あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

翼よ、あれが80年代だ!「北海ハイジャック」(1980)の巻


S原:今回はこちら。ロジャー・ムーアアンソニー・パーキンス

Y木:懐かしい2人やけど、いまの映画ファンは知らんかもなあ。

 

(あらすじ)

 ノルウェー海の沖にそびえたつ巨大な油田基地に、新聞記者を装って凶悪なテロリスト集団が侵入。冷酷で頭脳明晰なクレイマー(アンソニー・パーキンス)をリーダーとする一味は爆弾を仕掛け、政府相手に2500万ポンドの大金を要求する。残された猶予はあとわずか。刻一刻と迫る受け渡し期限を前に、英国首相は海軍将官ブリスデン卿(ジェームズ・メイソン)を派遣、フォルクス(ロジャー・ムーア)率いる腕利きダイバーチームに事態の収拾を託す。四方を海に囲まれた、難攻不落の掘削基地への決死の潜入が今、開始された…。

 
S原:これは昔テレビで放映していたのを観て「わお、これ面白いやん!」とびっくりした記憶があるねん。
Y木:へえ。
S原:ちょうど映画に興味を持ち始めた頃でな、当時は映画雑誌や映画評論家が取り上げない映画の中にも、良い映画はあるんだと気付くきっかけとなったのよ。僕にとっては思い出深い作品やな。
Y木:ああ、当時は映画評論家と呼ばれる奴らがいたからな。
S原:ヤングのために少し説明すると、80年代前半は、いまのように多様な意見(感想やレビュー)が簡単に読んだり見たりできる環境ではなかったのですよ。雑誌で活躍する「映画評論家」と呼ばれる人たちが評価する=名作みたいな図式があったのです。権威と言うのかなんというのか。
Y木:今思えば、全然大したことないことを言ってるけどな。深みもないし。
S原:まあそういう時代やから。ぼくは、映画評論家たちが推す映画を面白く感じることが少なかったから、ちょっとコンプレックスやったのよ。「これは僕が頭が悪いせいなんかな?」とか。で、この映画が面白くて雑誌とかで評論を探したけど、ほとんど無視されている。それで「評論家なんか関係ない!自分が好きならそれで良いんだ!」と思った次第です。
Y木:映画ファンあるある、やな。
S原:で、今回何十年ぶりに見直しましたが、やっぱり面白いです。でも、あの頃に感じた「すげええ!面白かったああ!」という昂奮はなかった…(苦笑)
Y木:そりゃそうやろ。
S原:やっぱりいまの映画とは作りがかなり違うのよ。いまでは省略されるであろう場面も多いし、とくに前半は少しスローペースかな。ただし後半になると俄然エンジンがかかって最後まで突っ走ります。伏線とかあんまりないねん。それがかえって、余計なものがない感じでな、単純で楽しめます。
Y木:それにしても、ロジャー・ムーアアンソニー・パーキンスかー。007とサイコの対決やな。
S原:うん。2人ともそれなりに有名やけど、一つの役のイメージが強すぎて苦労したや役者やからな。でも、この映画では2人とも結構良いと思うんやけどな。
Y木:アンソニー・パーキンスが悪役やな。
S原:ええ感じやったで。あの人って無表情でもちょっと不気味やん?実生活でも電車の中で、1人でブツブツ言ってそうやろ?
Y木:怒られるぞ。一方のロジャー・ムーアは軍人?
S原:民間の傭兵みたい。こっちはひげ面で007のイメージを変えようとしています。女性よりも猫が好きという変人で、大酒飲みやねん。で、ロジャー・ムーアが率いるチームがハイジャックされた油田基地に行くというわけ。悪役たちも頭がなかなかキレるから、ちょっと裏の読みあいもしつつ、適度にアクションもあり、良いバランスやと思うで。
Y木:今回は、「思い出補正」が入ってないか?
S原:たぶん入っています。ちょっとネットで調べたけど、評価はあんまり良くないみたい。まあでもええやん。たしかにサスペンスとしてはやや緩いのですが、それもまた愛嬌ですよ。べつにハラハラドキドキしたくてサスペンス映画を観るわけじゃないやろ?
Y木:ハラハラドキドキしたくてサスペンス映画を観るねんって。
S原:そういうわけで、ちょっと70年代の雰囲気もあるイギリス映画ですが、なかなか良作ですよ。いまリメイクしても良いと思いますね。というわけで、80年代アクション/サスペンスが好きな人におススメします!