あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

便乗映画特集!アイ・アム・レジェンドでなくて「ラスト・レジェンド」(2008)の巻

ラスト・レジェンド [DVD]

S原:今回の便乗映画はこちら!

Y木:また、こんな映画か。

(あらすじ)

新種天然痘ウィルスによるバイオ・テロが発生し、わずか3週間で人類は滅亡した。荒廃した世界とミュータントと化した感染者の群れのなか、たった1人免疫を持っていたライオネル・バーニーは非情な戦闘マシーンとなってミュータントを虐殺して地球浄化を目指す。メアリー・シェリー原作のSFの古典「最後の人間」を現代的解釈で映画化したSF・サバイバル・アクション大作。

 

S原:これは、ウィル・スミスの「アイ・アム・レジェンド」(2007)そのものやった。ところが、別の原作がちゃんとある。「フランケンシュタイン」で有名なメアリー・シェリー原作のSFの古典「最後の人間」という小説らしい。

Y木:へえ。

S原:でもまあ、そんな情報がどうでもよくなるくらいに、ヒドイ出来やったけどな(笑)

Y木:やっぱり。

S原:物語って起承転結があるやろ。いまだに定石として使われるのは、やっぱりそれが一種の完成形やからやと思うねん。ブルースのコード進行も定型やけど、かっこいい曲はいっぱいある。あれと一緒やな。

Y木:この映画でも起承転結で作られてるわけ?

S原:いや、まったく逆。なんと、この映画では起承転結の「起」しかない。

Y木:えー。

S原:ほんまやねんって。百歩譲って、起→承、までやな。要するに、人類の99.9%が死んでしまう殺人ウイルスが蔓延する。主人公は、抗体があるので感染しない。主人公は町を放浪する。周りはゾンビだらけで、襲ってくる。話は、これだけやねん。

Y木:それは設定を説明してるだけやん。

S原:うん。しかもこれ121分もある。長かったわー(苦笑)最後まで観た自分をほめてあげたい。

Y木:有森裕子か。DVDのジャケットを観ても、ダメ映画臭さが、爆発してるけどな。

S原:あーそうそう言い忘れてた。このジャケットにでてくる男は出てきません。

Y木:また、そんな詐欺か。また、主役じゃなくちょっと出てくる脇役なんやろ?

S原:いーえ、脇役でもでません。主演は、さえない小太りの男です。正々堂々とした立派な詐欺です。ここまでくると「あー、不味い!」と言い切った青汁のCMみたいな清々しさを感じるよな。

Y木:あれは健康食品。詐欺とはちゃうやろ。

S原:それにしても、感心したのは、こんな映画でも、他の人はちゃんとレビューを書いてることやな(笑)そして、みんなが突っ込むのはCGのチープさやな。

Y木:まあ…予算がないからな。

S原:ぼくはOKやったけどな。他のZ級映画でも、大抵CGはチャチやから、それは耐えれるねん。

Y木:もう耐性が出来てるんや(苦笑)

S原:中途半端に出来が良いよりもいっそ覚悟が決まるで。

Y木:人生に不必要な覚悟やけどな。ストーリーは、ほんまに生き残った男がさまようだけの映画?

S原:うん。まわりはゾンビみたいになっているから、主人公は殺しまくる。この世界を浄化してやる!って。

Y木:なんか、それってどうなんやろ。

S原:頭の悪そうな白人のメタボ男が、自分勝手に暴れてるだけ。かってに金持ちの大邸宅に入って、「一度、これがやりたかったぜ」と、ふかふかのベッドでゴロゴロする。

Y木:幼稚か。まあ要するに、ゾンビとの戦いを延々と描くわけやな。

S原:うん。でも、感染者の設定もブレブレやねん。はじめはゾンビが襲ってくるだけやったのに、そのうち普通にしゃべるゾンビもでてくる。主人公と会話するねんで(笑)それから、「感染してもほとんど人間」という奴らもでてくる。

Y木:ただの病気やん。

S原:そんな世界なので、なんとか感染者たちは、自分たちで必死でルールを作り生き延びようとする。小さなコミューンみたいなところで、地味に暮らしてます。そこに主人公が勝手に乗り込んできて、「おれこそが正義!」「おれだけが生き延びればいい!」「やつらは殺して地球をクリーンにする!」と、とにかく勝手に感染者たちを殺しまくる。感染者が命乞いしても、問答無用で射殺!

Y木:ひどいな。

S原:しかも、感染者たちを殺した後に、壁にプレーで落書きをします。「悪魔参上!」(笑)

Y木:昔の不良か。

S原:おまけに食糧不足のはずやのに、映画の最後までメタボのまま。だって金持ちの冷蔵庫から高級食材を盗んで食べてるから。高級ウイスキーを飲んで酔っ払って、高級車にのって「イエーイ!」「最高だぜ~!」「盗んだバイクで走りだす~♪」

Y木:尾崎豊か。

S原:ものすごい自分勝手で、ハッキリ言って感情移入なんかできません。いろいろあって、主人公は死んだと思っていた妻を見つけます。妻はすでに感染者です。ゾンビ化はしておらず、意識はしっかりとしています。主人公は「一緒に生きよう」と説得します。

Y木:妻は?

S原:「いやよ。散々、私たちの仲間(感染者)を殺したくせに!」ってディスられます。痛いところを突かれた主人公は逆ギレします。

Y木:ほんまに最悪なヤツやな。

S原:いろいろあって、最後は主人公は感染者たちと戦います。これがまた銃撃戦が長い。しかも、緊迫感ないから中年がサバイバルゲームをしてるだけにみえる。

Y木:ラストは?

S原:えーと、どんなんやったかな。たしか、自己反省して「ちょっとやりすぎたかもしれない」「あいつらだって生きているんだ」「(こういう残虐行為をしている)おれこそが悪魔なんだ」みたいなモノローグが流れる。

Y木:えー、いまさら?

S原:うん。でも反省したようにみせかけて、また高級車にのって「ヒャッホー!」って走り去っておしまい。

Y木:なんか、いちいち逆なでするよな。

S原:さあ、みなさま。これ以上は言うことがありません。「アイ・アム・オメガ」のほうが少しだけ良い出来のような気もしますが、まあ別に我々の人生には影響しませんよ。そういうことで、明日からもよろしく!

Y木:今回はすごい投げやりやなあ…