S原:さあ今回は、ペニスに始まりペニスに終わるこのDVD!
Y木:ペニス……
(解説)
アイスランドの小さな港町フーサヴィークにある世界で唯一の“ペニス博物館"。
男性器の魅力に取りつかれた館主の“シッギ"が、40年間にわたり収集した哺乳類のペニスの標本が200点以上展示されている。巨大なマッコウクジラのものから、ハムスターの2mm以下のペニスの骨までー。そんなシッギ館主の死ぬ前に叶えたい夢、それは“ヒトのペニス"を展示すること!
候補は2本、アイスランドを代表する冒険家、90歳をこえたパゥットル・アラソン氏と、アメリカ、カリフォルニアに住むビジネスマン、トム・ミッチェル氏!
果たして、博物館の珍コレクションを完成させるのはどちらのペニスなのか?
Y木:題材がすごいな。エロとか性がテーマ?
S原:全く違います。ただただペニスを収集するだけ(笑)ジャズファンが、レアなレコードを蒐集したりするやん。あれに近いかな。
Y木:ペニス博物館かー。これ、ほんまに実在する博物館?
S原:はい。アイスランドにあります。壁一面にペニスが展示されています。これを観て感動するか失笑するかは、あなた次第!
Y木:どっちもせえへんと思う、だって興味ないもん。
S原:そりゃそうか(笑)でも、これは作品としてはなかなか面白い。とにかく、本人たちは大真面目やねん。ふざけたりせずに、ペニスについて語ったり、行動したりする。NHKで放送しても違和感ないと思う。
Y木:へえ。それにしても人のペニスを展示するのが夢か。世界にはいろんな人がおるんやなあ。
S原:うん。最後の一本というのは、「博物館に飾る最後の一本」=「人間のペニス」という意味やねん。それにふさわしいペニスを展示したいというわけです。じつは、自分のペニスを提供したいと申し出る男性が2名現れます。
Y木:どんな人?
S原:1人同郷のアイスランド人。色欲というのかドンファンというのか、約300人と関係を持った(ノートにメモしている)と豪語するパゥットル・アラソンさん。もう90歳過ぎたおじいさんです。もう1人は、アメリカ人。自身のペニスを「エルモ」と名付けているトム・ミッチェルさん。50歳くらいかな。
Y木:なんで、ペニスを寄贈したいの?
S原:2人ともいろんな理由をもっともらしく語ってるけど、よくわからん(笑)自己顕示なんやろうな。
Y木:でも、切り取るわけにいかんやろ?
S原:アラソンさんは、「もう年だからそのうち死ぬ。死後に遺体から切り取ってくれ」と同意書を書く。それはまあ理解できるんやけど、ミッチェルさんがすごい。なんと「生きているうちに、切り取っても良い」と申し出ます!
Y木:えー!
S原:ミッチェルさんは本気です。「博物館にふさわしいのは、エルモ(ペニス)なんだ」「ずっとぼくのエルモが飾られると思うと最高の気分さ」という旨を語り、ついにはペニス(先端部分)に、アメリカ国旗のタトゥーをいれます!
Y木:ぎょえー!
S原:理由がすごい。ペニス博物館に展示される人間のペニスは、アメリカ人のものだっていう誇りのため、です。
Y木:誇りって……それでどうするの?切り取るの?
S原:ミッチェルさんは本気です。手術の段取りもします。すごくテンションがあがっていて毎日2~3通のメール(文字がぎっしり)を館主に送ります。曰く「エルモのケースはこんな風にしてほしい」「エルモについては、こういう保管をしてほしい」「展示方法はこうしてほしい」
Y木:なるほど。自分のペニスを差しだすから納得した形で飾ってほしいんやな。
S原:その通り。でもペニス博物館の館長は困惑します。「展示方法はこっちが決めることだ」「むこうはペニスを提供してくれればよい」「こっちはこっちでペニスに対するポリシーがある」
Y木:なんというかコメントが出来ないけど…
S原:館長は次第に冷淡になっていきます。ついには「申し訳ないが多忙なんだよ」「きみの相手をしている時間はないんだ」とメール返信します。
Y木:セールスお断りみたいやな。
S原:やんわりと断られたミッチェルさんは寂しそうです。「せっかくタトゥーまでいれたのに」「ぼくのエルモのほうがふさわしいのに」と愚痴った後、「仕方がないよ。今度は、エルモをヒーローにした漫画を作るつもりなんだ。ペニスが活躍する漫画は、いままでになかっただろ?」と別の夢を(うれしそうに)語ります。
Y木:ヒーローがペニスの漫画……誰が読みたいんや。それはええとして、アメリカ人のペニス候補がダメなら、じゃあ、おじいさんの方のペニスを選ぶわけやな。
S原:こっちも問題が発生します。老齢でペニスが縮んでいくのです。
Y木:それはしゃあないやん。
S原:よくわからんけど、アイスランドでは「小さいペニス(12.5センチ未満?)は、ペニスじゃない」というルール(慣習?法律?)があるらしい。
Y木:なにそれ?そんなルールありー?
S原:アイスランドの有名な昔話が元になってるらしい。
Y木:ほんまかいな。で、結局はどうなるの?
S原:おじいさんは亡くなります。急いでペニスを切り離し、無事に展示されます。ついにやったな、と館主や友人たちは感無量に抱き合います。そして「最後の1本」を無事に展示したことで、博物館は完成。多くの人が正装して、お披露目パーティに出席します。厳粛なムードで、ついに人間のペニスが公開されます。「お~」という感嘆とも溜息ともとれるような声がします。
Y木:そこにいた人は、どんな気持ちやったんやろう…
S原:ここはモザイクはありませんが、別に観てもなんの感慨もなかったわ。
Y木:それが真っ当な反応ちゃう?
S原:なんとも不思議な作品やったわ。全体的にはちょっと薄味な感じもするけど、十分に楽しいで。
Y木:真面目に作ってるんかもしれんけど、観る気がしないなー。
S原:でもミックジャガーやったら、こう歌うと思うで。♪I know it’s only PENIS , but I like it, like it,yes, I do!(たかがペニスって分かってるさ、けど、好きなんだ!)
Y木:いや別に好きちゃうから(苦笑)