S原&Y木:はい、どうも。ワゴンイッチマンです。よろしくお願いいたします。
Y木:いやあ、世の中に興奮することってあると思うんですけど。
S原:あるね。
Y木:なんといっても、興奮するのは、中古DVD屋さんに行ったときだな。
S原:間違いないね。
Y木:あーここ、中古のDVD屋さんか。いつの間にか出来てたんだ。なんか興奮してきた。入ろうっと。ウイーン。
S原:あのう、お客さん。すいません。
Y木:え?
S原:ここ、違法アダルトは置いてないんですよー。
Y木:いきなりだな!違法なアダルトなんか探してないわ!客に向かって失礼だろ。
S原:じゃあ、獣姦とか、そっち系ですか?
Y木:獣姦なんか観るか!というか獣姦DVDなんか、この世の中にあるの?マニアックスすぎるでしょ。いや、違う違う。なんか映画を観たくなって、ちょっと寄ったのよ。なんか良い映画、あるかなーって。
S原:良い映画ですか。
Y木:うん、そうそう。
S原:良い映画………お客さん、良い映画かどうかは、観た人それぞれが評価するもんなんじゃないでしょうか?
Y木:確かにな!確かにそう!観た人がそれぞれ判断すればいいもんな。
S原:はい。
Y木:でも、なんかあるでしょ。普段、あんまり映画観ないから、あんまり詳しくないんだよね。おススメとかない?
S原:おススメっすか。じゃあ、これ。
Y木:おーなんか良い感じかも。なにこれ、赤い服を着た女性がジャケットか。「ピンク・フラミンゴ」(1972)?
S原:それ、おすすめっすよ。
Y木:へえ、どんな映画?
S原:犬のウ〇コを食べる映画っす。
Y木:やめろ!みたくないわ。
S原:ちょっとお気に召しませんでした?
Y木:お気に召しませんわ、そんな映画。もっと普通の映画あるだろ?
S原:そうっすね。あーこれこれ。これがいいんじゃないですかね。
Y木:へえ。SFか。
S原:ちょっと昔の映画なんすけどね。
Y木:「フラッシュ・ゴードン」(1980)?あー、これ知ってるかも。あれでしょ、クイーンが主題歌を歌ってたヤツ。意外に面白いって聞くわ。
S原:いや、「フレッシュ・ゴードン」(1978)です。じつは、こっちのほうが先なんですよ。
Y木:え、先に作ってるの?じゃあ、オリジナルじゃん。えーそうなんだ。どんな映画?
S原:洋物のポルノです。
Y木:ポルノかよ!ポルノなんか観たくないわ。
S原:お客さん、ポルノと一口に言いますが、意外に良い感動する場面もあるんすよ。
Y木:本当?感動、これが?
S原:はい。なんかペニス型のロケットがビューンって飛んでいくんすよ。そこなんか、もう感動しちゃって……
Y木:どこが感動するんだよ!
S原:あーあと、股間にドリルがついかロボットとかも出来てきます。その場面も、もう観ていると涙がでてきちゃって……
Y木:おまえ、病院行った方がいいぞ。あーそうそう、有名なスターが出てる映画とかあるでしょ。おれ、スタローン好きなのよ。「ロッキー」とか「ランボー」もシリーズ全作観たしなー。スタローンの映画で他にない?
S原:じゃ、これはどうですか?
Y木:「ザ・イタリアン・スタローン」(1970)?売れていない頃かな。アクション映画?
S原:いえ、洋物ポルノです。
Y木:おまえ、どうしても俺にポルノをみせたいんだな!
S原:お客さん、ここだけの話なんすけどね。
Y木:は?
S原:スタローンって……(小声で)仮性包茎なんすよ。
Y木:知りたくねえよ、そんな人生に役に立たない情報!もういいわ。ポルノというよりもさ、そうだな。ラブコメというか青春ものない?ちょっとそういう気分なんだよね。
S原:あーありますよ。「好き?好き?Kissして!」(2006)っていう映画なんすけどね。これなんか、根強い人気ですよ。
Y木:へえ、タイトルから察するにラブコメだな。どんな話?
S原:ずっとチョメチョメしてます。
Y木:おいおい。
S原:だって、アダルトビデオですから。
Y木:AVかよ!出してくるなよ、こんなもん!
S原:お客さん。
Y木:は?
S原:これ、白石ひとみ主演ですよ。
Y木:白石ひとみって!古いな、おい!せめて今のAVを出せよ。なんで90年代のAVをおススメするんだよ。
S原:いや、お客さん、お好きかな、と。
Y木:……まあ、そりゃキライじゃないけどね。
S原:ふふふ(笑)
Y木:まあ、男だから…な…(笑)
S原:ちょっと何言ってるかわからない。
Y木:なんで、わからないんだよ!おまえがエロなDVDばっかり出してくるから、こうなってるんだろ。
S原:はあ、すいません。
Y木:もういいよ。じゃ、これ白石ひとみのDVD、買うわ。
S原:え、買うんですか?
Y木:買うよ。
S原:お小遣いもすくないのに……止めたほうがいいんじゃないですか?
Y木:ほっておいてくれ!というか、おまえがおススメしたから買う気になったんだろ!
S原:わかりました。300円です。
Y木:はい、300円ね。
S原:いまキャンペーンをやってまして。
Y木:おう。
S原:300円を支払ってもらえますと、100円をお返しできます。
Y木:はじめから200円で売れよ!なんなんだ、もう。じゃあ、ありがと。帰るわ。
S原:あの、お客さん。じつはもうひとつキャンペーンで、お渡しするものがありまして。
Y木:あーそう。なに?
S原:レシートをお渡ししてます。
Y木:キャンペーンじゃなくても渡せよ!というか、ここはサンドイッチマンそっくりのやりとりなんだな!変なところだけ忠実だな。
S原:あーそうそう、DVDのキープとかしておきます?
Y木:キープ?
S原:ほら、こうやって、名前を書いて棚に飾っておけるんすよ。
Y木:場末のスナックか!なんなんだ、キープって。
S原:さっきの「ザ・イタリアン・スタローン」をキープしておいて、店に来るたびにパッケージをながめてもらえれば。
Y木:なんなんだ、そのキープのシステムは!もういいわ。帰るよ。
S原:ありがとうございました。
Y木:おう。
S原:あのう。
Y木:まだ、あるんか。
S原:よかったら、白石ひとみのDVDの感想をまた聞かせてください。
Y木:なんで、おまえに感想言わないといけないんだよ。
S原:いやー、だってそれは元は自分のお気に入りのDVDだったんで。
Y木:やめろ、自分のAVを売るな!今日、どういう気持ちでこのDVDを観ればいいんだよ!