あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

スポーツ映画祭り!第14試合「燃えよ!ピンポン」(2007)の巻

燃えよ!ピンポン [DVD]

Y木:これはコメディやな。

S原:これは他で紹介した「スポーツ映画」とは一味違います。

(あらすじ)

かつて天才卓球少年として騒がれ、オリンピックに出場したランディ。しかしぶざまな敗退後は一転、全米の笑い者へと転落人生をまっしぐら。そんな彼が突如、FBIの依頼で裏社会の卓球世界大会に出場し潜入捜査をすることに。なまりきったメタボボディを鍛えなおすべく、再びカンフー卓球の老師の下で猛特訓に励むランディ。実はその大会は全世界のメダリストが結集、敗者は容赦なく殺害される、恐るべきデスマッチ・トーナメント。しかも主催者は父を殺した宿敵だった!果たしてランディは生き残ることができるのか!?

 

S原:これは完全にコメディやねん。

Y木:結論から言うと、どうやったの?

S原:わりと面白いです。ジャック・ブラックっておるやろ?

Y木:あー「スクール・オブ・ロック」(2003)の小太りの人。

S原:あの感じのコメディやった。バカバカしいノリのまま、サクサクとすすんでいきます。

Y木:「おバカ映画」ちゅうやつやな。

S原:そうそう。ついていけな人は20分くらいで観るのを止めると思う。全体的にはカンフー映画のパロディになってるねん。とくにブルース・リーとかサモハンとか、あのへんが好きな人にはツボにはまると思う。でも、中国以外にも日本とかのエッセンスもごちゃまぜやねん。力士が卓球したりして(笑)

Y木:なるほど、そういうノリか。

S原:下ネタも適度に混ぜつつ、VFXを使った卓球の試合のバカバカしさを楽しむ映画やな。これ、なんとあのクリストファー・ウォーケンが出てるねん。

Y木:えーあの「ディア・ハンター」の!

S原:うん。アカデミー助演男優賞をとった男やで?たぶんマイケル・チミノに怒られるで。

Y木:いやマイケル・チミノは他人のことを怒れる立場じゃないやろ(笑)

S原:確かにな(笑)でもクリストファー・ウォーケンはやっぱりええよ。あの眠たそうな眼のまま、嬉しそうにバカな敵役を演じてます。あと映画全体としはかなりしっかりと作ってるねん。セットも凝ってるし、ロケもちゃんとしています。

Y木:へえ、意外にお金がかかってるんや。

S原:かかってます。製作費25億円らしい。

Y木:25億!

S原:たしか黒澤の「乱」(1985)の製作費が26億円やったはず。お城を作って燃やして26億円。こっちは小太りの汚いオジサンがはしゃいで25億円(笑)

Y木:時代もあるやろ。お金の価値が違うし。

S原:まあな。この映画の製作陣はマジでヒットを狙ったと思うで。でも、申し訳ないけど、これではヒットはせえへんと思うわ。

Y木:うん?はじめに面白いと言ってなかった?

S原:面白いよ。でも1時間後にはほとんど忘れてる(笑)

Y木:あーそういう映画なんやな。

S原:ストーリーを話すのもバカバカしいから今回は話しません。食べている間はまあ美味しいんやけど、とくに2回目に行こうとは思わない場末の定食屋みたいな感じ。

Y木:よくわからん。

S原:スポ根ものとしても、コメディとしても印象に残らないかな。そのくせ、同性愛(ゲイ)をバカにしたような描写もあるし……どうもスカッと楽しめません。

Y木:こういう映画はポップコーンムービーやろ。それでええんやって。

S原:そうなんやけど、やっぱり1時間後に忘れたらもったいないやん。

Y木:じゃあ頑張って、この映画のことを覚えておけよ。

S原:ノーです。その余裕はありません。

Y木:なんで?

S原:なんでですって?答えは簡単。だって、他のワゴンセール映画(Z級映画)を観ないといけないから!人間にはですねえ、記憶容量に限界があるんですよ。印象に残らない映画はどんどんデリートしないと、次の映画を楽しめないのですよ、あなた!

Y木:……もう映画を観るのをやめたら?