あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「インビテーション」 (2015)の巻

Invitation DVD

S原:みよ、このパッケージを埋めつくす文字だらけのデザインを!

Y木:よっぽど賞をとったことが嬉しかったんやな(笑)

(あらすじ)

ウィルとイーデンはある事故が原因で心の傷を負い立ち直れないまま別れてしまい、イーデンは消息不明となっていた。2年後、突然ウィルのもとにイーデンからディナーの招待状が届く。現在の恋人キーラと共にかつて自分が住んでいた邸宅に向かうウィル。到着すると、見違えるほどに陽気なイーデンと彼女の現在の恋人デヴィッドがふたりを温かく迎え入れてくれた。しかし、何かがおかしい。懐かしい元我が家に集った友人たちとの会話もどこか違和感がある。デヴィッドは執拗に玄関の鍵を内から閉めようとする。めったに時間に遅れることのない友人が現れない。不穏な緊張感の中、パーティーは予測不可能な展開を迎える―。

 

Y木:グランプリか。すごいやん。

S原:いや、他に出品した映画がなかったみたいよ。

Y木:適当なことを言うな。怒られるぞ。

S原:はじめに言っておくと、今回はネタバレ全開で話します。これから観る人は読まないでくださいませ。ネタバレしないと話が出来ないタイプの映画なので……

Y木:そうなんや。

S原:まずこの映画の良い点は、雰囲気がなかなかのもんやねん。そんなに親しくない人たちと食事することになって、ちょっと違和感があるような会話が噛み合わないような雰囲気ってあるやん?無難な会話をするにしても、お互いの距離感がつかめないままギクシャクするとか。「下ネタはどこまで言っていいんやろ?」とか悩むやん?

Y木:悩まへんわ。なんで親しくないひとに下ネタを言うねん。

S原:まあ、そういうぎこちないムードは良く出ている。ストーリーは上の通りやねん。主人公は恋人ともに車を運転している場面から映画は始まります。途中でコヨーテを轢いてしまいます。苦しませたくないので、息の根を止めます。主人公たちは、ある屋敷に着きます。じつは元妻にパーティーに招かれたのでした。パーティの出席者には、知らない人たちもいて変な空気が流れます。

Y木:出だしは、ええ感じやん。

S原:まあな。でも、この場面がとにかく長い。体感で2時間くらいに感じます。主人公は違和感を感じて、他の部屋で薬をみつけたり、途中で帰ろうとします。留守番電話に出席予定だった友人のメッセージを聞いたり、意味深に鏡をながめたりします。

Y木:あー伏線やろ。最初のコヨーテとかも伏線やろ?

S原:いや、べつに関係なかった。それだけ。

Y木:なんやねん。

S原:とにかく主人公たちが戸惑っている場面ばっかり続いて、それを見せられるだけ。これではちょっとなあ…

Y木:一応、なにかしらの展開はあるんやろ?

S原:あります。途中で「リアルに人が死ぬところ」を撮ったビデオをみせられます。

Y木:殺人のシーン?

S原:じゃなくて病死の人の最期やねん。で、「この人は死んだけど、幸せだった」「悲しみは乗り越えられる」という話を聞かされます。要するに、新興宗教というかカルト宗教の信者たちやったわけ。

Y木:あーなるほど。

S原:主人公たちにもトラウマがあって、ちょっとは心に刺さる瞬間もあるねんけど、「みんなで一緒に死にましょう」みたいな話になって気味悪くなって逃げることになります。

Y木:そりゃそうやろうな。

S原:カルトにハマっている元妻たちと主人公たちがもみ合います。銃でバンバンしちゃいます。体にも当たっちゃうゾ。あーすごく痛そうですなー。

Y木:適当にしゃべってるやろ。

S原:いやそれだけの映画やったで、ほんまに。一応、どんでん返しっぽいのはあるねん。命からがら主人公たちは屋敷の外に出ます。住宅街です。他の場所でも、同じようにカルト教団の殺人(心中?)が行われているようなことを示唆して、おしまい。

Y木:あー、それがやりたかったんかな。

S原:よくわからん。というかわかりたくもない(笑)結局、観客よりも先回りが出来ていないんやと思う。

Y木:先回り?

S原:こういうアイデア重視のシチュエーションスリラーなら、観客はいろいろと「裏側」を予想するやん?登場人物たちは、違和感なく行動しないといけないし、観客が予想することを説明したり、いい意味で裏切ったりしないとあかんとやん。

Y木:「観ている人の予想を上回る面白さ」やな。

S原:カルト教団がネタでもええねんけど、カルト=みんなで死にましょう、という設定もどうなんかな。ちょっと安易ちゃう?

Y木:まあな。落ちとしては弱いかもな。

S原:いくら雰囲気をつくっても、これではワクワク(最初10分)してガッカリ(残りの90分)やったわ。さーみなさま。低予算で頑張ったともいえますが、個人的にはやっぱり物足りなかったです。好きな人もいると思いますが、ここでネタバレしちゃったので申し訳ない。というわけで、今回の映画はわざわざ観なくても良いかと思います。ワゴンコーナーで見つけても、スルーをしてくださーい!