あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

観た後に誰かに話したくなる映画 10選!「血の祝祭日」(1963)の巻

S原:さあ、最後は1963年製作のスプラッターですよ。

Y木:ハーシェル・ゴードン・ルイス…どっかで聞いたことのある名前やな。

(あらすじ)

エジプト料理店を営む男ラムゼスは、古代エジプトの女神イシュタールの崇拝者だった。自らを高僧の生まれ変わりだと信じるラムゼスは、若い女性を惨殺してはその体の一部を神に捧げるという凶行を繰り返していく・・・

 

S原:これは、ネットによると「世界初のスプラッター映画」らしいわ。それだけでも、友達に言いたくなるやろ?

Y木:別にならんけどな。

S原:『現在もカルト的人気を誇る、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督による低予算ホラー。衝撃的な残酷シーンの連続に公開当時は各方面からバッシングを受けたものの、興行的には大成功を収めた』とのことらしい。

Y木:要するにチープなんやろ。

S原:イエース、その通り。というか、もうこれ以上ないくらいヒドイ出来やねん。

Y木:「ダメすぎて面白い」という楽しみ方も出来ないんか?

S原:出来ません(笑)ただ、スプラッター描写があるだけやったわ。

Y木:ストーリーはあるの?

S原:一応あります。刑事が2人でてきます。連続殺人事件を調査していますが、あまり上手くいっていません。この殺人事件が猟奇的なのはええねんけど、刑事の会話がこれ以上ないくらい説明そのものやねん。「これはヒドイ事件だぞ」「犯人の手がかりがつかめない」「どうしたらいいんだ」とか、こんなんばっかり。おまけに警察内の捜査部屋がコントみたいなセット。しかも場面転換ごとに、同じ刑事が事件について説明する親切すぎる演出です。

Y木:製作された時代……とは関係ないな(笑)それで?

S原:さて、エスニック料理店を営むラムゼスという男がいます。この男は古代エジプトのイシュタル神を崇拝しています。これもコントみたいな金の像です。だけど、このチープさは個人的には結構好きです。

Y木:楽しんでるやないか。

S原:ある日、客から「特別な料理が欲しい」と言う注文を受けます。彼は張り切って「エジプトの晩餐」という料理を作ることにします。なんと、それは古代儀式で、イシュタルを復活させるための儀式だったのです!

Y木:イシュタルって復活したらどうなるの?

S原:わかりません。

Y木:おいおい。

S原:たぶん、大変なことが起きると思います。

Y木:適当やなあ。

S原:そのラムゼスが、殺人事件の犯人やねん。若い女性を襲って四肢を切り落としたり眼球をとったり内臓を取り出したり、という場面が見どころです。

Y木:たしかにスプラッターやな。

S原:時代が時代やから、今のような直接的な表現ではないねんけどな。それでも、結構なキツイ描写やと思う。臓物や血をリアルに映していく場面はともかく、さっきも言ったけど、それ以外の場面がもう本当にひどいです。

Y木:演出がヒドイってこと?

S原:全部です(笑)演出、カメラ(ほとんど固定)、俳優の演技(棒立ち・棒読み)、変な音楽。出汁をいれずに、美味しくない食材たっぷりで作った濃厚スープって感じやな。

Y木:そんなスープ、嫌やなー。

S原:でも、ここまでいくと「味」になる……かもしれない、とは言い切れなくもないですよ、あなた!

Y木:結局、どっちやねん。

S原:あー今ふと思い出したけど、昔、美味しくないランチを出す喫茶店に行ったことがあるのよ。ぼくは、大抵の食べ物は美味しいと感じる味音痴の男やねんけど(本当)、その店は微妙やった。「もしかして、ぼくの食べた定食は失敗したんやろか?」「たまたま味付けを間違ったんかな?」って。それがどうしても忘れられなくて1週間後にもう1回行ったのよ。

Y木:どうやったの?

S原:やっぱり美味しくなかった(苦笑)まあ、この映画もそういうもんやろうな。映画自体の出来はともかく、とにかく印象に残ってしまうという。

Y木:そういうのが「カルト」って呼ばれるんやろ。

S原:そうなんかもなあ。でも、もう一回観る気はしません。

Y木:ラストは?

S原:刑事は犯人を追いかけます。犯人は足を怪我してゆっくりと逃げます。刑事2人は全力で追いかけます。いつのまにか仮面ライダーの怪人が爆破される造成地で追いかけっこをしています。何故かは分かりませんが、いつまでも追いつきません。やる気のない追いかけっこが続くシュールな場面が続きます。犯人は、ゴミ清掃車の中に逃げ込みます。走り去るゴミ収集車。嗚呼、ついに犯人は逃走してしまうのでしょうか?ところが、ここで大変なことが起きてしまいます。なんということでしょう、運転手は、ゴミ圧縮装置のスイッチを押してしまうのです。「ビボッとな」と!

Y木:タツノコプロか。

S原:犯人はゴミとともに巻き込まれて、血のりがダラダラ~。

Y木:悪趣味やなー。いや、そういう映画やけど。

S原:刑事が、ゴミ清掃員に向かって「感謝するぜ。街のゴミを始末してくれたんだからな。HAHAHA!」と英国ジョークを言います。そして、刑事の1人がこの事件のあらすじをもう一度丁寧に語ります。今まで観てきた内容なので、観ているほうは全然驚きません。

Y木:……その場面、要らんやろ。

S原:刑事2人は、一仕事終えた感たっぷりでタバコに火をつけます。犯人の遺体は放置したまま、「さあ帰ろう」。おしまい。

Y木:最低な刑事やな。というか、ゴミ清掃員の人も迷惑やがな。

S原:さあ、みなさん。ほとんど内容のない映画ですが、せっかくの休日なのになんとなくダラダラしてしまうという日がありますよね。「あーせめて映画1本くらいみてもよかったかなあ」って後悔するような日に選ぶなら、この映画ですよ!さあ、あなたの貴重な時間を無駄にしないためにも、このDVDをゲット&ウォッチしてくださいませ~!

Y木:いや、こんな映画を観るのも時間の無駄やって。