あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ちょっと疲れてきた頃の続編映画を観る!「ホーム・アローン4」(2002)の巻

Home Alone 4 DVD

S原:いよいよ、今回で続編特集はラスト。最後にふさわしく「ホーム・アローン」シリーズですよ!

Y木:へえ、part4なんかあったんや。

(あらすじ)

大ヒットコメディ「ホーム・アローン」のシリーズ第4作として製作されたテレビムービー。クリスマス前のある日、ケビンのパパが恋人をつくって家を出て行ってしまう。パパの恋人ナタリーは大資産家で、ケビンはハイテク設備が整う彼女の豪邸でクリスマスを過ごすことに。しかも、クリスマスにはロイヤルファミリーの王子も来るのだという。ところが、ケビンの宿敵である悪党マーブたちが、王子の誘拐を企んで豪邸に忍び込んでくる。

 

S原:ついに……

Y木:え?

S原:ついに手に入れたぞ……

Y木:は?

S原:ついに…珍作中の珍作と言われている「ホーム・アローン4」を手に入れたぞ!これで…おれは…おれは……マニア(悪魔人間)だ!

Y木:うるさいわっ。

S原:いやー興奮して思わず永井豪デビルマンごっこをしてしまったわ。

Y木:ええ年して「ごっこ」とか言うな。しかも永井豪って。

S原:この映画はですねえ、珍作怪作マニアでは有名なのよ。あの「ホーム・アローン」シリーズの第4弾なのですよ、あなた!

Y木:これ、主演の子が交代してんやな。マコーレー・カルキン君やったけ?

S原:そうそう。大人になったらどんなにハンサムになるんだろうと思っていたら、スティーブ・ブシェミになってしまったという(笑)周りの大人に振り回されて人生がメチャクチャになってしまったみたい。

Y木:かわいそうに。

S原:で、この映画ですが……上手く説明する自信がないわ。

Y木:ん?

S原:すべてに違和感があるのよ。まず、主人公の顔が人形みたい。なんというか目が笑っていない蝋人形みたいな。というか、この映画にでてくる登場人物全員の目が笑っていない。これは怖いでー。「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)の隣人かと思ったわ。

Y木:あれは悪魔やろ。

S原:主人公は、兄と姉にいじめられてます。それはええねんけど、母は笑ってみてるだけ。そんなことってある?ふつう止めるやろ。

Y木:まあな。

S原:たぶん「全員が気が狂っている」という設定なんやろうな。筒井康隆の「虚構船団」みたいな。

Y木:そんなコメディ映画あるか。

S原:映画は、シリーズお決まりのクリスマスシーズンが舞台です。主人公の父親(ピーター)は、じつは家族とは別居中なのよ。新しい恋人(ナタリー)と一緒に暮らしてます。父親はあっさりと「離婚しよう。ナタリーと再婚するのさ」と妻に言います。ナタリーはすごい金持ちで、若い女体とお金に眼がくらんでいます。

Y木:最低な父親やな。

S原:で、主人公は父親のところに遊びに行きます。父親もナタリーも歓迎してくれます。主人公が訪ねていくと、父と恋人はチョメチョメ寸前です。

Y木:……これって、家族みんなで観る映画やろ?

S原:父親とナタリーが住んでいるのは、超ハイテクな屋敷やねん。ドアを開けるのも、いちいち「開けドア」と言わないと開きません。閉めるときは「閉まれドア」と言わないと閉まりません。

Y木:それ、かえって不便やん。

S原:執事と家政婦がおるねんけどな。この2人がすべて雑用をしています。ナタリーは、すごい広い部屋でおもちゃがたくさんある特別な部屋を用意してくれます。

Y木:(ナタリーにとっては)他人の子供やろ。ええ人やん。

S原:しかもテレビが超でかい。でも、分割で同じ画面が映るので目がクラクラします。さらにベッドは、原色でラブホテル用のダブルベッドです。

Y木:……もう一回言うけど、これって家族みんなで観る映画やろ?

S原:さあ朝食もすごいです。なんでもリクエストしていいと言われて「ほんとに?やったー!」と喜ぶ主人公。次の場面ででてきたのは、焦げたフレンチトーストです。

Y木:なんか意味があるの?

S原:普段、フレンチトーストが食べれないという設定なのか、アメリカでは金持ちはフレンチトーストを朝食で食べるという揶揄があるのか、全然わからん。そのあと、勝手に大音量でジェームス・ブラウンをかけて、主人公はノリノリで屋敷中をとびまわって遊びます。ものすごい大音量です。ムッとする執事。主人公は聞きます。「音楽がうるさい?」

Y木:そりゃ、うるさいやろ。というか、なんやねん、その場面は。

S原:こんな感じで、どうもピントがずれてるのよ。なんというか、とにかく不自然やねん。コメディのはずなんやけどなあ(苦笑)

Y木:そうなんや。

S原:だって一番まともなのは、ナタリーやもん。彼女は、主人公の父親と結婚するかもしれない。そうなれば主人公の義母になるから、なんとか主人公と上手くやろうと努力するのよ。たしかに金持ちで貧乏人の気持ちはわからんし、機械に頼っていてピント外れなことを言うけどな。でも悪意があるわけじゃなくて、根は悪い人じゃないねん。しかも、喘息持ちというか興奮すると過呼吸になる。

Y木:その過呼吸の設定も要るか?それはええとして、ホーム・アローンといえば、泥棒をやっつけるんやろ?

S原:今回は、ジャケットに写っている男女2人組。この女優の眉毛がやたらと動く。サンダーバードのパーカーかよ!

Y木:あれは人形やろ。

S原:この2人がハイテク屋敷に忍び込んでくるわけやな。これが悲しくなるくらい頭が悪い(笑)

Y木:ハイテク屋敷やから、簡単には入られへんやろ?

S原:いや正門から普通に入ってたで。

Y木:なんやねん。

S原:ホーム・アローンの面白さって、「どうやって泥棒をやっつけるか?」やろ。今回はすごいで。泥棒を風呂というかジャグジーにおびき寄せて、スイッチオン!全自動で水がブシャー!泥棒は水浸しです。そのまま水を出しつづけて、屋敷は水浸し。「タイタニック」のクライマックスみたいに水がドドドド!ここが一番、お金がかかっています。屋敷中が水浸しになっているのをみつけて、父親は激怒。ナタリーはショックで過呼吸を起こします。

Y木:えー……

S原:さんざん怒られた主人公は、自分が全部悪いのに「いままで一番最低なクリスマスだ」とつぶやきます。その翌日、父親は「大事な仕事なんだ」と主人公を放って仕事に行きます。

Y木:用事があるんなら、何故息子を呼んだんや。

S原:そうこうしているうちに、また泥棒2人組がやってきます。さあ、いよいよ子供と泥棒の対決です。

Y木:やっとか。というか、泥棒の目的は?金庫とか狙うの?

S原:この屋敷にロイヤルファミリーを招待する大事なイベントがあるねん。とくにナタリーにとっては、それがすごく大事なわけ。泥棒はロイヤルファミリーの子供(王子)を誘拐するために、この屋敷に忍び込もうとするのよ。それはまあええねんけど、一番メインのはずの泥棒との対決がなあ。ショボいのよなあ。

Y木:子供がみて、アハハと笑えばええんやろ。

S原:いや笑わんよ。だって、鉄製のナベを頭にゴツン!とか、食事を運ぶような小型エレベーターに頭が挟まってイタイイタイ!とか、2階から落ちてズドーン!とか、転んだあとにもう一人が落ちてきてウギャー!とか、そんなんばっかり(苦笑)

Y木:なんやねん。最後は泥棒をやっつけておしまいやろ。家族はどうなんの?

S原:あーラストシーンはすごいで。ロイヤルファミリーを迎えます。主人公の家族もいます。父親もナタリーもいます。屋敷の前に全員集合です。主人公の父親は、かっこよく言います。「ナタリー、やっぱり家族の元にもどるよ」ナタリーは驚きます。

Y木:そりゃ、おどろくやろ。

S原:「ぼくが本当に愛していたのは、妻なんだ」「君とのチョメチョメはすごく良かった。それを愛情と勘違いしてしまったようだ」

Y木:ゲスな父親やな。

S原:それを品位あるロイヤルファミリーの前で言い放つ神経がすごいよな。だって、いくら僕らがふざけてても、小室圭さんと眞子さんがおるところで下ネタは言わんやろ?

Y木:なんでその2人を引き合いにだすねん。

S原:しかも主人公は、ロイヤルファミリーの王子に対して「せっかくクリスマスだから、うちの実家においでよ」と勝手に誘います。無垢な王子は「楽しそうだね。いいよ」とあっさりと返事して主人公の実家に泊まることになります。

Y木:……なにそれ?

S原:ナタリーは、いままでロイヤルファミリーを迎えるために、綿密にお金もかけて計画をしたんやで?いくらなんでも可哀そうやろ。おまけにナタリーは、ショックのあまり過呼吸になってしまう。ものすごく苦しそうです。それをみて、執事が紙袋を渡します(過呼吸は空気を吸いすぎるから小さな袋を口にあてる)。ゼエゼエと苦しむナタリーをみて、「ざまあみろ」って感じでみんなでニッコリと笑顔です。(実際には言わない)

Y木:ニッコリちゃうやろ。

S原:最後は主人公がハイテク機械にむかって、「雪を降らせてくれ」と命令します。

Y木:おいおい、いくらハイテク屋敷やからって、雪は降らすことは出来ないやろうって。

S原:あーら不思議。雪がちゃんと降ります。主人公は意地悪そうにニヤリと笑って、おしまい。最後は主人公が『全知全能の神』になったということなんやろうな。

Y木:ちゃうわ。

S原:さあみなさま!これは久しぶりに珍作中の珍作でしたよ。こういう映画ひっそりとレンタル店の片隅に置いてるんですからね。B級映画の宇宙は果てしないですよ。さあ、あなたのビッグバンをみつけるために、宇宙への旅へレッツゴー!珍作映画好きの人はマストバイです!