あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「女性」「性」がテーマの映画を観てみる!「噂のアゲメンに恋をした!」(2007)の巻

噂のアゲメンに恋をした! コレクターズ・エディション [DVD]

S原:今回はコメディ!

Y木:いかにもハリウッド製コメディやな。

(あらすじ)

いつもドジばかりのキャムは、ある日歯科医のチャーリーと出会い恋に落ちる。しかし彼は“彼とHをすると次の男と結婚できる”という噂のアゲマンならぬ、アゲメンだった! 女性たちはそのジンクスを信じて、夜毎彼に猛烈アプローチ。セックス三昧のチャーリーと、一方で本気の恋がしたいキャム。二人は無事結ばれるのか!? 

 

Y木:これ、軽い気持ちでみれるポップコーンムービーやな。

S原:そうそう、典型的やったわ。久々にこういう映画観たんやけど、ちょっと言いたいこともある。

Y木:なにを言いたい?

S原:それは後で言うわ。さっきも言ったけど、映画としては既視感たっぷりで、キャラクターはテンプレートばかり。この映画では、主な登場人物は3人。デイン・クック⇒女性に言い寄られる主人公、ジェシカ・アルバドジっ娘(ヒロイン)、ダン・フォグラー⇒下ネタ担当の脇役。こういう図式なんやけど、これって、俳優を取り換えても成り立つで。たとえば、ベン・スティラー⇒女性に言い寄られる主人公、メグ・ライアンドジっ娘(ヒロイン)、ジャック・ブラック⇒下ネタ担当の脇役。どう?

Y木:あーなるほどな。

S原:まだ変更可能やで。ヒュー・グラントキャメロン・ディアスジム・キャリーの3人でもOKやろ。

Y木:たしかに。

S原:日本なら、小栗旬綾瀬はるか柳沢慎吾かな。

Y木:なんか1人だけ、違うような気がするけど(苦笑)

S原:個人的には、マイケル・パレダイアン・レイン、リック・モラリスがベターやな。

Y木:そりゃ、「ストリート・オブ・ファイアー」(1984)やがな。

S原:まあ、キャラクターはそんな感じやったわ。ただし、上の内容紹介は、ちょっとニュアンスが違うねん。女性(ジェシカ・アルバ)が主人公になってるけど、反対やねん。男性(デイン・クック)が主人公。映画が始まると小学生(男女10人くらい)たちが遊んでいます。ちょっとエッチな遊びをしているときに、主人公は、ませた女子(ゴスロリ風)を怒らせてしまって、「呪い」をかけられる。

Y木:呪い?

S原:「一生幸せになれない呪い」やな。「あなたは幸せになれない」「あなたとつきあった女性は、あなたの『次に付き合う男性』と幸せになれる。あなたとは幸せになれない」という呪い。

Y木:えらい具体的な呪いやな。

S原:さて現在。主人公(チャーリー)は大人になっていて歯科医です。友人でエロなことばかり考えている(趣味は果物を使った自慰!)スチュという男は、となりで形成外科医をしている。ある日、チャーリーは元恋人の結婚式に出席する。そこでキャムというやたらとドジをする女性(ジェシカ・アルバ)と出会う。チャーリーはキャムにひとめぼれをして運命の人だと確信する。と同時に変な噂が(女性の間で)流れ出す。曰く『チャーリーと別れた女性は皆、直後に自分の運命の相手に出会い幸せな結婚をしている』という噂やな。それが次第に『チャーリーとチョメチョメすると次に運命の相手に出会う』とSNSで拡散されて、チャーリーの歯科医院に女性が大勢押し寄せる。「わたしを抱いて~♡」って。

Y木:いかにもなコメディやな。

S原:自分の事を愛しているわけでなく、ただ単に、次の男性と幸せになるために女性たちがチャーリーに対して肉体関係を迫っていく。でもチャーリーは、本気でチャムを愛したくて…というのがメインストーリーです。

Y木:それで、チャーリーは真実の愛をつらぬくために、女性からの誘惑をことごとく断ち切る、と。

S原:いーえ、チャーリーは、片っ端から女生徒チョメチョメします。

Y木:……なにそれ。

S原:友人のスチュから「女性の助けになるため、ヤリまくれ」「それが女性たちの幸せになるんだ」と説得されて、チャーリーもその気になる。たしか数十人くらいとしてたと思う。ベッドシーンもそのままでてくるねん。ヌードもたっぷりの画面分割で、何十人とチョメチョメしているねんで。

Y木:ほー。

S原:でも、僕は、全く笑えんかった……というか、むちゃくちゃ違和感がある。だって『多数の女性と関係を持つ』ことを表現するにしても、べつに直接に写さんでもええやん。

Y木:まあな。

S原:それに、自分の特異体質(次の男性と幸福になる)を証明するために、ものすごく太った女性をわざと誘って、チョメチョメする。興味がない女性とわざと肉体関係を結ぶねんで。その場面も露骨やし、ユーモアもない。これって女性をバカにしてないか?自分勝手もええとこやん。しかも容姿を蔑んだり、太った女性は男がいないという偏見を前提に話はすすんでいくし。

Y木:女性をバカにするとかじゃないやろ。ただのコメディやん。

S原:そうなんやけど、裸をやたらと写す演出といい、まるで女性全員が「幸福のためなら、興味のない男とチョメチョメしてもいい」と思っているような設定といい、ぼくは好きになれない。ハッキリと言うと気持ち悪い。

Y木:そうかな。観てないからおまえの言う雰囲気がわからんけど、軽く観れればOKってことやろ?

S原:この映画での、ジェシカ・アルバは本当にチャーミングに撮れています。だから、ロマンチックコメディとしてはOKやねん。でも、女性への目線、これはちょっとヒドイって。

Y木:ちゃうねんって。単純に観てて「あーおもしろかった」と笑って、「このあとランチはどこにする?スパゲッティはどう?」と恋人を誘う、それでええねんって(笑)

S原:いや、愛がなければチョメチョメしてはいけませぬ!

Y木:昔の学校の先生か。

S原:なんか砂糖菓子みたいな映画やから、何も考えずにスルーしそうになるねんけど、やっぱり変やで。

Y木:最後は、ハッピーエンドやろ?

S原:もちろん。飛行機の中まで追いかけて、ちゃんと告白しておしまい。ラストはベタでもええねんけど、何度も言うけど、女性に対する敬意がなさすぎる。マンガ的でもOKやし、ぶっとんだ設定もアリやねんで。でも、ちゃんとキャラクターというか「人」を考えてほしい。本当に、世の中のすべての女性が「次の幸せ」のために、知らない男の肉体関係を望むわけないやろ?

Y木:それはそうやけど…そういうマンガ的な設定やからこそ楽しい映画なんでしょ。何度も言うけど、コメディなんやから。

S原:ぼくが、気にしすぎかなあ…でも、ダメなものはダメ。今回の「性」映画特集は、かなりいろんな角度から取り上げたつもりやけど、女性に対する視線はこれが最低ランクです。

Y木:ハッキリ言うなあ。

S原:語弊があるかもしれんけど、官能というか濡れ場を売りにした映画ってあるやん。ある意味、そっちのほうが潔いわ。エロさをみせるんなら、それもOKやで。でも、この映画は違う。「ほらカップルでも楽しめるでしょ」「チョコレートが食べれればええんやろ」「ほら、甘いやろ」という製作者側の意図も見えて余計に萎える。

Y木:なんか、今回のお前はマジメやな。

S原:これは、ぼくがマジメとか関係ないと思うねんけどなあ。さあみなさん、話はコメディで面白いから、サラッと観れます。でも、観終わった後にザラッとした妙な感覚が残ります(たぶん)。さあ、コメディのようなそうでもないような、変な映画が見たい人はチェック、プリーズ!