S原:今回はなんともいえない気持ちになるこの映画!
Y木:感染パンデミック映画か。
(あらすじ)
鳥を媒介した突然変異のウィルスが中国で大発生した。伝染病の権威バーナック博士に報告が入るが、時既に遅く感染した男性が米国に入国していた…。感染は驚異的なスピードで全世界へと拡大する。成すすべもない米国政府を前に、人類滅亡へのカウントダウンが始まる。
S原:これはコロナがある前なら、普通のパニックB級映画に感じたと思う。でも、コロナ禍で世界中がメチャクチャになった後に観ると、なかなか辛いもんがある。
Y木:そうなんや。一応、鳥インフルエンザが題材やろ?
S原:うん。でも感染でパニックになるところは他人事とは思えない。というかコロナの状況にそっくり。それだけリアルに作ったんかもしれんけど。
Y木:あー専門家とかに聞いて脚本を作ったんかもな。
S原:いやほんまに気味悪いって。感染源は中国という設定やし……B級映画のくせに、こっちの心にグイグイ突き刺さります。くそーB級映画のくせに!
Y木:馬鹿にしてあげるな。で、映画としてはどうなん?
S原:真面目に作っています。
Y木:ほう。
S原:真面目過ぎて面白くないです。
Y木:あかんやん。
S原:というか何度も言うけど、これを「楽しむ」余裕はありません。本当に観ている間は、鳥インフルエンザがコロナに脳内変換されてしまうという…(苦笑)
Y木:ストーリー的にはサスペンスやろ?
S原:はい。王道です。中国広東省で鳥インフルエンザが発生します。近くで働いていた男が感染します。そのとことから次々に感染が広がります。中国はWHOに応援を頼みますが、封じ込めは失敗します。結局、感染したアメリカ人男が、やたらとハークション!とかゴホゴホ!とかするので、どんどん感染が拡大します。おまけに少年野球の試合に行って「イエーイ!」ってはしゃぎます。調子が悪いんやから、家で大人しくしてろっちゅーの!
Y木:まあな。
S原:そうこうしているうちに、全世界に感染が広がって…という展開になります。
Y木:それで?
S原:主人公たち(医師や科学者たち)が調査をしたら、かつてのスペイン風邪よりもひどく最終的に全世界で1億5千万~3億5千万の人が犠牲になるだとろうと分かる。ワクチンの開発・供給にも時間がかかる。ちょっとでも良い情報を言いたい政治家たちが、不確定なことを言って世界はますますパニックになっていきます。
Y木:コロナとそっくりやん。
S原:ここからも結構リアルなんやけど、ここから先に細かく言いません。興味のある人はぜひ観てくださいませ。
Y木:ラストはウイルスをやっつけておしまい?
S原:やっつけることが出来ません。新しいウイルスがでた可能性があるので、アンゴラの村に調査に行きます。到着するとすでに全滅です。呆然とする主人公たち。そのあいだにも、どんどん感染が広がることを示唆しておしまいです。
Y木:うわー……救いのないラストやな。
S原:ハリウッドなら、良い感じで終わりそうなんやけどな。「アウトブレイク」(1995)でも救いのあるラストやったやろ。でも、この映画は一味違う。ほかにも印象に残る場面があるで。軍がワクチンの輸送をするとか、その輸送車をゲリラが襲う場面とか、死者はゴミ処理のような場所で「処分」される場面とか。
Y木:なんか生々しいなあ…
S原:ほんまに気分は滅入るで。
Y木:今回は、B級なれど一味違うみたいやな。
S原:イエース!さあ、みなさん。映画好きの我々にとってもコロナの影響は大きく、気分が暗くなりますが、いつか落ち着く日が来ることを信じて、いまは耐えましょう!映画自体は大したことなしですが、感染パンデミックストーリーに興味がある人にはおススメです。コロナのことは少しでも忘れて気分転換したい、という人はスルーしてくださーい!いつか、この映画を観ても笑い飛ばせるように日が来ますように‼