S原:さあ、今回のパクリ映画はこれ!
Y木:そのままやん、これ…
(あらすじ)
資源が枯渇し、荒廃した近未来。ウェスは伝説の地プルトピアを求め、愛車のピックアップトラックに乗り、愛犬のルゴシと荒野を進んでいた。ウェスは食料確保のため立ち寄った街で男たちに乱暴されている若い女性サラを助ける。サラもまた、研究者の夫が徴兵されたプルトピアを目指していたが…。
S原:正直に言うと、このブログを始めてからネタ探しのためにDVDを漁るようになってしまってな。
Y木:そうやろうな。でも、おまえは昔からZ級映画は好きやん。
S原:でも、一応ちゃんとした映画も観てたんやで。最近は、もうバカな映画を観るだけで精一杯。それも突っ込みやすそうな映画を選ぶという(苦笑)
Y木:なんて不毛な人生や。
S原:ぼくもそう思う。とくに今回の映画を観てると、「こんな映画を観てる間にも、人生の大事な時間を消費をしてるんやなあ…」と猛烈に空しくなったわ。
Y木:いまさらかい。
S原:この映画だけはほんまに、くだらないねん。というか突っ込みポイントがありそうでないという一番苦痛に感じるパターンやな。
Y木:パクリ映画ってそんなもんやろ。どうせ話も一緒やろ?
S原:うん。基本はまったく一緒。でも、デンゼル・ワシントン主演のほうの「ザ・ウォーカー」(2010)は、ある目的のために荒廃した世界を歩く。ネタバレになるけど、それは「聖書」を運ぶためやねん。だから、世紀末状態の世界の道標にもなるし、隠喩にもなる。当然、人によって解釈や反応が変わるし、それが映画の深みになるわけやな。
Y木:なるほど。この映画はそうなってないと?
S原:全然ちゃいます。ただ単に、荒廃した世界をウロウロするだけ。制作費とアクションのない「マッド・マックス2」(1981)と言えばわかってくれるかなあ。
Y木:うひゃー…
S原:出来が悪いんはええねん。だけど、突っ込みにくい映画はやめてほしいわ。B級映画を紹介するブログの書いてる身になって欲しい。
Y木:なんでおまえのために映画を作ってるねん。もうやめろよ、このブログも。
S原:とにかく、この映画はつまらん&突っ込めないという2重苦やった。あらすじはともかく、とにかく主人公の魅力がない。というかどんな人物か最後までわからんかった…(苦笑)正義感でも悪漢でもないし、生き残るための必死さもない。映画の途中で女性と一緒になるねんけど、主人公がその女性を守るのかどうかもよくわからん。
Y木:えー、なにそれ。
S原:たしか、設定では「人工穀物の影響で女性のほとんどが癌に侵され死亡。女性人口が激減、運よく生き残った女性も「貴重品」としての悲惨な運命しか残っていない」というはずなんやけどな。女性に欲情するわけでもないし、よくわからんまま、話は進んでいく。しかものんびりと田舎のハイウェイを車を走らせてるだけ。
Y木:確かにそれは退屈やな。
S原:マッドマックスと同じで石油が最重要な世界やねん。だから、土地のギャングのボスみたいな男と戦ったりする。でも、そのボスもなんかショボい男でなあ。場末のスナックのマスターみたいやねん(苦笑)
Y木:場末のスナックかー。主人公が向かう先は?目的地はないの?
S原:一応、「核都市プルトピア」を目指すことになる。そこには、資源が無尽蔵にあるらしい。
Y木:一応、ロードムービーやん。
S原:主人公と、相棒の犬と女性が3人で、理想郷を目指す…というストーリーになるはずなんやけど、実際はウロウロしているだけ。ひたすら退屈な時間が過ぎていく。
Y木:今回は、いつもよりも酷そうやな。どんでん返しとかないの?
S原:ないなあ…あーそうそう。車の燃料はガソリンでなくても、人間や動物の血液でもええみたい。だから、主人公は大事にしていた犬を殺します。理想郷にたどり着くためには、燃料が足りないのです。
Y木:……犬を殺す……最低やん。
S原:気分が悪くなるで、ほんま(苦笑)かわいい犬やったのに。
Y木:それで、最後は理想郷に辿り着くの?
S原:辿り着かへん。
Y木:なんやねん。
S原:この映画のテーマは「骨折り損のくたびれ儲け」やな。
Y木:なんて意味のない映画や。
S原:ほんまにこんな映画ねんて!『前から苦労している男が、今まで通り苦労しているところを見せられる映画』やで。カタルシスなんか皆無。SFとしても荒廃したディストピアな風景も楽しめない。おまけに主人公は感情移入できないむさくるしい男。これで、どうやって面白くなる?
Y木:知るか。好きで観てるんはおまえやろ。
S原:いやー今回ばかりは、しんどかった。というわけで、ネタのためにも不十分な映画です。今回ばかりはスルーしてくださいませ~!