あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

翼よ、あれが80年代だ!「マッド・アイ 悪魔のホスピタル」(1987)の巻

Mad I Devil Hospital DVD

Y木:なにこれ……?

S原:一部の好事家が大好きなこの映画を紹介しますよ~!

(あらすじ)

解剖手術室に運ばれた男。次の瞬間、雑に手術を始めた解剖医は、その男に殺される。男は死んではおらず、生きたまま解剖されようとしていたのだ。それから月日が流れ、廃墟となった病院にピクニックに来た若者たち。だが謎の殺人鬼により一人、又一人と惨殺されていく・・・

S原:結論から言うと、楽しい映画やった。いかにも80年代のホラー映画って感じやねん。

Y木:手作り感満載のスプラッターとか?

S原:そうそう。監督は、あのリチャード・フリードマンですな。

Y木:「あの」って言われても知らんがな。

S原:「死霊の棲む館 」(1987)「魔界倶楽部/伝説・13日の金曜日2」(1987)の監督と言えばわかるやろ?

Y木:知るか、そんな知能指数が低い映画!

S原:しかも「13日の金曜日2」というタイトルなのに、本家ジェイソンシリーズとは全く関係のないのが、潔いよな。

Y木:よく堂々とそんなタイトルをつけるなあ…(呆笑)

S原:で、この映画については……だいたい上のあらすじを読んだらわかるやろ?

Y木:まーいかにもやな。

S原:これ、ほんまにムチャクチャな話やねん。はじめは、(悪徳)弁護士と愛人がスポーツカーでドライブします。お酒を飲んで車を束しています。2人は段々興奮してディープキッスをします。前からトラックが来て事故を起こします。愛人は死にます。弁護士も死んで解剖室に運ばれます。ところが解剖中に目が覚めます。ジャーン、じつは生きていたのでした!

Y木:あ……そう。

S原:よくわかりませんが、この時点ですでに顔がただれてゾンビ風になっています(笑)「よくもやってくれたなー、復讐してやるぞー」と怨念をたぎらせます。

Y木:自業自得やん。自損事故なんやから。

S原:ゾンビ風は弁護士は、廃墟となった病院に逃げて(?)そこに潜みます。そして10年後・・・

Y木:おいおい、10年間も廃墟の病院に住んでたってこと?

S原:説明はありません。やがてヤングな男女がやってきます。病院にキャンプ(?)に来たようです。ところが、すでに廃病院にはパンクバンドの女性3人組(黒ずくめの80年代ファッション)がいて、なぜかノリノリで演奏をしています。信じられないくらい下手です。ボーカル、ドラム、キーボードです。a-haと同じメンバー構成です。トリビュートです。

Y木:絶対ちゃうやろ。

S原:廃病院に住んでいたゾンビ風弁護士が、そういう奴らをジッとヤングたちをみつめています。このへんまでは、まあ下手やけど普通やねん。

Y木:ま、ホラーやからな。

S原:ところが、ここから、すごく変な演出のオンパレードになります。まず、ヤンググループのメンバー女性2人が水着になります。これに何の意味もありません。

Y木:サービスのつもりなんやろうな。

S原:あと、パンクバンドの女性が、ヤンググループの男性を気に入ります。それはええのですが、なんども妄想して男女のデートを楽しみます。その妄想シーンが毎回丁寧に挿入されます。

Y木:ん?どういうこと?

S原:たぶんコメディのつもりなんやろな。どうも、このコメディ部分とホラー・スプラッター部分のバランスが悪いのよ。

Y木:コメディのパートが面白くないってこと?

S原:ハッキリ言って、思いっきり外しています。例えば、ヤングな女性(ジェーン)の一人が顔の半分くらいあるメガネ(アラレちゃんみたいなメガネ)をかけてます。これも「おいおい、メガネがでかいよ!」と突っ込むポイントなんだろうと思いますが、だれも突っ込まないまま映画は進みます。ほかに、バンドの3人組が、コンドームに水を入れて屋上から投げます。下にいたヤングたちは、びしょ濡れです。

Y木:一体、いつの時代の演出やねん。あ、80年代の映画やったか。

S原:それにしても、かび臭いけどな。そんな、誰も笑えないコメディ部分をはさみつつ、いよいよ殺人鬼が襲い掛かります。はじめは、背後からコメカミに金具(聴診器?)をはさまれて頭を破壊されて死亡します。そのまま、どんどん殺人場面が続くのかと思いきや、殺人鬼は休憩します。

Y木:休憩?

S原:自分の部屋に戻って、テレビで白黒映画を観ます。クラシック映画ファンなんでしょうね。ちなみに、この殺人鬼はしょっちゅう休憩します。そのたびにテレビを観ます。テレビっ子です。

Y木:頭が痛い……

S原:次は、ヤングの一人が強酸液に顔をつけられて死亡します。その次は、電動ドリルで額にガガガガ!と穴をあけられて死亡。ちなみに「この野球カードをやるから、助けてくれ~!」と言いいながら死にますが、もちろん笑えません。そのあと、仲間同士でプロレスごっこをします。屋上からぶらさがって遊んだりしているうちに、休憩を終えた殺人鬼が、またやってきます。面倒なので省略しますが、首チョンパとか首絞めとか電動ノコギリが顔を切られたりで、どんどん人が死んでいきます。

Y木:なんか見所のない演出やな。

S原:一応、見どころはあります。男が、殺人鬼に捕まります。足の指を1本ずつ大きなハサミで切り落とします。それを仲間の女性の面前で行います。これがとネチネチと続きます。見どころはここでしょうねえ。

Y木:悪趣味な見所やなー…

S原:あとは、なぜか精肉加工装置があります。これにヤングな女性が、不自然に巻き込まれて、肉のカタマリ(四角形)になるところが、もうひとつの見所やろうな。

Y木:はー…(遠い目)

S原:ラスト近くに、どんでん返しがあります。なんと!実は生き残ったヤング(女性)は、最初に交通事故で死んだ女性の娘なのでした!驚いたでしょう!

Y木:そんな頭の悪いどんでん返しを思い付くことに、驚いたわ。

S原:最後は、生き残った女性が殺人鬼の目をグサリ!と刺しておしまい、です。

Y木:確かに80年代って感じやな。でもあんまり面白くなさそう…

S原:さーみなさん。一部のマニアに受けているようですが、たしかにコメディとホラーとの融合が完全にミスマッチしている雰囲気はなかなかのもんです。79分しかない短い映画ですので、多少期待外れでも後悔はありませんよ。ダラダラと深夜のお笑い番組をみるよりも、こっちのほうが印象に残るはず。どう考えても、二度と発売されないでしょうから、どこかで出会ったらマストゲットですよ~!