あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ぶっ飛んでる映画特集!「フォーク&バレット~サヨナラ戦争~」(2008)の巻

フォーク&バレット~サヨナラ戦争~ [DVD]

S原:今回は、ぶっとんでいるというか変な映画というか。

Y木:ここで紹介するのは、変な映画ばっかりやん。

(あらすじ)

別世界でクローン人間と戦う自分を想像し、退屈な毎日をやり過ごす女子高生の小夜。そんなある日、想像の世界で敵の総司令として君臨する男に酷似したグルメ評論家がバイト先のレストランに来店する・・・

 

S原:これ劇場公開してるみたい。

Y木:ほんまや。DVDの表紙に書いてるわ。

S原:これを劇場公開するとは…と驚いたわ。本編は64分。作品の時間はともかく、ハッキリ言って演出も演技もとても劇場公開するレベルではないと思う。

Y木:おいおい、ひどいな。あらすじは、上の通り?

S原:うん。フレンチレストランでバイトしている女子高生が主人公。主人公には妄想癖(?)があって、その別世界では戦争をしている。相手はクローン人間みたい。

Y木:ほう。それが徐々に現実世界と妄想世界が混ざっていくわけやな。

S原:その通り。ある日、レストランに有名グルメ評論家が来店することになる。ところが、その評論家が別世界での総司令官とそっくりやねん。

Y木:それで?

S原:グルメ評論家が来店して傍若無人な態度をとるけど、主人公はそれが我慢できずに顔面パンチをする。

Y木:ふーん。それで?

S原:それだけ。

Y木:あー…そういう映画なんやな…(納得顔)

S原:とにかく演出が昔のテレビ風(?)で残念ながら、俳優たちを魅力的に撮れていない。主役(丹羽斐沙江)は、たまに良い表情をする瞬間があるけど、残念ながら・存在感・演技ともに薄すぎる。これはほかの俳優たちもみんな同じ。とにかく演技が不自然というか幼稚というか。

Y木:幼稚な演技か。まあ、でも高校生やろ。子供みたいなもんやん。

S原:ところが不思議なんやけど、観ていると「これはこれでええんかな」と思うようになる。みんなが棒読み・棒立ちに不自然な演技ばっかりやと、こういう世界やと納得してしまうねん(笑)「Deep Love -アユの物語-」(2004)も「ふぞろいな秘密」(2007)も「コアラ課長」(2006)もそうやった。不思議やわ。麻痺と言うか一種の麻薬みたいなもんやろか?

Y木:知らんわ。この映画には、プロも出てるんやろ?

S原:でてます。お笑い芸人のはなわが、バイトの先輩で出演してます。役名は「風間」。そのあとに登場する店長が、風間トオル。何の意味もない設定で観客が混乱するだけ(笑)すごいよな。

Y木:すごないわ。

S原:でもまあ、一番残念やったのは、気概を感じないことやな。

Y木:気概?

S原:なんというか普通の人は、レンタル店に行ってもこの作品はスルーするやろ?そういう人たちを、見返してやる!という気概を感じないねん。とにかく平凡な作りで観た後に全く印象に残らない。さっき演出が下手とかつっこんだけど、極端に言うと、べつに下手でも稚拙でもええやん。でも、やる気はだせるやろ?最初から「負け戦」をするんやったら、もう映画を作らんほうがええで。もっと本気を見せてほしいわ。

Y木:こういう映画で、「本気がみたい」とか熱く語るおまえがキモイわ。一応、プロの作品なんやし、いろいろと制約があるんやろ?

S原:いやー、この映画に関しては、制約が云々というレベルではないと思うけど(苦笑)

Y木:ヒドイ映画やというのはわかった。もう少し具体的に言うと?

S原:挿入歌とか映画の音響も違和感だらけ。というかそもそも場面に合っていない音楽がBGMで流れるねんけど、もうわざとなのかどうか理解が出来ない…(苦笑)いきなり、高校生女子たちがダンスしたり、場面転換がブツブツと切れたり、カットが上手くつながっていなくて人物の配置が分からなかったり…最後は、夕陽に向かって「エイッ」って、ライフルを投げるねん。夕陽の中シルエットでゆっくりとライフルが飛んでいく……

Y木:どういうこと?

S原:これで戦争は終わりということらしい。

Y木:すごい演出やな。

S原:それから、主人公とはなわの恋が始まる雰囲気になります。90年代のトレンディドラマのような演出で、抱きあう2人。この映画以外では、もう一生聞かないであろうバラードが、すごく名曲のような扱いで1曲丸ごと流れて、おしまい。

Y木:はあー…(ため息)

S原:ネットでは、どこかの映像スクール(俳優養成学校?)の卒業制作作品でないか?と指摘していた人がいるけど、そうかもしれん。そのくらい稚拙というか低レベルやった。DVDでは特典映像があって、それを観ると「新人俳優たちを起用する」というコンセプトで作られたみたい。なので、演技が下手とかはええと思うねんけど、メイキング映像での俳優たちは普通に笑ったり会話しているオフショットの方が魅力的やねん。もうちょっと、彼ら彼女たちの良い部分を引き出してあげろよ、ほんまに。

Y木:まあ、そういうのを求めてないんちゃうの?

S原:そうなんかな。よくわかんけど、まあ変な映画やった。さあ、みなさん。とにかく今まで観たことのない映画にチャレンジをしたい人にはおススメ…しにくいですね。マストバイか?と言われると、ノーアンサーでよろしく~!