
Y木:うわー、なにこれ……(絶句)
S原:さあ、マッドマックスじゃない復讐のデスロードの始まりですよ!
(あらすじ)
病気と経済危機により荒廃した近未来。暗い過去を持つ臓器の密売人・ティーシャは、過去に自分の家族を殺害したブルトール・アオンテルを見つけ出し、復讐することを望んでいた。そんななか、彼女はアンジェリカという老婆から、ある男の殺害を頼まれ…。
S原:これはアルゼンチン映画です。見ての通り、たくさんあるうちのマッドマックスもどきの1本なんやけどな。
Y木:はあ、アルゼンチンでも便乗映画を作る奴がいるんやなー。どうやったの?
S原:汚かった。
Y木:おいおい。

S原:北斗の拳というか、荒廃した世界というか、ディストピアというか、「あー好きなんやなあ」「これがやりたかったのね」とよく分かる。
Y木:おまえも好きやん。
S原:もちろん嫌いじゃないです。でも、これ系の映画ってすごくセンスがでるやろ?(笑) たしかに、ああいう世界では生きていくだけで精一杯やから服なんかに気にしていられない。洗濯なんかせえへんから汚れるし、全体に汚れた感じの世界観はわかるねん。でもなー、「汚れている」のと、「汚い」は別物やろ?
Y木:まあそうやな。
S原:漫画でいえば「バタアシ金魚」も「山下たろー君」も「珍遊記」も汚れた感じやん?
Y木:汚れたじゃないやろ。下手ウマってことやろ。
S原:いーや、「バタアシ金魚」と「山下たろー君」は汚れているけど、「珍遊記」は汚い。これは断言できる。
Y木:まーそうかもしれんけど。
S原:だって、フジテレビの社長も言ってたもん!
Y木:あーフジテレビの社長が言うんなら仕方ないわな(笑) 要するに、この映画は汚い、と言いたいのね。
S原:うん。コスチュームとかも汚らしいんやけど、内臓を取り出すとかそういう場面に力をいれてるねん。これが、また汚らしい(苦笑)
Y木:スプラッター描写はそういうもんやん。
S原:でも、ほんまに品がないというかセンスがなかったなあ。あとは暑苦しい。もう湿気ムンムンやった。質の悪い油で作ったチャーハンみたいな感じ。さすが南米って感じやったわ。
Y木:南米の暑さをチャーハンで例えるなよ。話は復讐もの?
S原:そうです。単純な復讐ものやねん。荒廃した大地で、子供たちが生首でサッカーしています。そこへ主人公(女性)がやってきて、その生首をピタッと足で止めます。フードを被って意味深な感じです。雰囲気満点でかっこよく登場です。そしてついにフードを外して、ジャーン!
Y木:はあ。
S原:……おじさんでした。
Y木:女性って言うてたやないか。
S原:おじさんっぽい女性です。
Y木:容姿のことは言うなよ。
S原:だって、ほんまにおじさんっぽい女性やねんもん!
Y木:もん!じゃねえ。

S原:いやーこういう映画って、だいたい女性主人公は美形でカッコいいのよ。もしくはショートカットでキリっとしているとか。
Y木:はあ。
S原:おじさんでは、こっちの気分は盛り上がらんなあ。タンクトップとか、ボロボロのズボンから見え隠れする生足とかが、ポイントやのになあ……はあー監督はわかってないわ。
Y木:最低やな、おまえ。
S原:主人公は、ある老婆から報酬を払うのである男を暗殺してほしいという頼まれます。もちろん、この老婆は魔女みたいですが、やっぱり汚いです。
Y木:それで?
S原:暗殺を依頼された男は、主人公の親の仇やねん。なので、報酬無しで主人公は依頼を受けます。
Y木:ええところ、あるやん。
S原:そのあと、老婆を殺してたけどな。
Y木:どないやねん。
S原:一応、老婆が「このさき、もう長くないから殺してくれ」と頼まれて殺すのよ。で、主人公は、「パラダイス」という町にターゲットがいるという老婆の情報を元に、その町に行きます。酒場に入ると、訳ありな奴らがやってきて主人公は襲われます。たぶん、だれも望んでいないのですがヌードシーンもあります。バカっぽい男に強引にチョメチョメされるのですが、ここがまた長いうえに汚らしい。いったい、こんな場面をみて誰が喜ぶんやろ……(ため息)

Y木:それで?
S原:いろいろあって、仇と会います。やっつけます。おしまい。
Y木:省略しすぎやろ。
S原:だって、ここで細かく紹介しても電通の営業マンは喜ばへんやん。
Y木:電通は関係ないやろ!
)
S原:暑苦しくて汚れてるけど、ところどころは面白い。銃を撃ったらドン!と体に大きな穴が開くとか、男のチョメチョメの部分にドリルがついてるとか。
Y木:幼稚園児の発想やがな。
S原:アクションは頑張ってる方かもしれんけど、やっぱり既視感アリアリやから、どうしても二番煎じになる。最初から負け戦みたいな。あーそうそう。一応、改造車が爆走するときには、マッドマックスっぽい音楽も流れるで(笑)
Y木:そこだけは忠実にパクッてるんや。
S原:というわけで、これは微妙な出来でした。多少汚くても、世紀末風映画が好きという人のみにおススメします。やっぱりキャスティングが大事だと再認識しました~!