あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

アイデアで勝負!な映画たち「ウソ発見器-YES or NO 生死を賭けた選択-」(2013)の巻

f:id:talksessionyands:20210815102000p:plain

 

S原:今回は「ウソ発見器にかけられて、ウソをついたら殺される」というアイデアですよ。

Y木:B級テイスト満載の設定やなー。

(あらすじ)

嘘発見器を使う殺人鬼の恐怖を描いたサスペンススリラー。スーパーマーケットで椅子に縛られた男。顔に向けて銃が固定されており、体には嘘発見器が取り付けられている。謎の男からの質問に嘘を吐けば命はない。質問が進むにつれ、遂に針が振れて…。

 

S原:うーん、この映画はなー…

Y木:また、そんな感想かいな。

S原:これって、ワンアイデアを楽しむ 映画やん。

Y木:それでええやん。

S原:映画が始まってすぐにこの場面(上のあらすじ)になるねんけどな。そのあとが、どうもなー。

Y木:ウソ発見器の場面が良く分からんけど。

S原:はじめの場面を説明すると、椅子にくくりつけられた男がいます。深夜のスーパーマーケットで他には誰もいません。目の前にはショットガンがあります。店内のマイクで誰かが話をします。『ウソ発見器がついていている。おまえが、ウソをついたらショットガンから弾が出る仕組みだ。だから嘘を言わずに真実だけを述べろ!』と脅されるわけ。

Y木:なるほど。

S原:それで、はじめは「おまえの名前は?」「妻の名前は?」という簡単な質問やけど、そのうち「浮気をしているか?」という返答できない質問になる。

Y木:どうぜ浮気してるんやろ。別に「してます」と返答すればええやん。

S原:ところが、いつのまにか自分の妻が、近くに縛り付けられてそれを見ています。さあ、浮気のことを言うのか?言わなければ殺されるというが本当か?というのがオープニングやな。

Y木:どうなるの?

S原:浮気していることを告白します。そのあと「妻を愛しているか?」という質問に対して「愛している」と返答したときに、ショットガン発射!男は死にます。

Y木:えーと、ちょっと待って。ウソ発見器はええねんけど、妻を愛しているかどうかなんて、本人しかわからんことやん。なんで、ウソやと『判定』できるの?

S原:そうやねんなー。いきなり設定がおかしいやろ?(苦笑)要するに、犯人が勝手に決めてるだけやねん。

Y木:ウソ発見器の扱いそのものが、グラついてるんかいな。この時点でもうあかんやん。

S原:百歩譲ってウソ発見器関連のネタは、多少ブレていてもええと思う。問題は、このあとにウソ発見器があんまり関係ない展開になるねのよ。

Y木:えー、なにそれ?

S原:ちょっとは出てくるねんけどな。結局、連続殺人事件だとわかって、それを追う刑事が主人公。小さな手掛かりから段々と犯人を追いつけめていく……という展開になるはずなんやけど、どうもスローと言うかメリハリがなくて底屈やねん。主人公もあんまり頭が良くなくて、犯人の人物像をプロファイリングしてもらうために、昔の恋人(プロファイラー)にニューヨークまで会いに行く。今の恋人(妊娠中)に「なんで、わざわざ昔の恋人に会いに行くの?世界中で、プロファイリング出来る人はその人だけなの?」と問い詰められる。その通りやと思います(笑)

Y木:要するに、骨格は刑事ものなんやな。

S原:うん。あと「セブン」(1995)のテイストも足しています。

Y木:7つの大罪

S原:いや今回は十戒やった。しかも10人も殺さへんし途中でどうでもよくなるし(笑)どっちにせよ肝心のウソ発見器が、メインストーリーとあんまり関係のないまま話が進むから、ちょっとイライラする。「いつウソ発見器はいつでてくるねん?」って。

Y木:最後は、当然主人公がウソ発見器にかけられるんやろ?

S原:いいえ。そんな場面はありません。結局は、昔の恋人が犯人。理由は、いまの幸せそうに生きている主人公への嫉妬やな。しかもネチネチと主人公を問い詰める場面が長い。

Y木:でも昔の恋人が犯人なら、最初のスーパーマーケットのウソ発見器の殺人なんか、関係ないんとちゃうの?

S原:ありません。このほかに2~3の殺人事件が起きるねんけど、これも意味ありません。

Y木:適当やな。

S原:メチャクチャ適当です。

Y木:結局は面白くなかった、と。

S原:うーんそうやなあ。出来が悪いわけじゃ……いや、やっぱり変な映画やわ。どこかで観たような要素をパクッてるわりに、ウソ発見器のアイデアも生かし切れていないから、すべてにおいて中途半端になってしまったような気がする。要するに『ミステリーを作るときは辻褄を合わせましょう』という警告のような映画やな。

Y木:なんで、観客が警告されなあかんねん……

S原:さあみなさん。全然設定の整合性のない恐ろしいミステリー映画ですが、辻褄があえばいいってもんでもないですよ。よく考えれば、何から何まで成り立っていない映画ですが、これはこれで珍作としてちゃんと後世に残す必要があるんでしょうね。そんなわけで、珍作ミステリーが好きな人だけ、おススメしまーす。