あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

女の子が大暴れ!「ジェシカ」(2018)の巻

ジェシカ [DVD]

S原:今回はSFですよ。

Y木:あーよくある近未来アクションやな。

(あらすじ)

近未来、略奪や殺人を繰り返す身寄りのない子供たちは、武装ドローンを操る特殊部隊に命を狙われていた。彼らを率いる女性戦士のジェシカ(アオミ・ムヨック)は、少年を仲間に引き入れる。しかし少年は、特殊部隊の襲撃で亡くなり、ジェシカたちは隠れ家を特殊部隊に知られてしまう。

 

S原:例えば、中古店のワゴンコーナーでこれをみつけた人は、まずパッケージをみるやん?

Y木:うん。

S原:それで「おお、意外に面白いかも」と考えて、DVDの裏側を読むやん?

Y木:まあな。

S原:そうしたら、上のようなあらすじが書いてるから、「おお、これは女性がアクションするんやな」「SFディストピアが舞台やな」と考えてゲットするわけよ。

Y木:そうやろうな。

S原:で、実際に家に帰って観てみたら……

Y木:観てみたら?

S原:全然、ちがうのよーーーーー!!

Y木:だまされたおまえが悪いんやろ。

S原:これは、ちょっとあかんわー。というか、これDVDのジャケットデザインが詐欺やって。どう考えても、女ターミネーターみたいなアクションを期待するやん? 

Y木:これ、アクション映画と違うんか?

S原:ちゃいます。

Y木:じゃあ、どんな映画なん?

S原:それは……そうですねえ……

Y木:おう。

S原:えーとですねえ……なんというか。

Y木:はよしゃべれ。

S原:ダラダラしている映画です!(キッパリ)

Y木:ダラダラ?

S原:ほんまにそれにか言いようがないねんって……(ため息)アクションどころか、登場人物たちの動き自体が少ないのよ。

Y木:よくわからん。ちゃんと説明してくれ。

S原:いや、この映画だけは説明する自信がない……とにかく登場人物たちが暗い顔で座っていたり、ボソボソと意味不明の台詞を話すだけ。たぶん、監督はシュール気味のSF的な作品を撮りたかったんやと思うけど、いくらなんでもこれはキツイ。

Y木:おまえの得意な「つっこみ」をしたらええやん。

S原:つっこみもしにくい映画なのよー……こういう映画が一番困るわ。とにかく映像重視で、全然つながっていない。おいおい調子が悪いときの実相寺昭雄かよ!

Y木:えらい奴を引き合いにだすなあ(苦笑)ストーリーは?

S原:よくわからん……主人公はジェシカという女性(たぶん)。どうも武装ドローンがたくさんいる世界(近未来?)で、子供たちが狙われている(らしい)ねん。で、ジェシカは、そんな子供たち(孤児たち?)を集めて訓練(生活?)をしている(らしい)。

Y木:らしい、が多くて分かりにくいぞ。どこで訓練してるの?

S原:そのへんの空き地です。

Y木:空き地って……ドローンがやってくるんとちゃうの?

S原:いや、なぜかそこにはやってきません。もちろんその説明はありませぬ。

Y木:適当やなあ。で、どこで生活してるの?

S原:どこかの住宅展示場の跡地です。

Y木:なんやねん、それ。

S原:ほんまに住宅展示場に見えるねんって。

Y木:まあええわ。で、映画はどうなるの?

S原:どうもなりません。

Y木:え?

S原:おしまい、です。

Y木:おいおい……

S原:ほんまやねんって! 一応、なんかウロウロしたり、変な軍隊みたいな連中とにらみ合ったりするねんけど、どの場面も単発で終わって、つながっていないから、編集がカクカクしてて、イライラするのよ。あーいま思い出した。このジェシカ役の女優(アオミ・ムヨック)は、怒った顔をするんやけどな。それが、もうすっごく意地悪な顔やねん。イケズそのもの! みたいな。

Y木:ほっておいてやれよ。

S原:いやーこんな女性と結婚してみ?それで浮気なんかしてみ? たぶん、ボールペンで脇腹を100回くらい刺されてしまうと思うわ。島耕作なんか出世する前に、嫉妬で殺されるで。

Y木:島耕作の出世なんかどうでもええわ。

S原:まあ、そういう映画やったよ。とにかく、監督(キャロリーヌ・ポッジとジョナタン・ヴィネル)は、キレイで凝った映像が好きみたいやけど、それは普通の場面があるから、演出として生きるの! 設定や場面やキャラとか、なにもかも凝ったことしたら誰もついていけいないの! わかった?

Y木:わかったわかった。

S原:はー疲れた。何度も言うけど、こういう映画が一番しんどいねん。ストーリーやキャラクターが理解できないと、そもそも映画についていかれへんやん? 野心的な演出なんかもしれんけど……いやー下手なだけやなあ(ため息)

Y木:製作費がなかったんちゃうの?

S原:たしかに安っぽい。でも、それは言い訳やで。もっと安い製作費で面白い映画を作る人もおるやん。「エル・マリアッチ」(1992)とか「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)とか引き合いに出すのは可哀そうかも、やけど。

Y木:ま、頑張ったけどダメ映画になってしまった、ってことでしょ。

S原:そうなんやろうな。でも、賭けてもええけど、この映画を観る人で、こういう内容/演出を期待して観る人は絶対におらん。どう考えても売り方を間違っている。

Y木:わざとちゃうの? どうせ、こんなんちゃんと観てる人おらんやろってノリやろ。

S原:そうなんかなー。これ、日本語吹替も収録されてるねんで。声優たちはどんな気持ちで吹替したたんやろ。声優の皆さん、ちょっと連絡くださーい!

Y木:やめろ、しまいに怒られるぞ。

S原:というわけで、学生自主製作にありがちな「頭でっかちな映画」になっています。どうしても下らない映画を観てみたい!というマニアのみゲットしてください。いやはや、本当に退屈な映画だったでございます!