あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「K-20 怪人二十面相・伝」(2008)の巻

K-20 怪人二十面相・伝 [レンタル落ち]

 

Y木:ほう、怪人二十面相かー。

S原:今回は、意外とみんなが観ていないこちらを紹介しますよ! 

(あらすじ)

1949年、一部の特権階級が富を独占している日本の都市・帝都に、金持ちだけを狙って盗みを働く“K-20(怪人二十面相)”が出没。謎の男にだまされてK-20に仕立て上げられ、世間から追われる身となったサーカス団の曲芸師・遠藤平吉は、富豪の令嬢・羽柴葉子や名探偵・明智小五郎らを巻き込み、K-20に戦いを挑むことを決意する。

 

S原:これ、かなり有名な俳優がたくさんでてるし、結構制作費もかけてるねん。

Y木:こんな映画、知らんかった。

S原:ぼくも知らんかった。まー、ぼくらは最近の映画の情勢とか流行りを知らんから(笑)

Y木:まあな。この映画はヒットしたの?

S原:あかんかったらしい。

Y木:そうかー。いまどき乱歩は受けへんのかな。

S原:今回は、江戸川乱歩原作ではなく、北村想原作らしい。キャラクターを借りて再構築したというか。

Y木:最近、そういうのもあるよなー。ま、面白ければなんでもええんやけど。

S原:そうやな。でもこの映画は「めちゃくちゃ面白い!」とは言えないけど、「期待しなくて観たら、意外とイケた」って感じかな。

Y木:えーそれって中途半端なんとちゃうの?

S原:そうとも言える(笑)たしかに酷評している人もおるしな。一方で、この世界観とか映像が好きという人もいる

Y木:酷評って?

S原:どこかで観たことのある場面や小道具・設定が多すぎるとか、ルパン三世だとか、コメディ部分が変だとか、べつに20面相でなくても良いとか、見慣れた俳優がでて新鮮味がないとか…

Y木:結構言われてるなあ(苦笑)

S原:でもこれは結構楽しい映画やねん。「冒険活劇」って感じで。

Y木:「冒険活劇」か。好きな人にはたまらんジャンルやな。

S原:CGで作った東京(戦争が起こらなかったパラレルワールドという設定)がすごく良い。全体に抑えた色調なのも雰囲気があるし、衣装も面白かった。

Y木:これ、あらすじを読むと、明智探偵VS怪人二十面相じゃないねんな。

S原:そうそう。主人公はサーカス芸人(金城武)で、それが探偵や強盗事件に関わっていく。ここは、ちょっと視点を変えてる。でも、その視点を変えたのが功を奏しているとまでは言えんかなー。

Y木:そうなんや。

S原:まったく予備知識なしで観たからかもしれんけどな。タイトルは「怪人二十面相」やろ。それで、帝都・東京のレトロSF的な風景がでてくるから、単純に探偵と怪盗の「活劇」を期待するやん。その時点でちょっとくらい演出が古臭くても許せるくらいの覚悟はできてるねんけど、変化球がきたから「え?そうなの?主人公は明智じゃないの?」と戸惑ったわ。

Y木:なるほどな。その変化球を納得させるほど面白さはなかったんや?

S原:そうそう。決して悪くはないんやけどな。でも、最大の欠点があるねん。

Y木:なに?

S原:とにかくセリフが聞き取りにくく、効果音や音楽が大きい。音響設計というのかな。とにかくおかしい。観終わってほかの人のレビューを観たら、かなり突っ込んでた(笑)突然、ドガーン!パリーン!と大きな音がするから、びっくりする。プロが設計してるはずやねんけどなあ。

Y木:いくらなんでも『効果音が大きいと迫力が出る』…なんてことで設計していないやろ。

S原:よくわからん。これでかなり損していると思うで。あと、ちょっと残念やったのは、俳優の美味しい顔とか表情ってあるやん。

Y木:美味しい顔?

S原:それぞれの俳優によって、魅力的にみえる角度とか表情とか雰囲気ってあるやん。なんかそれがあんまりなくて、俳優が輝く瞬間みたいなのを逃していると思う。

Y木:女性監督(佐藤嗣麻子)やろ?そういうのは上手そうやけどな。

S原:うーんイマイチやったな。下手ではないねんけど…金城武はまずまずかな。でも、松たか子はもっと可愛らしく、仲村トオルはもっと知的でかっこよく撮らないとあかんで。

Y木:仲村トオル明智探偵やろ。松たか子は?

S原:明智の婚約者。いろいろあって、金城武を助ける。宮崎駿風の小型飛行機に乗ったりして。

Y木:まさか、高い場所でピンチの主人公を助けに行くとか?

S原:大正解。金城武が落ちてくるときに、小型飛行機がパタパタって助けます。

Y木:ジブリそのままやん(苦笑)ミステリーとしてはどうなん?

S原:話はすごく単純。上のあらすじの通り。なので前半がややスローテンポでしんどいかな。間違えられて警察に捕まったり追われるけど、あんまり長いと「はよ、次の展開にいってくれ」と思うしな。

Y木:展開が遅いんか。それはミステリーとしては微妙かもな。

S原:リズムに独特の「溜め」を作って、面白くするタイプの映画でもないしな。一応、ラストにどんでん返しはあるけど、大したことはないと思う。というか不自然やったかな(苦笑)

Y木:ミステリーというよりもやっぱり冒険活劇って感じみたいやな。

S原:うん。「帝都」の雰囲気とか、ちょっとレトロな街並での派手なアクションとか、そういう部分が楽しめるかどうかとちゃうかな。

Y木:なるほどな。それは評価が分かれるかもな。

S原:まあ、ほかにもいろいろと突っ込まれてるで。ラストは、バットマンそっくりとか…

Y木:そうなんや。

S原:なんであんなラストにしたんやろ?

Y木:おれに聞かれても知らんわ。

S原:さあ、みなさん。昔の街並みが好きな人、金城武のファンは楽しめると思います。レトロ路線で突っ走って欲しかった気がしますが、それはそれとして何も考えずにみたら楽しい映画です。ワゴンで出会うのも一期一会。逃さずにゲットしてくださいませ!