S原:今回はSFですよ。
Y木:あーよくある近未来アクションやな。
(あらすじ)
近未来、略奪や殺人を繰り返す身寄りのない子供たちは、武装ドローンを操る特殊部隊に命を狙われていた。彼らを率いる女性戦士のジェシカ(アオミ・ムヨック)は、少年を仲間に引き入れる。しかし少年は、特殊部隊の襲撃で亡くなり、ジェシカたちは隠れ家を特殊部隊に知られてしまう。
S原:例えば、中古店のワゴンコーナーでこれをみつけた人は、まずパッケージをみるやん?
Y木:うん。
S原:それで「おお、意外に面白いかも」と考えて、DVDの裏側を読むやん?
Y木:まあな。
S原:そうしたら、上のようなあらすじが書いてるから、「おお、これは女性がアクションするんやな」「SFディストピアが舞台やな」と考えてゲットするわけよ。
Y木:そうやろうな。
S原:で、実際に家に帰って観てみたら……
Y木:観てみたら?
S原:全然、ちがうのよーーーーー!!
Y木:だまされたおまえが悪いんやろ。
S原:これは、ちょっとあかんわー。というか、これDVDのジャケットデザインが詐欺やって。どう考えても、女ターミネーターみたいなアクションを期待するやん?
Y木:これ、アクション映画と違うんか?
S原:ちゃいます。
Y木:じゃあ、どんな映画なん?
S原:それは……そうですねえ……
Y木:おう。
S原:えーとですねえ……なんというか。
Y木:はよしゃべれ。
S原:ダラダラしている映画です!(キッパリ)
Y木:ダラダラ?
S原:ほんまにそれにか言いようがないねんって……(ため息)アクションどころか、登場人物たちの動き自体が少ないのよ。
Y木:よくわからん。ちゃんと説明してくれ。
S原:いや、この映画だけは説明する自信がない……とにかく登場人物たちが暗い顔で座っていたり、ボソボソと意味不明の台詞を話すだけ。たぶん、監督はシュール気味のSF的な作品を撮りたかったんやと思うけど、いくらなんでもこれはキツイ。
Y木:おまえの得意な「つっこみ」をしたらええやん。
S原:つっこみもしにくい映画なのよー……こういう映画が一番困るわ。とにかく映像重視で、全然つながっていない。おいおい調子が悪いときの実相寺昭雄かよ!
Y木:えらい奴を引き合いにだすなあ(苦笑)ストーリーは?
S原:よくわからん……主人公はジェシカという女性(たぶん)。どうも武装ドローンがたくさんいる世界(近未来?)で、子供たちが狙われている(らしい)ねん。で、ジェシカは、そんな子供たち(孤児たち?)を集めて訓練(生活?)をしている(らしい)。
Y木:らしい、が多くて分かりにくいぞ。どこで訓練してるの?
S原:そのへんの空き地です。
Y木:空き地って……ドローンがやってくるんとちゃうの?
S原:いや、なぜかそこにはやってきません。もちろんその説明はありませぬ。
Y木:適当やなあ。で、どこで生活してるの?
S原:どこかの住宅展示場の跡地です。
Y木:なんやねん、それ。
S原:ほんまに住宅展示場に見えるねんって。
Y木:まあええわ。で、映画はどうなるの?
S原:どうもなりません。
Y木:え?
S原:おしまい、です。
Y木:おいおい……
S原:ほんまやねんって! 一応、なんかウロウロしたり、変な軍隊みたいな連中とにらみ合ったりするねんけど、どの場面も単発で終わって、つながっていないから、編集がカクカクしてて、イライラするのよ。あーいま思い出した。このジェシカ役の女優(アオミ・ムヨック)は、怒った顔をするんやけどな。それが、もうすっごく意地悪な顔やねん。イケズそのもの! みたいな。
Y木:ほっておいてやれよ。
S原:いやーこんな女性と結婚してみ?それで浮気なんかしてみ? たぶん、ボールペンで脇腹を100回くらい刺されてしまうと思うわ。島耕作なんか出世する前に、嫉妬で殺されるで。
Y木:島耕作の出世なんかどうでもええわ。
S原:まあ、そういう映画やったよ。とにかく、監督(キャロリーヌ・ポッジとジョナタン・ヴィネル)は、キレイで凝った映像が好きみたいやけど、それは普通の場面があるから、演出として生きるの! 設定や場面やキャラとか、なにもかも凝ったことしたら誰もついていけいないの! わかった?
Y木:わかったわかった。
S原:はー疲れた。何度も言うけど、こういう映画が一番しんどいねん。ストーリーやキャラクターが理解できないと、そもそも映画についていかれへんやん? 野心的な演出なんかもしれんけど……いやー下手なだけやなあ(ため息)
Y木:製作費がなかったんちゃうの?
S原:たしかに安っぽい。でも、それは言い訳やで。もっと安い製作費で面白い映画を作る人もおるやん。「エル・マリアッチ」(1992)とか「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)とか引き合いに出すのは可哀そうかも、やけど。
Y木:ま、頑張ったけどダメ映画になってしまった、ってことでしょ。
S原:そうなんやろうな。でも、賭けてもええけど、この映画を観る人で、こういう内容/演出を期待して観る人は絶対におらん。どう考えても売り方を間違っている。
Y木:わざとちゃうの? どうせ、こんなんちゃんと観てる人おらんやろってノリやろ。
S原:そうなんかなー。これ、日本語吹替も収録されてるねんで。声優たちはどんな気持ちで吹替したたんやろ。声優の皆さん、ちょっと連絡くださーい!
Y木:やめろ、しまいに怒られるぞ。
S原:というわけで、学生自主製作にありがちな「頭でっかちな映画」になっています。どうしても下らない映画を観てみたい!というマニアのみゲットしてください。いやはや、本当に退屈な映画だったでございます!