S原:今回はギロチンが空を飛びます!
Y木:カンフー映画か。
(あらすじ)
清朝三代皇帝、雍正帝は冷酷で知られる。自分に批判的と見た忠臣二人の暗殺を、金衛兵のシンに命じた。シンは、百歩はなれたところからでも標的の首をはねることができる特殊な武器「血滴子」を開発し、秘密部隊に訓練をほどこした。2件の暗殺は成功したが、あまりの残酷さに異をさけんだシェは、血滴子で首をはねられ、マー・トンは脱走した。手配書が貼られ、血滴子の飛来におびえながらも、マーは反抗と逃走をつづける…
S原:実はこれ、結構おもろいねん。中国語で言うと、是电影有趣也やな。
Y木:おまえ中国語なんか出来へんやろ。
S原:いかにも70年代のカンフーものって感じやねんけどな。
Y木:どうせ映像がザラザラなんやろ。
S原:いや、映像はわりとキレイやったな。
Y木:この手の映画って、カンフーで戦う場面がやたらと長いやろ?あれが苦手やなー。
S原:もちろんカンフーを見る映画なんやけどな。たしかに昔のジャッキーの映画、例えば「酔拳」(1978)とか「笑拳」(1979)とかあるやん。いまだに根強いファンも多いけど、あのへんはカンフーの場面が長すぎると僕も思う。マニア以外はちょっと辛い。だけどこの映画は、全体にカンフーアクションが短めで良かったで。
Y木:そうなんや。意外と洗練されてるとか?
S原:洗練はされていません(笑)いつもの、バタ臭い演出満載でござる。
Y木:やっぱりな。
S原:でも、たまにはこういうのも楽しいで。いまのハリウッドなら絶対にしないような演出だらけやし。
Y木:どうせ「カンフー映画」ならではの演出やろ。
S原:对的(その通り)。まあ時代とともに映画のつくりも変わっていくから。いまのヤングが観たら、逆に新鮮やと思うで。
Y木:ほんまかいな。
S原:まず物語が、変で楽しい。皇帝が、自分に逆らった家臣を殺そうとするんやけどな。自分が家臣殺しの犯人やとバレたくないからなんとかしろ!と側近に言うねん。側近が困っていると、雑技団が曲芸をやっています。それをみて、「そうだ!空飛ぶギロチンでやっつければいいんだ!」(笑)
Y木:おいおい。
S原:ほんまです。さあ、そこから空飛ぶギロチンの訓練です。真昼間に広場でみんなで空飛ぶギロチンの練習します。このギロチンチームのひとりが主人公です。どんどん上達します。民衆は珍しいから見学に来ます。
Y木:秘密兵器でもないんでもないがな。
S原:そしていよいよギロチンチーム(雑技団)が暗殺にむかいます。もちろん、空飛ぶギロチンをびゅーんと飛ばして、首チョンパ!(斩首决断!)大成功です。
Y木:それで?
S原:なんだかんだあって、ギロチンチームは揉めます。人殺ししてしまったので、良心の呵責を感じるヤツもいます。なかには、まじめすぎて頭のおかしくなる奴もいます。
Y木:へんなところだけマジメやな。
S原:結局、主人公が空飛ぶギロチンチームから逃げ出します。残りのメンバーが追いかけます。さあ、ギロチンを使ったおいかっけこだぞ!
Y木:おいかけっこを見せられるんかい。
S原:主人公はうまく逃げだします。結婚もして子供も出来て田舎でのんびりと暮らします。身も心もすっかり我享受刷新(リフレッシュ)。
Y木:ギロチンチームは、どうなるの?
S原:なんかしょーもないことでモメて、お互いに殺しあいます。内ゲバです。総括です。さすが共産主義国家ですな。
Y木:こらこら。
S原:結局、ラストは土曜ワイド劇場と同じロケ地で、主人公とチームが対決します。さあお待ちかね、ギロチン対ギロチンの大勝負!そして、主人公は勝つのであった…おしまい。
Y木:しょーもなー…
S原:いや、おもろいねんって!
Y木:うそつけ。
S原:このバカバカしさと表裏一体になった面白さは、文章では伝わりませぬ。続編(?)の「片腕カンフーVS空飛ぶギロチン」(1976)「盲(めくら)坊主VS空飛ぶギロチン」(1977)もスゴイ出来らしいで。とくに盲坊主は、勝新太郎のそっくりさんが出るらしい。その名も勝利太郎(笑)
Y木:うわー、なんか潤いのない世界やなー…(ため息)
S原:さあみなさん。この映画を観ても観なくても、絶対にあなたの人生には影響がありません。でも、本当にそれでよいのですか?ギロチンがびゅーんと飛んで、頭にスポンとはまる場面を知らないまま、残りの人生を過ごしてもいいのですか?心にぽっかりと空いた穴を埋めるのは、この映画ではありませんが、だからといってスルーしてよいのですか?さあ、ギロチン首チョンパを楽しめるような充実した人生を選ぶかどうか、それはあなた次第!時々功夫电影鑑賞的生活是最高!