S原:さー、お待ちかね。好きな人にはたまらないジェイソンのバッタもん映画!
Y木:そんなもの好きなヤツ、ほんまにおるんか?
(あらすじ)
楽しいはずの学生たちのウィンターバケーションが、殺人劇の舞台と化すホラーパニック。バケーションを利用し、スノーボードをしに雪山へ向かう4人の学生たち。そんな旅の途中2人のヒチハイカーと出会い、合流。しかしそれが全ての悲劇の始まりだった…
S原:さあ今回の映画は、すごいですよ。この映画ではホッケーマスクの男はでてきませぬ。そもそも名前もジェイソンではありませぬ。
Y木:B級映画あるあるやな。
S原:いやはや、ここまで堂々と本編と違う主人公をパッケージにするのは、あの「コアラ課長」(2006)以来やろうな。
Y木:どうでもええわ。それで、この映画はどうやった?
S原:結構、おもしろかった。
Y木:ほんまかいな。おまえの評価はあてにならん。
S原:誉め言葉やと受け取っておくわ(笑)これは一応、スキー場を舞台にしたホラーなんやけどな。当然、スキーシーンがたっぷりとあってなかなかの腕前やねん。「ザ・ソルジャー」(1982)みたいな感じ、と言えばわかってくれる?
Y木:せめて「私をスキーに連れてって」(1987)と言ってやれよ。
S原:この映画での殺人鬼は、とにかくスノーボーダーを恨んでるねん。
Y木:なんで?
S原:理由はない…みたい。しいて言うなら、マナーが悪いのが腹が立つ!かな(笑)
Y木:ごっつい適当やな。
S原:要するに、監督は、とにかく殺人シーンを撮りたい・見せたいだけなんやろうやな。そういう意味では、いかにもB級映画ならではの正統派なんかもしれん。
Y木:でもせめて、殺人の動機は要るやろ。
S原:もう、考えるのもめんどくさいんやろ(笑)もしくは「どうせ、ちゃんと動機を描いても、評価してくれへんねやろ?」というひねくれた気持ちなんやろうな。
Y木:なんで、いじけてるねん。ストーリーは?
S原:閉鎖されたスキー場に4人のヤングたちが向かう。人手のないゲレンデで思いっきりスキーやスノーボードで楽しむのが目的やな。途中で、全身黒ずくめの男が周辺をうろつき始める。この男が実は…って話やな。まあストーリーとしては全然大したことないよ。
Y木:こういうのは、ホラーな場面が良ければOKな映画なんやろうな。
S原:そうやろうな。ショックシーンはちょっとおもろいよ。映画がはじまってすぐにスラッシャーシーンがあるねんけどな。木と木の間にピアノ線が張ってて、滑ってくる人の首が飛ぶという。
Y木:あー…(苦笑)
S原:しかも、そのあとは女性のシャワーシーンが当然のように挿入される(笑)そうそう、この映画ではやたらと女性のセクシーショットがあるねん。
Y木:それも、いかにもB級映画やん。
S原:そうなんやけどな、この映画ではやたらと女性の下着を強調する。いろんな色や形の下着のオンパレード。赤、黒、ヒョウ柄…とくに必要もないのに、やたらと脱いだり着けたり脱いだり着けたり。あげく服を着たまま下着を取るゲームで盛り上がる(笑)
Y木:監督のフェチズムが爆発してる感じやな。
S原:あと、変な言葉のオンパレードやねん。「おい、美人のトイレ訪問は見逃せないぞ」「もうムズムズしてやばいよ!」「美の女神さえ君の前ではかすむだろう」…いまどきこんなセリフある?
Y木:頭が悪いんやろうな。
S原:そのくせ「悪いカルマにつかまったぜ」とか意味不明なセリフで人が死んでいく。この監督は、なかなかのセンスやで。
Y木:下手なだけやろ。ほかに面白い場面はないの?
S原:そうやな、リフトで殺人鬼と会ってしまった女性が殺される。リフトにぶらーんとぶら下がったまま…とくに普通のホラーシーンなんやけど、この女性はだれも見つけないから、延々と吊り下げられたまま。しかも、ほかの場面をはさんで何回も吊り下げられたショットが映る。なんか気の毒でな。だれか見つけてやれよ、友達がいなくなってるのに(笑)
Y木:最後は?
S原:殺人鬼が、除雪車で襲ってくる。しかも、全身黒ずくめの男の正体は、なんと一緒にスキー場に行った女友達でした。一応、これどんでん返しね。
Y木:全然驚かへん。
S原:さあ生き残ったヤングたちが行きどまりに追いつめられる。除雪車が迫ってくる!危ない!というのがクライマックスやな。もちろん当然、殺人鬼が除雪車に巻き込まれて、赤い雪が一面にブシャー!
Y木:悪趣味やなあ。
S原:ラストシーンは、すごいたくさんの人が死んでるのに、生き残ったら男女が「さあ、帰りましょ♡」って感じで、にこやかに帰宅しておしまい。すごく清々しいで(笑)
Y木:なんかひどいな。
S原:まあそういう映画やったよ。さーみなさま。いかにもB級ですが、パッケージ詐欺を除けばまあまあです。首が飛ぶ場面や、スキーやスノボが好きで、女性の下着が大好きなあなた!あなたのための映画ですよ!中古店で見かけたら、ゲット、プリーズ!