、それだけっちゃ」と言います。

Y木:後半はウソやろ。怒られるぞ。要するに『彼氏の夢を応援するために、自分から身を引く』というわけやな?

S原:はい。ビルの陰に隠れてババ泣きする場面は、80年代にタイムスリップした既視感があります。演出もまあアレなんやけど、しかしなあ……いまどきそんな考え方あるかな。別に既婚者でも働けるやん?一緒にスペインに行ってもええし、単身赴任でもええやん。

Y木:まあな。

S原:なんというか平成を通り越して昭和っぽいのよなあ。

Y木:もちろん、それから再会するんやろ?

S原:もちろんです。結局、慶太はスペインへ行ってしまいます。数年後(?)、スペインで慶太は建築家として活躍しています。さやかも出版社でバリバリと働いています。ある日、さやかは、『恋が叶う花火』を作れる花火師を取材したいと思います。

Y木:おいおい、『恋が叶う花火』って。まだ彼氏のことを引きずっているんかい。新しい彼氏はおらんの?

S原:いません。一途なのです。

Y木:だっから、はじめからスペインに一緒に行けよ!

S原:面倒なので、このあとは省略しますが、2人は再会して、また「未来予想図Ⅱ」が流れます。「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン……♪

Y木:わかったわかった。

S原:あーそういえば、ラストにもドリカムの新曲がかかるねん。ファンは嬉しいんちゃうかな。映画のための書下ろしやからな。

Y木:へえ。どんな曲?

S原:「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」っていう曲。

Y木:……ごめん、また鳥肌がたったわ。

S原:まあ、そういう映画やったのさ……(遠い空をみる)。ほかにも花火のシーンとか再会するラストシーンとか、ものすごく不自然やねんけどな。あーいま思い出した!エンドクレジットが終わった後に、2人の結婚式のシーンがあるねん。

Y木:別にええやん。

S原:でも、とくに結婚式を映してただけやった。おいおい、友達の二次会映像かよ!

Y木:まあ撮りたかったんやろ、そういう場面が。

S原:まあ、こういう場面の連続でな。この映画を観ているうちに、いろんな五感が麻痺してきて、どうでもよくなってくるから、まあええねんけどな(苦笑)

Y木:麻痺かあ。

S原:たとえば、いくらスケベでも「まぼろしパンティ」では、意外と興奮せえへんやん?そういうことよ。

Y木:わからん例えはやめろ。なんで永井豪やねん。

S原:まあ、再会してからは本当に不自然な場面の連続で、これはこれで別世界と考えればええんやろうな。だって、宇宙戦艦ヤマトを観て「なんで矢印の書いたユニフォームを着てるねん!」って突っ込まへんやろ。そういう世界なんやって。

Y木:よくわからんわ。今回はおススメ出来ないってことやな。

S原:さあみなさん。テレビでやっている毒にも薬にもならないドラマってあるでしょう?要するにあれですよ、あれ。別に普通に観れます。ちゃんとストーリーもわかります。カメラのピンボケもありません(当たり前だ)。でも後には何も残りません。こういう映画の「突っ込みポイント」を楽しめる人だけゲットしてください!いやーなんでこんな映画を作ったのでしょうなあ……