S原:今回は日本映画では珍しい昆虫パニックホラー!
Y木:へえ。
(あらすじ)
同じ地域で活動するガールスカウトの有志で行われる、毎年恒例の夏のキャンプ。リーダーの美和、百合子、淳子、真由美、由香、友子、晃子の7人に“スキップ”(活動に協力する大人)を務める百合子の父・真壁で構成されたチームが、閉鎖されたスキー場に現れる。夏の間は、絶好の貸切キャンプ地となるのだ。さっそくメンバー達は薪拾いや水汲みなど、キャンプファイアーの準備に取りかかる。薬草を探しに出掛けた晃子は、満開となって咲き誇るヤナギランの花を見つける。茂みを掻き分け、花に近づいていく。その時、虫の羽の音がして、晃子の耳元を何かがかすめた。それは殺傷力のある毒を持つ恐怖の蜂だった!
Y木:虫が襲ってくる映画って一時期流行ったよな。「スウォーム」(1978)とか。
S原:あれ、内容はイマイチやけどサントラがかっこええねんで。ジェリー・ゴールドスミスね。でも、いまでも細々と虫や動物が襲ってくる映画は作られてるから、それなりに需要があるんやろうな。
Y木:まあ、気持ち悪さと怖さがあってホラーとしては作りやすいんやろ。で、この映画はどうやったの?
S原:……………(微笑)
Y木:そういうことか。
S原:普段、B級映画とか観ていない人っておるやん?
Y木:おるな。
S原:小室圭さんとか。
Y木:おまえ、小室圭さんに恨みでもあるんか。
S原:例えば、そういう免疫のない人にやな。「B級映画ってどんなのですか?」って聞かれるとするやん?
Y木:聞かれへんけどな。
S原:そうしたときに、カバンからこのDVD取りだして、プレゼントしたらええと思う。
Y木:そんな機会のために普段からカバンにいれておくんかい。面倒やな。
S原:なんというか、この映画は本当にチープやねん。もちろんお金がないのが一番の原因やと思うけど、全然作り手に創意工夫を感じないのがちょっとなあ。
Y木:そのまんまってことか。
S原:そうそう。ほんまに上のあらすじだけやねん。それも、蜂に襲われる ⇒ 死ぬ ⇒ 生き残った女子たちが逃げる ⇒ そのなかの一人が蜂に襲われる ⇒ 死ぬ ⇒ 生き残った女子たちが逃げる ⇒ そのなかの一人が蜂に襲われる……の無限ループやねん。
Y木:なんとなく想像がつくなあ。というか、蜂の大群が襲ってくるんやろ?
S原:そういう場面は少ない。基本は一匹です。
Y木:え、一匹? それに刺されて死ぬんか。特別な毒素を持った蜂とか、そういう感じ?
S原:途中で集中力が切れたから説明があったかもしれんけど、たぶん普通の蜂やと思う。たしかに刺されたら死ぬこともあると思うけど、「即死」という設定ならもう少し説得力が欲しいです。
S原:あとは女子たちのオツムがなあ。
Y木:それはしゃーないやろ。
S原:こういう映画を観てるといろんな疑問がわくやん。それに上手く応えないと、「突っ込みポイント」になってしまうやろ。
Y木:疑問って例えば?
S原:例えば「なぜ、蜂がしつこく人間を襲うのか」「なぜ逃げても追いかけてくるのか」「なぜ全員が即死なのか」「なぜ女子たちは蜂から逃げる方法を考えないのか?」「うまく逃げる方法(蜂の動きを逆手にとる方法)はないのか?」「なぜ蜂に刺されないように、上着を着るとか肌を隠さないのか」「どこに行って何をすれば助かるのか」。こういうのがハッキリしないまま逃げ回るだけで、単調な演出やからすぐに飽きてしまう。
Y木:要するに下手なんやな。
S原:下手と言うかなんというか……ちょっとどう表現したらええかわからんけどな。蜂がチープなCGとか音声が良くないとかは、ぼくは平気やねん。そういうところに予算がかけられへんのは痛いほど分かるから。でも、この映画の企画を考えたときに、同じジャンルの映画を観てないんちゃうかなあ。ちゃんと長所短所を確認して、自分たちの映画作りに生かせばええのに……(ため息)
Y木:今回は厳しいな。
S原:スタッフキャストには申し訳ないけど、これを面白く感じる人は、ほぼいないと思う。昆虫パニックで怖さを出すのは難しいし、日本で蜂が襲ってくる映画を作った気概は称えます。でも、気概だけでは……。ということで、よほどのマニアのみ観てください!