あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

あなたはどっち?賛否両論映画特集!「2046」(2004年)の巻

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S原:今回は「2046」!

Y木:おお、ウォン・カーウァイ監督かあ。

(あらすじ)

1960年代の後半、香港の古びたホテルに住むチャウ(トニー・レオン)は、それまで自分が接してきた女性たちとの思い出やこだわりを胸に、ある近未来SF小説『2046』を書き始めていく。それは、失われた愛を見つけることができるという“2046”へ向かう謎の列車の物語。2046から帰ってきた者はいないという。ただひとりの男(木村拓哉)を除いては。そして今、男は再び列車に乗り込んでいた…。

 

S原:ウォン・カーウァイ監督は、一部に熱狂的な信者を持つ監督ですな。

Y木:あー観ようと思いつつ、いまだに観てないなあ(苦笑)結局、どうなん?

S原:この映画「2046」に絞って話をします。なので、監督の全作品を俯瞰してみたら、印象が変わるかもしれない…最初にそれは言っておきます。で、この映画に関しては予告編を観ればよくわかると思う。なんといっても映像が個性的。光と影の陰影、構図、色彩……美意識というか自己の美学のカタマリというか(笑)

Y木:たしかに予告編を観ると映像に凝ってるな。

S原:うん。あと俳優(とくに女優)をかっこよく・きれいに撮らせれば随一やと思う。一部のファンは、この監督作品に出演している俳優にはまっているんとちゃうかな。それくらい俳優の魅力を引き出すのが上手い。

Y木:ほう、えらいほめるやん。

S原:でも、ほめるのはここまで。

Y木:なんやねん。

S原:だって、全然訳が分からんねんもん…(苦笑)

Y木:そうなんや。

S原:今回は、賛否両論の映画シリーズやけど、やっぱり高評価しているのはマニアだけやと思うなー。普通に観ておもろいとは思えない…自分の頭が悪いだけかもしれんけど。

Y木:ストーリーが分かりにくい?

S原:単純なのにわかりにくい。そのぶん、退屈、冗長に感じてしまう。それを凝っているというのか下手だというのかは、観客次第。とにかくこの監督はこだわりが強くて、延々と長時間撮影したり、再撮影したり、編集をやり直したり…たしかこの映画も何年もかけて製作したんとちゃうかな。

Y木:へえ、コッポラとかキューブリックみたい。

S原:こだわりという点では、あの2人と双璧かもな。作風が違うのは当たり前やけど。

Y木:どんな話?

S原:主人公(トニー・レオン)は、作家で香港のホテル(2046号室の隣)に滞在することになる。そこで彼は「2046」というSF小説を書いている。その小説では、男女が失われた愛を取り戻すために(?)、「2046」という場所を目指して列車に乗り込む。一方、私生活では、複数の女性と恋愛めいたものをしているが、心は空虚なまま。

Y木:ふーん。なんか地味やな。キムタクがでてなかった?

S原:うん。ホテルのオーナーの娘の恋人役と小説内の主人公で登場する。そんなに悪くないと思うけど、強烈な出演陣だらけやから、強い印象を残せるほどではないかな。せっかくのチャンスやったのに、ちょっとかわいそうな気がする。

Y木:そうなんや。小説内の話も映像化されるわけやな?

S原:そうそう。そこが賛否別れるSFシーンやな。セットや風景はレトロと近未来の融合で面白い。その無機質な世界で男女の純愛みたいなものを官能的に静かに描く…好きな人にはたまらんと思う。

Y木:おまえはどうやったん?

S原:映像は面白く観れる。かっこいいカット割りの連続やしな。映像の勉強をしている人は必見やと思う。唯一無二の個性といってもいいと思うで。

Y木:それくらいすごいんや。

S原:うん。でも好きになれない……上手いのとその映画を好きになるのとは違うんやろうなあ。この映画のテーマは昔ながらの恋愛感情が中心なうえに、演出が様式美というか平坦というか、2時間の映画が4時間に感じる。いくら美しい映像にキレイな音楽がながれても心は動かんかった(苦笑)この映画独特のリズムに同化できる人は、酔いしれることが出来るんかなあ…

Y木:なかなか強烈な個性を持っている監督みたいやな。

S原:そう思う。それだけに好き嫌いがでるタイプやろな。評価が真っ二つなのもよくわかる。個人的には、映像面では評価するけど、監督の自己陶酔(とくに男女観)にはついていけない……というのが本音やな。

Y木:ほう、なるほど。

S原:さあ、みなさん。監督の強烈な個性を感じたい人はおススメです。ストーリーはどうでもよくて、男優女優を観るのがとにかく好きという人にもおススメです。「すごい才能・センスだ!」と感心するか、「意味の分からん映画を撮ってんじゃないねえ!」と突っ込むかはあなた次第!このDVDは意外とワゴンセールに置いてますよ。マストバイです!