あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ぼくはチープでレトロで、ちょっとカルト「ギルティ・コンサイエンス」(1985)の巻

ギルティ・コンサイエンス 【アナログ・リマスター】 [DVD]

S原:さあ、今回はこちら。拾いものでしたよ。

Y木:ふーん。これが?

(あらすじ)

敏腕弁護士のアーサーは愛人を迎え入れるため、妻を殺す事を画策する。しかしそこに自ら生み出したもう一人の自分であるギルティ・コンサイエンス(後ろめたい心)が実体として現れる。
次々と変わる展開を主人公アーサーと妻、その愛人の三人の登場人物だけで描き切る。息をのむ頭脳戦と圧倒的な迫力の演技で、最後まで高い緊張感を維持する超一流のサスペンス映画。

 

S原:これは「知ってる人は知ってる」タイプのカルト作と言っていいと思う。というのは「刑事コロンボ」で名を知られたリチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクのコンビの脚本によるドラマやねん。しかも、主演は、アンソニー・ホプキンス。もちろんレクター博士の前ね。

Y木:へえ。好きな人にはたまらんやろうな。

S原:ホプキンスは、いつものアクが強い演技ではなく意外と普通やったけど、やっぱり上手い。全体的には、「コロンボ」シリーズの雰囲気そのままです。

Y木:あの頃のテレビムービーって感じ?

S原:うん。吹替で観たかったで。(DVDに吹替収録無し) 内容は、よく考えれば強引な展開もあるけど、観ている間は楽しめる。

Y木:それ、「コロンボ」と同じやん(笑)

 

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Y木:ストーリーは?

S原:最初の場面は、法律学校の卒業式で、主人公の弁護士アーサーがスピーチをしています。これが、アンソニー・ホプキンスね。テーマは、犯罪や殺人について、です。自分のスピーチの出番が終わると、誰にもわからないようにそっと部屋をでます。自分の家に帰ると、妻(ルイーズ)がいるのにも関わらず、家の高価そうなものをあつめてヤケクソみたいに毛布の上に置いていく。

Y木:ほう。

S原:妻は、何事かと驚く。この夫妻の関係は冷え切っていてな。妻は主人公に殴られて顔に傷が残っている。しかも主人公の不正に気付いている(これは後で分かる)。もう離婚したいが、夫は弁護士だからうまく対応しないとお金(慰謝料)をもらえない。そういう状態やねん。

Y木:それで?

S原:主人公は、妻に銃を向けて「君は撃たれる」「強盗に殺されたという設定だ」「自分には、法律学校の卒業式にいるというアリバイがある」と言う。そして、撃つ。妻は死ぬ。主人公は冷静に、証拠について自問自答する。「銃はゴム製グリップだから指紋はつかない」「12分で警察が到着する」「時間がない」「他にやるべきことは?」という感じ。

Y木:たしかにコロンボっぽいな。

S原:コロンボ・シリーズなら、このあとにヨレヨレのトレンチコートのおじさんが登場するところなんやけどな。今回は違います。ここで、一人二役の架空裁判劇になるねん。

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Y木:ん?

S原:自分が捕まった後を妄想して、検事と会話をする。「当日の、奥様の様子はどうでしたか?」「当日、彼女は生きていました」「あなたが帰宅したのは?」「12時6分です」「おかしいでしょう? 普通は12時ごろと、言わないかね?」という感じ。で、だんだんと検事の追及が厳しくなって、自分が不正していることがばれてしまう。・・・ここで、現実に戻る。主人公はまだ妻を殺しておらず、頭の中でシュミレーションをしているところやったのよ。

Y木:そういうことか。

S原:この映画では、主人公が完全犯罪について想像したり計画・実行するところが、映像化されてるねん。さらに、主人公の愛人が出てきて、3人ともがそれぞれ思惑があって動くから面白くなっていく。後半になると、いま観客が観ているドラマが主人公の頭の中なのか、現実のことなのか分からなくなる……このへんは上手いよ。

Y木:普通に面白そうやな。

S原:うん、これ面白いです。昔のよくあるテレビムービーの1本と言えば、その通りやけど、今観ても十分に面白かった。ただ、ちょっと不満もある。これは3人のみの舞台劇風やねん。なので、役者の演技は堪能できるんやけどな。一方で、セリフでなにもかも話してしまう。殺人の予行演習やったり、想像して取りやめる話やから、仕方ないねんけど、「映像で見せる」上手さは、あまりなかったかな。

 

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Y木:「自分が犯罪をして、それを責めているのも自分」というのは、良心の呵責なんやろ?

S原:そういう意図もあるみたいやけど、ぼくはあんまり感じんかったな。なんというか、すごい自分勝手な主人公やし、良心というよりも、自分の犯罪がばれたらどうしよう?という恐れちゃうかな。

Y木:一人二役か。ホプキンスはやりがいがあったやろうな。

S原:役者なら、この役は演じたいと思うはず。ホプキンスのファンなら、観て損はないと思うで。

Y木:最後は?……言えないかな。

S原:言うのはマナー違反やろうな。どんでん返し風に終わるけど、なかなか上手いと思う。途中でも言ったけど、観終わると「うん? あそこって変じゃない?」って思うねんけどな。というか、映画の大半は主人公の頭の中やから(笑) まあ異色作かもな。

 

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S原:というわけで、みなさん。「コロンボ」シリーズが大好物な人、むかしのテレビムービーに抵抗がない人は十分に楽しめます。なんとなく、こういう感じのドラマが減りましたが、見直されても良いと思うんですけどね。機会があれば、観てみてください~!