S原:さあ、今回の便乗映画はこれ!
Y木:「マスク」(1994)のニセモノ映画か。
(あらすじ)
デジタルプログラムで人間の脳をコントロールする最先端医療装置によって思わぬ人格を形成された男の悲劇を描く。優秀な科学者・ヘンリーは、脳をプログラムする研究に没頭していた。ある日、新開発した装置を自ら試した彼は、全く別の男に変身し…。
S原:最初に言っておきますが、ジャケットの青いおじさんは出てきません。
Y木:やっぱりな。もう驚かんで。
S原:これ、要するにジキルとハイドやねん。というか、役名も「ジキル」と「ハイド」(笑)
Y木:そのままやん。訴えられるぞ。
S原:たぶん『ジーキル博士とハイド氏』を原作にしてるんとちゃうかな。ま、どっちにせよ大したことない映画やから、どうでもええけど(笑)
Y木:どんな話?二重人格の話?
S原:そうそう。主人公(ジキル)は、医師で、脳科学を研究しています。生真面目な性格で、もうすぐ金持ちの娘と結婚する予定。前途洋々のはずなんやけど、どうも相手側の家族に不満がある。でもハッキリと不満も言えず悶々としている。そんなある日、脳科学で「人格を変える」という研究に成功する。
Y木:自分で実験台になるんやな。
S原:その通り。あとは、もうわかると思うけど、人格が変わった主人公は、欲望の通りに行動する男(ハイド)になってしまう。いままで理性で抑えていたマジメ男が変身するわけやな。しかも、なんと!人格が変わるときに、なぜかモミアゲが伸びます!
Y木:なんでモミアゲやねん。
S原:漫画『ドカベン』に出てくる江川学院の中(あたる)のモミアゲにそっくりやねん。水島先生もご立腹やろうな。
Y木:水島新司がこんな映画を観てるわけないやろ。
S原:ハイドになった男は、欲望のおもむくまま、女性とチョメチョメしたり、暴力をふるったり…やたらと女性の裸が出てきますが、不思議とエロくないです。もっとエロくして欲しかったなー。
Y木:そういう映画とちゃうやろ。主人公は根はマジメなんやろ?止めたり悩んだりせえへんの?
S原:主人公は「たしかに欲望のまま行動して困るヤツやけど、あいつ(ハイド)はあいつやもんなー」ってよくわからない理屈で納得する。
Y木:それはあかんやろ。自分が周りに迷惑かけてるのに。
S原:さて、ハイドになった時の主人公は大暴れを続けます。それでも、最初はなんとかなったんやけど、ついに人を殺してしまう…
Y木:えー!いくらなんでもあかんやろ。それでそうなるの?
S原:結局、良心の呵責に耐えかねて、主人公は死んでしまいます。
Y木:えーなにそれ?これって、楽しいコメディとちゃうの?
S原:僕もそう思って観てたんやけどな。ラストで「あー、これってコメディとちゃうんや」「マジメな映画やったのね」と初めて気づいたわ。
Y木:ひどいなあ。
S原:でも、このジャケットをみてみ?シリアスな映画やと思って、レンタルするヤツおると思う?それこそ「マスク」みたいな、軽く観れるコメディやと思うやん。でも、観てみると中途半端にイヤ~な気持ちになるだけという(苦笑)こういうのが一番困るで。
Y木:おまえ、これからも困り続けるんとちゃう?
S原:さあみなさん。みなさんも毎日葛藤しながら生きていると思います。例えば、「妻への結婚記念プレゼントをやめて、『スラムダンク』全巻セットを買おうかな」とか「子供のクリスマスプレゼントを安く抑えて、綾波レイのフィギュアをゲットしたい」とか葛藤しながら生きているでしょう?そういう人には、ピッタリの映画ですよ。中途半端な映画が好きな人は、ぜひゲット、プリーズ!