S原:これは、マニアだけが知っているテッド・V・マイクルズ監督の『the Astro zombies (1968)』のリメイク(続編?)ですよ!
Y木:心の底からダメ映画ってわかるよなー。
(あらすじ)
怪人・殺人鬼アストロ・ゾンビが宇宙人によりクローン化された。
彼らは地球征服攻撃をする為、増殖したアストロ・ゾンビたちを放った!
住民は襲われ、街中大混乱に陥る。
その頃女スパイ・サタナは、偽アストロ・ゾンビを理由して、更なる犯罪を企んでいた
S原:正直に言います。今回は、お手上げです。
Y木:なにが?
S原:Z級映画なのはええねんけど、とにかく話がしにくい。というのは、内容がなさすぎるから(苦笑)
Y木:いつものことやん。
S原:いやー、この映画は度を越しています。なので、読者の皆さんは、写真で脳内補完してください。
Y木:適当やなー。まあ、どうせチープなんやろ?
S原:はい、チープです。まず地球制服を企んでいるトカゲ宇宙人がやってきます。トカゲたちは、手作りのマスクをかぶったゾンビ(?)を操って、人々を襲います。
Y木:それで?
S原:それだけです。
Y木:……(無表情)
S原:一応、アメリカの大統領とかが対策を考えるねんけどな。グズグズしているうちに、どんどん人が死んでいきます。ここでの下の写真をご覧ください。
Y木:なんか持ってるな。
S原:長い刀(包丁?)です。それで、ひとりずつ殺していきます。1人1殺主義がここでも提唱されています。
Y木:そういう風に使うな。各方面から怒られるぞ。
S原:あ、大統領の会議室に注目してください。
Y木:なんかしょぼいな。
S原:これはホワイトハウスの部屋なのですが、「他の部屋がいっぱいで、この部屋しかなかったんだ」という説明台詞があります。痒いところに手が届く設定です。
Y木:ひどいなあ。
Y木:これ、何しているの?
S原:よくわかりません。
Y木:……(無表情)
S原:あとは、えーとこれがボスだったと思います。
Y木:ボスくらい覚えておけよ。
S原:とにかく、この映画を観ているとすごく時間の流れがゆっくりに感じる。ぼくは、「あーそろそろ、この映画も終わりかな?」と思って、時計を観たら20分しかたってませんでした。時間の流れが一定でないという特殊相対性理論でしょうね。
Y木:違います。
S原:これが映画の出だしやけど、もうこれ以上は話できない。とても集中力が続かなかったから(苦笑) あ、いま思い出した! 斬新な演出もあるねんで。
Y木:斬新?
S原:ストーリーを補完する字幕が流れるねん。「〇〇は、✕✕のために、このような行動をした」とか、そんな感じ。
Y木:もう、映画演出の根本も崩してるやん。
S原:この通常の映画演出への確信犯的否定の精神は、ホドロフスキーの「ホーリーマウンテン」(1973)のラストへのオマージュやろうな。
Y木:絶対ちゃうやろ。ま、確かに「ホーリーマウンテン」のラストは呆気にとられたけどな……
Y木:別に聞きたくなけいけどな。一応聞くで。ラストはどうなるの?
S原:なんに脈絡もなく、3つ目の宇宙人がでてきます。それが、ゾンビやトカゲをやっつけます。大統領やアメリカ軍は全く関係なく、話はおわります。
Y木:……(無表情)
S原:というわけで、みなさん。エド・ウッドよりもエド・ウッドな珍品です。完全にエンターテイメントを目指しているのに、何故か自然な感じで演出とか作劇とか起承転結を大きく逸脱しています。みなさん、怖いもの見たさで、ぜひご覧くださいませ~!