あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「最後勝利/FINAL VICTORY」(1987)の巻

S原:今回は、本当にレビューのすくないこの映画を紹介しますよ。

Y木:最後勝利…変なタイトルやな。

 

(あらすじ)

ホンは兄貴分のボーが捕まったため、二人の女の面倒を見ることになった。一人は年上のピン。もう一人は、まだ若いミミ。ホンはヤクザから身を隠すため、日本に出稼ぎ中のミミの元へピンと共に急いだが……。兄貴分の情婦との恋を描いた作品。

 

S原:これはパトリック・タム監督。あのウォン・カーウァイが脚本を書いています。ウォン・カーウァイといえば、このブログでも「2046」(2004)を取り上げど、なかなかの個性やな。

talksessionyands.hatenablog.com

 

 

Y木:この映画の感想は?

S原:うーん…あんまりかな……ストーリーはすごく単純やねん。登場人物はほぼ4人。パッケージの4人やな。主人公は左上の写真のチンピラやねんけどな。3枚目というか情けない男やねん。ある日、孤児院時代から一緒だった兄貴分が刑務所行きになる。兄貴分から、出所までの間、愛人2人の世話を任せられます。1人はすぐに会えるけど、もう1人は日本(新宿)にいます。それで日本に会いに行きます。これちゃんと新宿でロケしてるねん。たぶんゲリラ撮影やろうけど。

Y木:へえ。外国人が撮るからかっこよく見えるとか?

S原:いや、とくには…(苦笑)外国の個性派が日本を撮ったらかっちょよくなることがるやん。「ブラックレイン」(1989)とか。

Y木:あーあれはビビった。いつもゴミゴミして人が多い大阪の街が超かっこよくなってるんやもんな。さすがリドリー・スコット十三(じゅうそう、と読みます)なんか全然違う。当時の十三なんかめちゃくちゃ汚かったのに(苦笑)

S原:「ブラックレイン」と比べると製作費が違うからちょっと可哀そうやけど、この映画ではゴミゴミした新宿がそのまま映っています。で、クセのある愛人2人とともに、チンピラとか風俗とかアンダーグラウンドの界隈をドタバタします。雑居ビルのあいだを走り抜けるとかユニークな場面もあるねんけど、まあ普通やった。そうこうしているうちに、愛人の1人に恋心を抱いてしまって…という感じで話はすすみます。

Y木:話は普通やん。

S原:なんというか80年代のVシネマみたいな感じで、ノリというか荒削りの演出なんやけどな。それが魅力にならないとあかんねんけど、残念ながらすごくチープにみえてしまうのよ。

Y木:低予算という意味じゃなくて?

S原:うん。あらすじの面白さではなく、キャラや雰囲気を楽しむタイプの作品やと思う。そういう意味では、キャストが弱いかなあ。この4人も悪くないねんけど、イケメンや美人でなくても、どこか可愛げみたいなのが欲しいな。表情が良いとか雰囲気が独特とかなにか印象に残るポイントがあればええねんけど、どうにもバタ臭いというか……

Y木:80年代の香港映画やろ。そりゃバタ臭くもなるやろ(笑)

S原:それはええねん。カンフー映画とかで慣れてるから(笑)だけど、この映画ではどうも余裕のない感じで俳優がドタバタしているだけやった。面白くなりそうな要素を、取りこぼしているような演出が多くてな。ちょっと残念やった。

Y木:兄貴分の愛人に恋をしてどうなるの?

S原:結局、愛人の1人(真ん中の写真の娘)とくっつきます。やがて刑務所から兄貴が出所することになります。愛人に手を出したことがわかれば兄貴分に殺されるかもしれない。そこでもう1人の愛人が「銀行強盗をしてお金を作って、そのまま遠くへ逃げよう」と提案する。でも主人公は気が弱くて銀行強盗なんか出来ない。結局、愛人の1人が銀行を襲ってお金を工面する。やがて兄貴分は出所してこちらに向かってくる。一方警察も追ってくる。さあどうなる?

Y木:いやーどうなんやろ。やっぱりストーリーはそんなに面白くないかな。結局、これはコメディなんか?

S原:たぶん。だけど、どうにもスカッとしない。とはいうものの個性的な映画ではある思う。映像もケバケバしいし、ハマる人はおると思う。ただハマらない人は「くだらねー」と吐き捨てておしまいという(笑)

Y木:そうなんや。でも気楽に観るタイプの映画でしょ。

S原:その通り。しつこいようやけど、だからこそ「登場人物」に焦点をあててほしかった。マンガみたいなキャラでOKなんやけどな。

Y木:今回はおススメしにくいみたいやな。

S原:さあみなさま。とくに印象に残らない映画なので、わざわざ観なくても良いのではないか、と思います。おそらく販売数も多くないDVDだと思いますが、どこかの中古店に眠っているのでしょうか?どこかでみかけても、気づかないふりで通り過ぎてくださいませ。